
クッシー流ライトカスタムを施したSUBARUフォレスター。ストロングハイブリッドではなく1.8ℓ水平対向4気筒ターボエンジン車。モーターを搭載しない純粋な内燃機関で駆動する。同車は「2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したことでも知られるSUVだ
かの豊田章男氏がいうとおり、クルマは「愛」がつく工業製品であり嗜好品の側面を持っている。「愛車」という言葉は工業製品の中ではかなり稀有な表現である。なので、手をかけたくなるのは至極当たり前。世の中に洗車オタクを自認する方は少なくない。好きな物をつねにキレイな状態にしておきたくなるのは自然の摂理だ。車内も同じ。スマホホルダーやエコバッグを引っ掛けるホルダーなどで快適性を高めたくなる。これらは相棒(クルマ)と過ごす時間を充実させることを目的としている。
では見た目はどうするか。工業製品であるクルマは街に出ると同じものに出会う。時としてそれがカッコよく思えて購入に至るケースもあるだろう。が、あまりにも多く見かけると他人と一緒が嫌に思えてきたりする。そこで自分の色に染めたくなる。「ボクのはここをこうしているんだ」なんて友人に説明するのは気持ちがいい。
そんな感覚から自分自身もクルマにはいろいろと手を加えてきた。免許を取った1980年代から愛車には何かしらカスタムを施している。とはいえ、すべてのクルマが対象ではない。現在所有するコーダトロンカのアルファロメオ2000スパイダーヴェローチェは購入したそのままの状態で乗っている。やるのは磨きくらい。ステッカー1枚貼るのも戸惑ってしまう。完成度の高いデザインだけに、手を入れるとその美しさが壊れてしまう気がするからだ。
完成度の高さという面ではドイツ車も手を入れるのが難しい。とくにメルセデスはそうで、完璧を求めるドイツ人気質を感じる。この辺をセンスよく仕上げるにはなかなかの上級テクが必要だ。
その点で、アメリカ車や日本車を筆頭とする、北米マーケットを意識してつくられたモデルはイジりがいがある。カリフォルニアを中心にカスタムの文化が根付いていることから、“余白”を感じられるのだ。メーカーが意図しているかどうかはともかく、そんな印象。とくにSUVやピックアップトラックがそうで、背を高くしたり低くしたり、タイヤを太くしたり、ライトを増やしたりといろんなことがしたくなる。余白を自分好みの色で埋めたくなるのだ。
現在手をかけているSUBARUフォレスター(SL型)はそんな1台。昨年リリースされた現行型は比較的スクエアなフォルムで、オフローダー色が濃い。北米でも販売していることからそんなトレンドを取り入れたのだろう。最初に見た時からそこが“好み”であることを感じた。
そんなことが決め手になってカスタムすることを決めたのだが、まずはメーカー&ディーラーオプションを選んでみた。フロントマスクとルーフレールとキャリアだ。フロントマスクはスタンダードモデルとは雰囲気がガラリと変わるデザイン。縦方向の太いラインが厳つさを強調する。言うなればアメリカ製ピックアップトラックのような顔つきに変化した。ルーフキャリアはサーフボード用。アタッチメントをつねに積んでいるので必要に応じて装着できる。
あとはサードパーティでお化粧。タイヤをBFグッドリッチのALL-TERRAIN T/A KO3(225/65R17)として、ホイールをMLJのXTREME-J XJ08(17x7.5J)のサテンブラックにした。
BFグッドリッチとMLJは過去に何度かマッチングさせたことがあるが、かなりいい相性である。それぞれのワイルドさがお互いを引き立て合う。そこに今回はJAOSのフェンダーガーニッシュ type-Xマットブラックを組み合わせた。ボルトオン風な化粧とビードロックデザインのホイール、それと見るからにワイルドなトレッドパターンのオフロードタイヤが揃い踏みしたのだ。予想以上の相乗効果である。ランクル系のイメージが強いJAOSが、フォレスター用にこういったアイテムを開発しているとは知らなかった。
こんな素敵なコラボレーションを具現化してくれたのはジープ系オフローダーの老舗専門ショップで知られるタイガーオート。個人的につきあいが長いことから、フォレスターを持ち込み、相談してこうなった。好みをわかってもらえているのがうれしい。ステッカーの制作もタイガーオート。サイズ感と色を指定すると思いどおりのものに仕上げてくれた。餅は餅屋といったところだろう。タイガーパッケージなどコンプリートカーをカッコよく見せるのにステッカーやデカールは重要だ。ちなみに、ステッカー貼りはDIY。炎天下の中、汗をダラダラ流しながらひとりでがんばった。
個人的に思うに、現在のところまでがライトカスタムの範疇だと思う。ここから車高を上げ、リアにラダーを組み、フォグランプを9個つけると別物になる。以前制作したトヨタRAV4アドベンチャーがそんな感じだった。ボディをオールペンし、フロントグリルをワンオフで制作、バンパーガードとルーフラックを付けた。結果ボディサイズが変わったので構造変更を申請するまでに至った。完成までには約10カ月を要した。
当然、ここまでやればカスタムの醍醐味を十二分に堪能できるが、お金も時間もかかる。なので、個人的に広めたいのはライトカスタム。ステッカーチューンから始まり、タイヤやホイールを替えるなどして、愛車感を強める手法だ。それならば、初めからカッコいいホイールを履いていたらどうするか。その時はめちゃくちゃ磨いて艶を出すか、ペイントすることをお勧めする。現在所有するジャガーXKRがそうだし、長い間乗っていた997型ポルシェ911カレラもそうだった。純正ホイールが似合っているので替える必要はないと判断。そこで、好みのマットブラックに塗った。最初にホイールを塗ったのは2001年型BMW Mロードスターだったと思う。ダカールイエロー2の濃い目の黄色に黒い足回りがよく似合った。そのころは今日のように黒いホイールを履いているクルマは少なかったのでかなり目立った。黒ホイールはラリーカーくらいで、多くの人がキラキラしたホイールを求めていた時代だ。ホイールを黒く塗ったのは2002年型ジャガーXJ(X308)もそうだった。オールドスクールでレーシーなホイールがカッコよかったのでマットブラックに塗装した。ボディがブラックだった分よりホイールが引き立ったのはいわずもがなである。
もちろん、カスタムの方向性はクルマによってもオーナーの好みによっても異なる。決まりはないし正解もない。その分慎重に行わなければならないが、それを妄想するだけでも楽しい。自分流に仕上げるとどうなるのかと頭の中が膨らむ。こんなことができるは「愛車」だから。自分の色に染めていくのが「愛」のつく理由だ。愛車をフルノーマルで乗っている皆さま、まずはステッカー1枚を貼ることからスタートしてはいかがかな。