
アウディA6アバントTDIクワトロ150kW/価格:7DCT 940万円。パワートレーンは2リッター直4ディーゼルターボ(204ps/400Nm)とモーターユニット(18kW/230Nm)を組み合わせた48VマイルドHV(MHEV plus)。全域で伸びやかなパワーと豊かなトルクが実感できる
アウディが「史上で最もエレガントでダイナミック」と宣言する新型A6が登場した。A6シリーズは、1968年以来の歴史を誇る主要モデル。ドイツではカンパニカーとしての需要も大きく、累計販売台数は1000万台を超える。ボディタイプは、セダンとアバントを名乗るワゴンの2種。中でもアバントは全体の8割が欧州で売れており、うち50%超がドイツだという。日本でもアバントのほうが人気だ。
新型アバントは伸びやかなスタイリングが印象的である。セダン派生のワゴンというより、クーペ派生のシューティングブレークといったイメージが強い。鋭く傾斜したリアウインドウと、ぐっと張り出したリアフェンダーが独特の存在感を主張する。斜め後方から見ると、とくに美しく、しかも力強い。
アウディらしくエアロダイナミクス性能も最先端。各部の工夫と最適化によりCd値0.25を実現した。セダンの0.23にはやや劣るものの、アウディの内燃機関モデル史上、もっとも優れた数値である。ボディサイズは5000×1875×1485mmに達する。
室内も外観同様に先進的だ。アウディの最新デザインフィロソフィーを体現したMMIパノラマディスプレイを中心としたデジタルステージは、左右のドアとインパネをつなぐソフトラップ処理によって、より広々とした空間を創出。クオリティ感も非常に高い。
新型の特徴は、11.9インチのバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイに加え、助手席用の10.9インチのMMIパッセンジャーディスプレイを全車に標準装備した点。新型はほぼインパネ全体に広がるディスプレイを通じて、多彩な体験を提供する。A6の室内は、快適なドライビング空間であると同時に、パッセンジャーを楽しませるもうひとつの部屋。時代は確実に進化している。
もちろん空間も広い。弟分のA5とのホイールベース差は30mmだが、足元やヘッドルームの余裕はだいぶ違う。もちろん見た目も大幅にエレガントだ。A6はデザイン性と快適性を高次元で両立している。
ラゲッジ空間も十分。「絶対的な広さ以上にデザインを重視した」と説明されたが、後席使用時でも466リッターの容量を確保している。奥行きがたっぷりあり使い勝手はよさそうだ。アウディらしくフロアの両サイドにはレールが配されており、きちっと作り込まれているのも気持ちいい。
新型のラインアップは、ディーゼル仕様の150kW(204ps)を発揮する2リッター・TDI クワトロと、ガソリン仕様の200kW(272ps)版となる2リッター・TFSI クワトロの2種類。ともに直列4気筒ユニットと7速Sトロニック、そしてクワトロが組み合わされており、従来型にあった6気筒モデルはない。
ハイライトは最新の48VマイルドハイブリッドシステムであるMHEV plusの搭載。発進や追い越しの際に最大18kW(24ps)の電力アシストと230Nmの追加トルクを提供し、減速時には最大25kWのエネルギーを回収する。低速走行時や駐車時では完全電動走行も可能としており、燃費も17.3km/リッター(アバントTDI)と優秀だ。
試乗したTDIは、MHEV plusの効果が明確だった。もともとトルクフルなTDIの持ち味をそのままに、さらに力強さと洗練をプラスしていた。パフォーマンスは上々。全域で意のままに走る。踏み込むとガソリンエンジンのように伸びのある加速を示すことも好印象だった。静粛性も高く、とくに車内は静かでディーゼルを意識させない。
走行性能においては、トーションバー、ステアリングギア、コントロールアームブッシングなどの構成部品を従来型よりも硬めに設計。持ち前の俊敏で一体感のあるステアリングレスポンスに一段と磨きがかかっていた。ハンドリングは極めて正確かつシャープ。これには、オプションのオールホイールステアリング(25万円)も貢献しているに違いない。
乗り心地も素晴らしい。試乗車にはアダプティブエアサスペンション(35万円)が装着されていたが、乗り心地は全域で快適。高速巡行時のフラットな走りも印象的だった。しかもダイナミックモードを選択すると、攻めたスポーティな走りに適した設定となる。
先進運転支援機能も充実しており、新たに高速道路における車線変更アシスト機能が追加された。そのほかパークアシストプロには、最長200mの駐車経路を記憶し、車両が自動で駐車できるメモリー機能や、直前に通ったルートを最大50mまで自動で後退するリバースアシスト、ホイールが縁石などの障害物に接近すると警告するカーブストーンアシスト、衝突回避の自動ブレーキをかけるマニュアルバーアシストなどが備わっている。
短時間の試乗では試せなかった機能もあるが、新型A6は、とにかくあらゆるところが進化していた。このクルマに触れた人は誰もが何かしら驚くのではないかと思う。アウディのクルマ作りは、新たなステージに移行した。
