【最新スーパーカー図鑑】豊かなリアフェンダーは最高峰の象徴。「ポルシェ911ターボS」はすべての頂点に立つ至高のスーパーGTである

992-2型の911ターボSはT-hybridシステムの導入で一段とパフォーマンスを増強。3.6リッター・ツインターボとモータースポーツ由来の電動機構で従来比61㎰増の711㎰を達成。ニュルのタイムは14秒短縮した

992-2型の911ターボSはT-hybridシステムの導入で一段とパフォーマンスを増強。3.6リッター・ツインターボとモータースポーツ由来の電動機構で従来比61㎰増の711㎰を達成。ニュルのタイムは14秒短縮した

911ターボは登場以来、スーパーGTとして君臨。すべてが最上

 「市販されているポルシェ911シリーズの中で最もパワフルなモデルは何か?」 
 その答えがここにある。2025年9月にワールドプレミアされた911ターボSだ。最高出力711㎰、最大トルク800Nmは伊達じゃない。0→100㎞/h加速は先代モデルを0.2秒短縮した2.5秒、最高速度は322㎞/hに達する。後者に関してはBEVではなかなか到達し得ない高いスピード域となる。

リア

 ターボシステムは911カレラGTSに積まれるT-ハイブリッドテクノロジー。すなわち電動エグゾーストガスターボチャージャー(eターボ)と同じで、こちらはそれを2基搭載する。GTSの541㎰に対して170㎰アップという計算だ。内燃機関は3.6リッター水平対向6気筒。これは992.1と呼ばれる前期型よりも600㏄排気量アップされたもの。先代の991型では3.8リッターあったものがダウンサイジングされたのち、こうして再びかつての排気量に迫っているのはユニーク。技術革新による排ガスのクリーン化で、エンジンのダウンサイジングには一旦終止符が打たれたとも考えられる。排気量だけでいえば、GT3にはこれよりもさらに大きな4リッターユニットが搭載されているから、今後そこまで拡大される可能性はなくもない。

走り

 992.1型との比較でいえばタイヤサイズも少し異なる。フロントの255/35ZR20は同じだが、リアは325/30ZR21で10㎜ワイドになる。また、これに伴いリアブレーキディスク径は390㎜から420㎜に拡大した。ブレーキパッドが新しくなり、ブレーキシステムはより強靭になったと考えられる。

 エアロダイナミクスではフロントに垂直に配置されたクーリングエアフラップとアクティブフロントディフューザーが新しい。これに先代から継承される可変フロントスポイラーリップとリアウイングが組み合わされ、さらに機能を高め空気抵抗値を軽減した。ターボSクラスの領域になると、このあたりの差異は大きく現れる。事実、高性能ハイブリッドシステムのコンポーネンツが追加され従来車よりも85kg車両重量がアップしているが、ニュルブルクリンクのタイムアタックでは7分3秒92と約14秒速くなった。つまり、重量増加を帳消しにするエンジニアたちのこだわりが各所に投入されているというわけだ。

室内

 では実際に走らせた印象をお伝えすると、パワーも値段もスーパーカーなのだが、それほど肩に力を入れずに走り出せるのがポルシェのいいところだと思う。もちろん、993型、996型、997型の911を愛車として乗ってきた経験がハードルを下げているのは確実だが、イタリアのスーパーカーほど下っ腹に力を入れる必要はない。操作系にクセはなく、スッとエンジンをかけてスタートできる。しかも、ドライブモードを“ノーマル”にしておけば、特別感は影を潜める。アクセルレスポンス、エンジンサウンド、乗り心地は文字どおり至ってフツーだ。もちろん、そもそも車高の低いクルマなので、路面の凹凸は気にしなくてはならないが、それ以外はさほど気を遣う場面はない。

九島さん

 が、モードを“スポーツプラス”に切り替えると、一気に雰囲気が変わる。アイドリングから低音が鳴り響き、アクセル開度でその音はどんどん大きくなる。当然操作系はすべてクイックになり、アクセルワークも慎重になる。まさに本領発揮とはこのことだ。低回転から起動するeターボはしっかり働き、アクセルをほんの少し踏み込んだだけでハンパない加速を見せる。普段から5点式シートベルトにしておいたほうがいいのでは?と思えるほどだ。

 そんな911ターボSの価格はクーペで3635万円、カブリオレで3941万円。ギアボックスはどちらも8速PDKで、ハンドル位置はともに左右から選べる。

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