
ホンダは年頭の東京オートサロン2026で、F1へのパワーユニット供給をはじめグローバルでモータースポーツ活動を行うHRC(ホンダレーシング)の知見を活かした積極展開を発表。中でもプレリュードはGT500マシンの座を射止めるなどスポーツフラッグシップの座を明確化した
新型プレリュードは、ホンダのスポーツフラッグシップの座を着々と明確にしている。2026年シーズンから、国内レースの最高峰、GT500クラスのマシンの座を射止めた。GT500といえば、長年NSXがその座を務め、ここ2年ほどはシビック・タイプRが戦ってきた栄光のポジション。プレリュードはシビックと比較して空力特性に優れ、戦闘力が高いといわれる。レースマシンに完全変身したプレリュードは、市販モデルとは別種のアグレッシブさを感じる。
ホンダというメーカーは「スポーツ」が重要なDNAだ。最初に手がけた4輪モデルはDOHCユニットを搭載したSシリーズだったし、1960年代からF1に積極参戦するなど、モータースポーツへの傾注は筋金入り。最近は、フラッグシップスポーツの座が超ド級のNSXになったり、わりと身近なシビック・タイプRになったり、今回プレリュードに変更されたりと変動が激しいが、久々のスポーティ2ドアクーペ、プレリュードのGT500マシンへの就任は、プレリュードがオシャレさを磨いたスペシャリティという側面だけでなく、本気のスポーツとしても一級品という、意思表明に感じる。クルマ好きとして、まずは歓迎したい。
プレリュードは、次世代クーペとして開発がスタートした。当初は別の車名になる予定だったが、開発を進めていくうちに、「これはプレシュードの復活だ」という話になったそうだ。だから過去5世代とデザイン上の関連性はあまりない。過去作はすべて独立したトランクを持つ2ドアだったが、新型は大型リアゲートを備えた3ドアである。
ともあれ新型プレリュードの注目度は非常に高い。乗っていると幅広い層が目で追ってくる。最近では珍しいクーペフォルムということあるが、プレリュードがそもそもBIGネームだからだろう。新型は登場したばかりだが、早くも名車への階段を駆け上がっているように感じる。
プレリュードの人気を不動のものにしたのは、1980年代に一世を風靡した2~3代目だった。リトラクタブル式ヘッドランプを採用した端正なクーペは、「デートカー」と呼ばれた。最新の6代目は、ダイナミックなフォルムを採用。パワートレーンはe:HEVハイブリッドをベースに、エンジンと対話する楽しさを追求した「S+シフト」を新開発。さらにシビック・タイプR譲りのシャシーを導入して超一級のハンドリングを実現した。価格はそれなりに高価だが、乗ると納得の完成度を誇る。スタイリングも走りの楽しさも、実に奥が深い。乗るほどに新しい発見がある。その高いポテンシャルは、「新世代のクーペを作る」という開発陣の強いこだわりが生み出した。だからこそホンダのスポーツフラッグシップとしてGT500マシンの大役も似合うのである。華のある2ドアクーペにして、モータースポーツで戦う武闘派。プレリュードは、さまざまな可能性を秘めたパーソナルカーの代表である。
プレリュードを素材にした、ホンダのワークスカスタマイズブランドの2台に、今回乗る機会に恵まれた。ホンダアクセスと無限が仕上げたスペシャルモデルだ。
純正用品を手がるホンダアクセスにとってプレリュードは特別な意味を持っている。それは1996年に登場した5代目が、その後のエアロダイナミクス開発を左右するモデルとなったからだ。
5代目はホンダアクセスが初めてフルエアロパーツを開発したモデルであり、このモデルから「リフトバランスを整える」という開発思想が生まれた。現在同社が提唱している「実効空力」の源流といえる考え方だ。単なるドレスアップではなく、しっかりと空力性能を追求していこうというホンダアクセスの志はプレリュードから生まれた。
新型となる6代目の純正アクセサリーの空力性能は、「そこまで本格的なものではない」と関係者は語るが、それでも乗るとフラット感が増していた。このあたりは、従来からの考え方が息づいているからにほかならない。見た目もさりげなくスポーティにまとまっていて好印象だ。
フルエアロを装着した5代目とも乗り比べることができたのだが、5代目の高い完成度にも驚いた。やはり空気の力は極めて大きい。エアロの装着で生まれた安定性は高水準。その効果が実感できるのは大したものだ。
一方の無限は、「グライディングスポーツクーペ」をコンセプトに、クルマの本質にこだわるユーザーに向けて、スポーティさと疾走感を表現したパーツをラインアップしている。カーボン製の控えめなエアロパーツと専用スポーツエキゾースト、パフォーマンスダンパーを装着。音量を適度に抑えたスポーツエキゾーストは心地よく、ハンドリングは初期応答性能とリアの追従を意識したチューニングが施されていた。
先日の東京オートサロンでは、ホンダのモータースポーツ活動を統括するHRCが手がけるアイテムを装着したコンセプトモデルも登場。プレリュードは、ホンダのスポーツマインドを牽引するモデルとしてますます存在感を増すに違いない。
ユーザーはプレリュードの「ワイド&ローのダイナミックで伸びやかなプロポーション」を高く評価し、「質感の高いホワイト内装」も好評である。また、モーター駆動でありながら有段シフトのようなフィーリングが味わえるS+シフトは、評判がいい。2月上旬時点でのユーザー層は50代以上が約70%と、かつてのプレリュードを知っている世代に厚く支持されている。とはいえ、30〜40代の世代も約20%を占め、スポーツカー好きの注目を集めていることがうかがえる。現在納車は3〜6カ月待ち。人気ボディカラーはムーンリットホワイトパール(約60%)。納車時期はカラーや仕様に関係するので、販売店に相談を。
