
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)/価格 640万円。ツーリングは逞しい走りと優れた日常性、さらにアウトドアシーンでも万全のユーティリティを備えたワゴンスタイルのBEV。SUBARUトレイルシーカーとは兄弟車の関係になる。4WDの一充電航続距離は667㎞(20㌅タイヤ仕様は627㎞)と余裕たっぷり
トヨタの主力BEV、bZ4Xシリーズが売れている。2026年1~6月には1万3777台を販売した。前年比で実に6958.1%という驚異的な売れ行きだ。地道に改良を重ねてきたことに加えて、最新モデルは一充電走行距離の延伸をはじめ走りを中心に各部を大幅にリファインした点がプラスをもたらしている。
そんなbZ4Xのニューフェイスがワゴン版となるbZ4Xツーリングだ。ツーリングは、SUBARUのトレイルシーカーの兄弟車。だが、エクステリアデザイン、シート表皮など各部は差別化されている。
グレード展開は、トレイルシーカーが2グレード構成でエントリー価格が539万円~と低く設定されているのに対し、bZ4XツーリングではZのモノグレード。駆動方式はFWDと4WDの2種で価格は575万円〜640万円となっている。ツーリングは全車パノラマルーフを標準で装備している。
スタイリングはトヨタのアイコンであるハンマーヘッド・デザインを採用。リアオーバーハングを延長しており、全長は4830㎜となっている。パッケージングは、標準bZ4Xとリアシートまでは同じ。リア回りに大きな荷物を積めるスペースを確保しているのがツーリングの個性だ。
トレイルシーカーと比較すると外観はジェントルな印象である。トレイルシーカーはタフなアウトドア仕立てなのに対し、bZ4Xツーリングはネーミングのとおり、快適に長距離ドライブをこなせるワゴンのキャラクターが与えられている。全長がトレイルシーカー比で15㎜短いのは、デザインの違いによるもの。最低地上高はトレイルシーカーの210㎜に対し、bZ4Xは180㎜。足回りのチューニングが異なっている。
インテリアはシート表皮が違う。トレイルシーカーの上級グレード(ET-HS)がナッパレザーを採用するのに対し、bZ4Xツーリングは合成皮革になる。ステアリングホイール形状も専用だ。bZ4Xは一般的な円形のところ、トレイルシーカーはメーターと干渉しにくいオーバル形状を採用。bZ4Xはチルト位置を低めにしないとメーターとかぶるのが難点。なぜトレイルシーカーと別デザインにしたのだろうか。オーディオも異なる。bZ4XツーリングはJBL製、トレイルシーカーにはハーマンカードン製が搭載されている。
なお、bZ4Xツーリングはトヨタの元町工場(愛知県豊田市)ではなく、スバルの矢島工場(群馬県太田市)で生産される。
走りは俊敏でスムーズ。bZ4Xツーリングとトレイルシーカーはパワーユニットをはじめ基本ハードウェアを共有しており、試乗車の4WDはフロント、リアとも167kW/268Nmの強力なモーターを搭載。増大した後輪駆動力を活かす制御が組み込まれている。
パフォーマンスは圧倒的。0→100㎞/h加速タイムは4.5秒だ。アクセルを踏めばたちどころに力強く加速する。そのダッシュ力は高性能スポーツと同等。この価格帯でこれだけの速さを持つクルマはあまりない。もちろんアクセルの踏み込み具合で緩急は自在。エコモードを選びジェントルに走っても、走りの余裕は十分だった。一充電当たりの航続距離は690㎞、20㌅タイヤを装着した試乗車でも627㎞に達する。これだけ走れば安心度は高い。わずか28分で10%から80%まで急速充電できるのもプラスポイントである。
乗り味はしっかりとした味わい。bZ4Xツーリングは、トヨタが従来から大切にしている「Confident & Natural」の考え方のもと、乗り心地をしっかり確保したうえで、自然で安心感のある操縦性を目指したという。具体的には、サスペンション設定と各種制御によって、コーナリング時の車両ヨー変化と車体のロールを最適化。滑らかに曲がっていく特性に仕上がっている。ドライバーに過度な緊張感を与えず、長距離移動やさまざまな路面環境で快適に運転できるのが大きな魅力だ。実際のドライブフィールは、やや引き締まった味付け。舵の正確さを重視していると感じた。それが絶大な安心感につながっている。
ツーリングは好調な販売を見せるbZ4Xの魅力をより高めるオールラウンダーだった。補助金(本年度のCEV補助金は130万円)を含めると車両価格は意外にリーズナブルである。BEVとしてはもちろん、1台のクルマとして完成度が高い。
