私のクルマの原点はVWビートル。高校生でビートルに乗り始め面白いと感じました。その後、アメリカで、フラット4のチューニングに触れ、ドラッグレースも満喫しました。その中で、しだいにポルシェの偉大さを知りました。本気でチューンしたビートルのエンジンよりも、素のポルシェ・エンジンのほうが優れているんです。今回のSUZUKA CLASSIC CHALLENGEには4台のクラシック・レーシングカーを持ってきました。
グループCカーのトムス85CL、シェブロンB8、そしてポルシェ911と356です。ポルシェ911は、1973年のデイトナ24時間レース優勝マシンを、たった3枚の写真をもとに作り上げた力作です。当時はまだインターネットが発達していなくて資料の入手に苦労しました。完成まで4年かかりました。仕上がった後にリアにもゼッケンが入っているのを知り、追加したのも懐かしい思い出です。実はこの911、エンジンとミッションはワークスチューンの911RSR用ユニットを搭載しています。1974年のル・マン24時間に出場したマシンに搭載されていたエンジンです。エンジンチューンはワークスに絶対に敵いません。いろいろ経験してきた結論です。356もいいクルマですよ。1954年製の356プリAレーシングになります。ル・マン・クラシックでクラス優勝した経歴があるクルマです。356は当時の1.5リッターロードカーで最速です。この春に手に入れたクルマで、今回の鈴鹿が初走行です。
ちなみにトムス85Cは2022年のル・マン・クラシックでクラス優勝したマシン。シェブロンB8は2リッターながら大排気量レーシングカーを抑えて走ることができる軽量マシンの代表モデルです。
国江仙嗣(くにえ ひさし)さん/VWビートルでクルマ趣味がスタート。ポルシェでレースにハマった生粋のモータースポーツ好き。GTアジア・シリーズに日本チームで初めてフル参戦。GTMクラスのチャンピオンを獲得すると、日本の最高峰、スーパーGTシリーズに“ガルフ・レーシング・ジャパン”のオーナーとしてポルシェ911GT3Rで挑戦した