【最新フラッグシップ研究】メルセデスEQSが提示する「プログレッシブラグジュアリー」という新価値とは

メルセデスEQS450+ 価格:1578万円 EQSはメルセデスの電動ブランド“EQ“の頂点。日本仕様はシングルモーター(RWD)のEQS450+と、ツインモーター(4WD)のAMG・EQS53・4マチック+(2372万円)を設定。写真は欧州仕様車

メルセデスEQS450+ 価格:1578万円 EQSはメルセデスの電動ブランド“EQ“の頂点。日本仕様はシングルモーター(RWD)のEQS450+と、ツインモーター(4WD)のAMG・EQS53・4マチック+(2372万円)を設定。写真は欧州仕様車

流麗シルエット。BEVの頂点、EQS登場

 EQの名の下に電動化を推し進めるメルセデス・ベンツが、新たに投入したのはその最高峰に位置するモデル、その名もメルセデスEQ・EQSである。ネーミングから想起されるのはBEVとして、まさにSクラスに比肩するトップモデル。だがEQSが見据えているのは“プログレッシブラグジュアリー”という言葉で表現される、まったく新たな地平である。

 その狙いは、まずスタイリングに示されている。全長は5225㎜。Sクラスの標準とロングのちょうど中間のボディは大胆なキャビンフォワード。一本の弧を描いたルーフラインがエレガンスを香らせるクーペライクなフォルムをまとう。このデザインは、市販車前人未到のCd値0.202という空気抵抗の小ささにも貢献している。形態は機能に従う、というわけだ。

 しかもEQSは、大型のテールゲートを備えており、通常時610リッター、最大で1770リッターを誇る大容量ラゲッジスペースへのアクセスが容易だ。アクティブなライフスタイルにマッチする多用途性こそが、先進的で艶やかなデザイン、そしてBEVであることと相まって、新たなラグジュアリーカーユーザー層へのアピールポイントである。

EQSのスタリングは伸びやかなクーペフォルム。美しいだけでなく、Cd値は市販車前人未到の0.202を実現。ボディタイプは5ドアHBになる。駆動バッテリー容量は107.8kWh。450+の一充電当たり航続距離は700kmに達する

EQSのスタリングは伸びやかなクーペフォルム。美しいだけでなく、Cd値は市販車前人未到の0.202を実現。ボディタイプは5ドアHBになる。駆動バッテリー容量は107.8kWh。450+の一充電当たり航続距離は700kmに達する

インパネは未来イメージたっぷり。写真のMBUXハイパースクリーン仕様(op105万円)は、左右12.3インチ/中央17.7インチの大型モニターを1枚のカーブドガラスで一体化したデザイン。約1.4mの大型画面にさまざまなコンテンツを投影する。各種操作は音声やジェスチェーでできる

インパネは未来イメージたっぷり。写真のMBUXハイパースクリーン仕様(op105万円)は、左右12.3インチ/中央17.7インチの大型モニターを1枚のカーブドガラスで一体化したデザイン。約1.4mの大型画面にさまざまなコンテンツを投影する。各種操作は音声やジェスチェーでできる

インパネは3枚の巨大モニターで構成。際立つ先進性

 インテリアを見ても、やはり先進感が際立つ。とりわけ注目なのがAMG・EQS53に標準、EQS450+の場合はデジタルインテリアパッケージを選択すると装備される「MBUXハイパースクリーン」である。
 これは左右が12.3インチ、中央は17.7インチの大きな3枚のモニターを1枚のカーブドガラスで覆った全幅1.4m超という大型スクリーン。ARヘッドアップディスプレイとの組み合わせで優れた視認性を有するのはもちろん、触感フィードバックにより確かな操作感も実現した。従来のインパネの概念を超えた先進イメージを放つ。

 注目の装備としては、ボディランゲージによって操作をサポートするMBUXインテリアアシスタントが挙げられる。各種機能をジェスチャーで呼び出せるほか、顔を向けただけで視線の先にあるドアミラーの調整ができるなど、多くの操作を直感的に行うことができる。また、HEPAフィルターを用いたエナジャイジングエアコントロールプラスも標準装備。フィルターには防菌効果も備わっている。

