【オトナの嗜み_クルマ道楽のすゝめ】憧れのガレージライフを目指すべし/専門家に訊く「ガレージライフ」のあれこれ

「GarageLife」編集長の石原淳氏は「ガレージづくりには50万円、500万円、5000万円の3コースが存在する」と説明。写真は50万円コースの一例

「GarageLife」編集長の石原淳氏は「ガレージづくりには50万円、500万円、5000万円の3コースが存在する」と説明。写真は50万円コースの一例

ガレージは愛車を大切にしまう場所。実は意外に身近です

ふたり

九島辰也さん(以下九島) まず、ガレージライフというとクルマ好きの永遠の憧れだと思いますが、実際にはどんな種類があるのでしょうか。
石原 淳さん(『GarageLife』編集長、以下石原) ガレージは愛車を大切にしまう場所、オーナーそれぞれのカーライフの延長線上にあるものだと考えています。一般的に豪華なガレージに目を奪われがちですが、私はよく「ガレージづくりには50万円、500万円、5000万円の3コースがある」とお話ししています。50万円はイナバやヨドコウといった既成のスチールガレージを基本に、内装をオーナーなりにカスタマイズするコース。500万円は木造2×4工法のキットガレージを建てて楽しむコース。5000万円は家と一体化したビルトインガレージや、別棟でガレージを建てるなど注文住宅として建築するコースを指します。どのコースがベストということはありません。オーナーさんによって趣味嗜好は違います。要は自分らしいガレージとは何かを考えて、工夫することが大切だと思います。

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50万円ではじめるガレージライフは、イナバやヨドコウなど既存のスチールガレージを基本に内装を好みにカスタマイズ。写真はGarageLife編集長の石原氏のガレージ。愛車の1954年式VWビートルを友人のビートルと共に収めている。ちなみに愛車は0→400mを13秒台で走り切るドラッグレーサー

ガレージで何をしたいのかで作り方は大きく変わる

九島 ガレージづくりを検討する際に考えるべきポイントなどは何がありますか?
石原 最も重要なのはオーナーが「ガレージで何をしたいのか」という目的を明確にすることです。愛車を眺めたい(保管)のか、イジりたい(作業)のか、まずはそこがガレージづくりの分岐点になります。たとえば床材にしても、眺めるのが主体であれば光沢のある材を選ぶといいでしょう。極端な話、大理石でもOKです。でもイジるのであれば、工具を落としても割れないようにとか、オイル汚れにも配慮する必要があるので、排水なども考慮して、コンクリート床にして、できればクリア塗装するのが最適でしょう。あとは広さでしょうか。いままでさまざまなガレージを取材させてもらっていますが、多くの方は、「もっとスペースに余裕をとっておけばよかった」とおっしゃいます。取材した方の趣味のクルマというと2ドアモデルが多く、ドアは大きめです。ボディサイズには配慮していても、作業スペースや工具ケースなどを配置するスペースまでは気が回りきらなかったというケースもありました。本当は車両2台分ほどのスペースに1台を入れて楽しむのが理想でしょうが、なかなかそうもいきませんよね(笑)。

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500万円コースは木造2×4工法のキットガレージを建てて楽しむタイプ。写真はカナダ産レッドシダー無垢材を、外壁にふんだんに使用したジェイスタイル・ガレージのキットを使用。ジェイスタイルは間仕切り壁や床の設置などフルオーダーのオリジナルガレージの注文も可能。高い天井高を生かしてロフトも設定できる

