【最新スーパーカー図鑑】究極の速さを追求したランボルギーニの最新章。「レヴエルトSV」の迸るパワーと突進力

ランボルギーニ・レヴエルトSVは2026年8月のペブルビーチでワールドデビュー。1971年に登場したミウラSV以来の伝統を継承した究極の高性能モデル。SVは“Super Veloce(スーパーヴェローチェ=超高速)”を意味する。ステム出力は標準車比+50cvの1065cv。0→100㎞/h加速2.4秒、最高速345㎞/hのトップパフォーマー

ランボルギーニ・レヴエルトSVは2026年8月のペブルビーチでワールドデビュー。1971年に登場したミウラSV以来の伝統を継承した究極の高性能モデル。SVは“Super Veloce(スーパーヴェローチェ=超高速)”を意味する。ステム出力は標準車比+50cvの1065cv。0→100㎞/h加速2.4秒、最高速345㎞/hのトップパフォーマー

ホッケンハイムリンクで1分41秒6の量産車世界最速記録を達成

 スーパーカーとは何か。いまやその言葉は、単に高価で豪華で速くて派手なクルマを指す便利なラベルになっている。けれども私の定義はもう少し、いや、かなり狭い。マルチシリンダー(6気筒以上)エンジンをドライバーの背後、すなわちリアミッドに積み、2人だけのキャビンに仕立てることで、非日常的なスタイリングを実現したスポーツカーこそがスーパーカーである。

発表

 その歴史はランボルギーニ・ミウラに始まった、というのが定説だ。1966年に姿を現したミウラは、V12をドライバーの背後に横置きし、それまでのスポーツカーとはまったく異なる運動性能を提供した。スタイルこそイタリアンビューティの様式美を継承したが、その美しさは生まれたときからすでに“永遠”であった。フロントに大排気量エンジンを積む時代の常識を断ち切ったミウラの登場により、歴史的なカウンタックが誕生(個人的にはカウンタックこそが真の元祖であると思う)し、以降、ランボルギーニのブランドイズムを決定する一連のフラッグシップモデル、ディアブロ(1990年)、ムルシエラゴ(2001年)、アヴェンタドール(2011年)、そしてレヴエルト(2023年)を生み出す。

 そんなミウラの決定版が1971年に登場した最終モデルのSVだった。ミッドシップV12という概念を量産スーパーカーの世界へ持ち込んだミウラを、最高出力アップ(385㎰)、ワイドリアトレッド、改良サスペンション、冷却・潤滑系の見直しなどによって進化させた1台だ。速さだけでなく、高速域での安定性と信頼性を高めた点に、以後の“SVの精神”が宿っている。SVとは、フラッグシップの本質を最もピュアに、そして鋭く研ぎ上げたモデルだけに許されてきた称号、というわけである。ランボルギーニにとって“SV”の2文字は、単なる高性能版を意味するものではない。

リア俯瞰

 ちなみにカウンタックには正式なSVが存在しない。だが、ウォルター・ウルフとジャンパオロ・ダラーラが結託して作り出した進化版のワイドタイヤ/空力デバイス/大排気量化の方向性は、ミウラSVが掲げた“過激化と精密化の両立”を継承していた。それは精神的なSVだった。

 その名が本格的に復活したのは1990年代のディアブロSVである。後輪駆動/軽量化/出力向上によって、4WDの標準車の万能性とは異なる、荒々しくもダイレクトな味わいを前面にうち出した。次のムルシエラゴLP670-4 SVではカーボン素材/専用エアロ/引き締められたシャシーなどにより、サーキットでの楽しみを意識した現代的なSV像が明確になった。

 さらにアヴェンタドールLP750-4 SVでは、新たなV12NA/カーボンモノコック/AWD制御/エアロ技術などが統合され、さらにSVJでは伝説の“Jota(イオタ)”を加えて極限性能の証明へと踏み込んだ。こうしてSVはただ懐古的なバッジではなく、その時代のランボルギーニが持つ最先端技術を、惜しみなくドライビング体験へと変換する記号となった。

SVロゴ

 そしてこの夏、モントレーカーウィークにおいて発表された最新モデルがレヴエルトSVである。創業年にちなみ1963台限定となるV12プラグインハイブリッドスーパーカーは、システム最高出力1065cv、最大トルク1425Nm、0→100㎞/h加速2.4秒、最高速度345㎞/h超、という途方もないスペックを掲げる。ただし繰り返すがその本質は数値の上積みにあるわけではない。空力/サスペンション/ブレーキ/タイヤ/制御を総合的に磨き上げて、SVの伝統を電動化時代の言語で再構築した点にこそある。

最新SVはあくまでV12が主役。ドライビングの実感がある

 最新のレヴエルトSVを発表前にテストするという僥倖に恵まれた。試乗の舞台はイタリア南部プーリア州ナルド。サンタアガータからの招待状に記されていたのは「レヴエルトPMプロジェクトのプロトタイプテスト」という慎重な表現だったが、直前から歴代SVを振り返るPRキャンペーンが始まっていたことを考え合わせれば、その正体を推測することは決して難しくなかった。

ドア開け

室内

 カモフラージュラッピングをまとったプロトタイプが整列していたのは一周約6.2㎞のハンドリングコースだった。ナルドはサーキットではなくプルービンググラウンドだから、一般舗装の路面は決して滑らかではなく、コーナーのつながりもどこか意地が悪い。気持ちよく走らせてくれないのだ。とはいえ、最新技術を駆使したスーパーカーの真価を測るには、むしろふさわしい場所だった。

 まず体験したのはローンチコントロール。これが予想外に理性的で、かつ劇的だった。フルブレーキング状態でスロットルを全開にし、左足をブレーキから離した瞬間、タイヤが短く鳴いた。そこから先が理性的だ。車体はほとんど乱れず前方へ平行に射出される。荒々しいスピンはなく、摩擦を超えたような水平の加速だ。電動化が加速を粗暴にするのではなく、むしろ精密にしたのだ。そしてもちろん、劇的に速い。顔面の血液が後頭部に移動した気分だった。

 続いて標準仕様のレヴエルトに乗りかえてのサーキットテスト。未だ超一級のスーパーカーであることは間違いない。1000cv超の力を滑らかに解き放ち、加速も減速も洗練され、未知のコースでもドライバーを過度に緊張させない。クルマが上手で、乗り手の能力を一段引き上げてくれる。この完成度を前に、さらに上をいくSVとは何なのか、という疑問さえ生まれる。

リア走り

シート

 再びSVに乗り込んで走り出すと、すぐにその答えを発見する。ドライブモードは新設定のPilota。ステアリング、ブレーキ、アクセルに対する反応が標準車に比べて濁りなく、遅れがまるでない。シフトアップは明確に鋭く、ノーズは短くなったように向きを変え、車体全体がひと回り小さく感じられた。

 高速域では空力の進化が決定的だった。5速で飛び込むコーナーでも車体は路面に吸いつき、さらに奥へ、さらに高い速度へと踏み続けていける。ストレートエンドでは標準車を10㎞/h上回って298㎞/hを記録したが、印象に残ったのは数字以上に、その速度に至る過程に不安がまるでないことだった。

 モーターの出力は高められた。けれどもSVの主役はなおV12NAである。標準車より力強く、より明確な意志をもって回り、高回転域のサウンドは電動化で薄まるどころか、むしろ際立っていた。信じがたい速さを味わいながら、自分の手足でクルマを支配しているという感覚がある。だからこそレヴエルトSVは、歴代SVの延長線上にある究極のスーパーカーなのだった。

エンブレム

諸元

エンジン

ライト

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