シート

室内スペースは広大といえるほど。シートは座り心地に優れ、圧倒的な静粛性と相まって快適性はハイレベル。速度を問わずフラットで滑らかな走り味はBEVならではの感覚で、新鮮そのもの。EQSは電動化を武器にメルセデス・ベンツが追求してきた洗練を一段と明確にした

室内スペースは広大といえるほど。シートは座り心地に優れ、圧倒的な静粛性と相まって快適性はハイレベル。速度を問わずフラットで滑らかな走り味はBEVならではの感覚で、新鮮そのもの。EQSは電動化を武器にメルセデス・ベンツが追求してきた洗練を一段と明確にした

一充電当たり航続距離700kmを達成。走りは、凄まじく静かで滑らか

 メカニズムも当然、すべてが新しい。EQSは新開発のBEV専用プラットフォームであるEVA2を採用。電気モーターはリア、もしくはフロントとリアに搭載される。長く取られたホイールベースの内側には、107.8kWhという大容量の駆動用リチウムイオンバッテリーが収まる。
 これによって実現したのが、EQS450+で実に700kmという航続距離である。BEVに対する大きな不安のひとつが解消されたといっていいだろう。
 シャシーにはエアサスペンションを採用。さらに、リアアクスルステアリングが設定され、EQS450+では最大で後輪操舵角を10度に設定。その効果で、コンパクトカー並みといっていい最小回転半径5.0mを実現した。

 こうして見て、触れているだけでも、いったいどんな走りを見せるのか期待が高まってくる。実際にEQS450+のステアリングを握ってまず感じたのは、凄まじく静かでスムーズ、それでいて力強いという性能だった。体躯は大きく車重は2.5トンオーバーなのに、電気モーターならではの豊かなトルクと、駆動系やシャシーの高い精度感が相まって、所作は素晴らしく上質。いきなり急加速が起きたりはしない。その後の加速も力強く、窓の外の景色はみるみる後方に流れ去って行く。しかし室内は静寂なまま。この感覚は新鮮そのものだ。
 乗り心地は非常にしなやか。後席も試したが、優れた静粛性を含めて快適度は極上といっていい。
 それでいてフットワークは軽快ささえ感じさせるのだから驚いてしまう。低い重心、優れた前後重量バランスに加え、60km/hを境に逆位相から同位相へと切り替わるリアアクスルステアリングが効いているのだろう。ドライバーズカーとしても優れた資質を実感させるのである。

 静かで滑らか、そして力強い走りは、いうなればメルセデス・ベンツが一貫して目指してきた世界そのものだ。電動化はブランドのアイデンティティをよりいっそう強調する武器となった。そんな風にいうこともできるだろう。
 そのうえで、Sクラスでは表現できないアクティブ感、先進性といった要素を大胆にフィーチャーしているのが、EQSである。おそらく今後、メルセデス・ベンツが進んでいくのはこの方向になるに違いない。EQSは未来を先取りした新フラッグシップである。

EQSが提示する静かで滑らか、そして力強い走りは、いうなればメルセデス・ベンツが一貫して目指してきた世界そのものだ。電動化はブランドのアイデンティティをよりいっそう強調する武器となった

EQSが提示する静かで滑らか、そして力強い走りは、いうなればメルセデス・ベンツが一貫して目指してきた世界そのものだ。電動化はブランドのアイデンティティをよりいっそう強調する武器となった

充電風景メルセデスEQS主要諸元

真正面

グレード=EQS450+
価格=1578万円
全長×全幅×全高=5225×1925×1520mm
ホイールベース=3210mm
トレッド=フロント:1645/リア:1660mm
車重=2530kg
モーター型式=EM0027(交流同期発電機)
モーター最大出力=245kW(333ps)/4147〜11544rpm
モーター最大トルク=568Nm/0-4060rpm
一充電走行距離(WLTCモード)=700km
交流電力量消費率(WLTCモード)=182Wh/km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池(BT0013)
駆動用バッテリー総電力量=107.8kWh
サスペンション=フロント:4リンク/リア:5リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=265/40R21+アルミ
駆動方式=2WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5(リア・アクスルステアリング車5.0)m

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