九島 いままで多くのガレージを見てきた石原さんからみて、建築のコストを抑えつつ、センスよく仕上げるテクニックにはどんなものがありますか?
石原 素材の“張り分け”が効果的です。たとえば全体は安価なガルバリウム鋼板の外壁にしつつ、目線がいく一部にだけ木材を使う。これだけで一気に雰囲気が良くなります。内装もすべてを完璧に仕上げなくても良いんです。要はアイデアしだいだと思います。例えば、好きなクルマの絵を額装して壁に飾っただけでも、素敵な雰囲気になります。将来のガレージライフを夢見て、まずはリビングに絵を飾ることからはじめるのも大いにアリです。以前、リビングルームにツールBOXを置き、そこに衣服などを入れていた方がいらっしゃいました。
九島 ガレージづくりをするなら、土地代の負担が少ない郊外に、別荘としてシンプルな建屋を建築して、そこで愛車と濃密な時間を過ごすのも良さそうですがいかがでしょう?
石原 実際にそういった楽しみ方をされている方も増えています。自分で積極的にDIYして、低コストでセンスのいいガレージハウスに仕上げることが可能だと思います。個人的には、ガレージライフに飛び込みたいなら、まずは賃貸物件のガレージハウスを体験し、自分にはどういうものが合っているのかを確かめるのもアリだと思います。現在では多彩な選択肢が増えてきました。ただ、問題は隣りもついてきてしまうこと。同じ趣味の人と出会えれば最高の時間が過ごせると思いますが、物件選びは慎重に行う必要はあると思います。

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石原氏は「ガレージライフに飛び込みたいなら、まず賃貸ガレージハウスで自分の好みを確かめるのも有効」と提案。最近は賃貸ガレージハウス物件が増加。別荘として活用できるものもある。写真は“inCELL ADMIT館山”

自分のアイデア次第で誰もが憧れをカタチにできる

九島 ところで現在のようにガレージに注目が集まり始めたのはいつ頃からでしょうか
石原 『GarageLife』は1997年スタートですから来年で創刊30周年になります。もともとは『Car Magazine』の“ガレージ訪問コーナー”をまとめてMOOK化したのがきっかけですが、あまりに好評だったので年4回の季刊となりました。趣味のスペースとしてガレージに注目が集まるようになったのは20年ほど前、所ジョージさんの『世田谷ベース』の影響が大きいと思います。住宅メーカーがガレージ付きの家を積極的にアピールするようになったのは2010年頃からだったでしょうか。そして、賃貸ガレージハウスですが、実は20年ほど前から展開はされていましたが、いまほど一般的になったのはここ4〜5年ですね。
九島 あらためて、ここ四半世紀のガレージをみてきた石原さんからみて、ガレージの役割は今後、どうなっていくと思いますか

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5000万円コースは邸宅と一体化したビルトインガレージなど注文住宅として建築。写真の愛知県あま市の浅井邸は、防音対策を施したガレージを持つ新築住宅。ガレージには3台のスーパースポーツが収められ、リビングからその姿が眺められる。浅井氏の仕事の知見を生かし、照明にこだわったのも特徴だ

石原 昔は“お父さんの隠れ家”というイメージが強かったのですが、いまや家族みんなの多目的スペースになりつつあります。また今後のクルマの主流が電気自動車(BEV)になると、排気ガスの心配がなくなり、充電の場として、またクルマから住宅への給電でもガレージに注目が集まると思います。BEVでも趣味性が高いクルマが出てきていますし、最新のBEVと、往年のスポーツカーという愛車の組み合わせも今後増加すると思います。
九島 これからのガレージライフはどんなものになっていくのか、楽しみですね。
石原 ガレージはオーナーの趣味嗜好が現れるフリー空間です。オーナーそれぞれに夢があり、これが最適解というものは多分ありません。だから私たちの『GarageLife』を見て参考にしてくれる。他人のガレージを見て夢を育てているのだと思います。ガレージは、オーナーにとって特別な場所。愛車を眺め、保管し、イジる場であるばかりでなく、クルマを出せば子供の遊び場にもなります。敷居を高く考える必要はまったくありません。スチールガレージから始めるのも良し、賃貸で試すのも良し、部屋にツールBOXを置くことから始めるのも立派なスタートです。ぜひ自分なりのスタイルで、ガレージライフの一歩を踏み出してみてほしいですね。

石原さん

【プロフィール】
石原淳/『GarageLife』編集長
いしはらじゅん/1971年千葉県生まれ。3人家族。愛車は1954年式VWタイプ1と2019年式VWティグアン。ヨドコウのガレージで「サラリーマンのガレージライフ」を実践する。

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