
ダイハツe-アトレーRS/価格:346万5000円。e-アトレーは装備充実のワゴン感覚モデル。ビジネスユースはもちろんRVとしても最適。シートは座り心地に優れたファブリック仕様。荷室最大長は1820mm。高さも余裕たっぷり。車中泊にも対応
ダイハツでは1957年の3輪商用車、ミゼットの発売以来、「たくさん積めて、壊れない、お求めやすく、頼れる“働く相棒”」を念頭に、暮らしを豊かにするクルマ作りを推進してきた。その系譜は現行ハイゼットで11代目を数える。
一方で電気自動車への挑戦も積極的だ。1960年代、当時の小石社長の「我が社が作るクルマだけでも排出ガスと騒音のないようにできないか…」という強い思いをきっかけに、いちはやく環境対応に挑戦。1970年の大阪万博には100台以上の会場用EVを提供。その後も積極的に開発に取り組んできた。
正式発表された「e-ハイゼットカーゴ」と、その充実装備仕様の「e-アトレー」は、長年の軽商用車生産の自信と環境対応への知見をベースに、「暮らしを守る働くクルマ」をコンセプトに開発された自信作だ。
現在、1400万台におよぶ全商用車保有台数のうち、約60%を軽商用車が占める。日々働いている軽商用車から電動化をスタートすることで、カーボンニュートラル社会を実現する第一歩になるのではいかと考えたという。
ベース車は軽キャブオーバーバンで最も広い積載スペースを誇るハイゼットカーゴ。その積載力と使い勝手のよさをスポイルすることなく、ESU(電力供給ユニット)とe Axle、そしてバッテリーで構成する「e-SMART ELECTRIC」というシステムを搭載した。
航続距離は、軽商用BEVでNo.1の257km(WLTCモード)。バッテリーは36.6kWhという大容量のリン酸鉄リチウムイオン。モータースペックは64ps/126Nmを誇る。
ユーザー目線で見るとAC100V/1500Wの電源コンセントがインパネに配されているのもポイント。移動中に工具等の充電が可能な上、外部給電アタッチメントも全車に標準装備。急速充電インレットも全車が備えており、V2Hにも対応している。
試乗車はe-アトレー。内外装の質感にこだわり、パワースライドドアやキーフリーシステム、スーパーUV&IRカットガラスを装備するのがカーゴとの違いだ。
実際に走ってみて、開発責任者の、「とにかくドライバーにストレスをかけない走りを追求した」という言葉の意味を実感した。モーター駆動の強みで出足から力強いトルクが発生するのはもちろん、アクセルから足を離すと適度な回生力により減速するようになっている。とにかく動きがスムーズで力強く、運転がラクだ。途中で勾配20%の急坂を上ってみたが、ものともせず走り切った。
操縦安定性もハイレベル。バッテリーを床下に搭載した低重心の効果だ。ロールが小さくブレーキング時のノーズダイブも目立たなくなっている。BEV化に対応して車体が手当され剛性が向上したことでボディがしっかりしていることも体感できた。
足回りとタイヤ&ブレーキは進化版。エンジン車に比べて300kgほど重くなったのに対応してサスペンションを専用チューン。タイヤも8プライとし、ブレーキも強化した。ホイール形状にも工夫を施し、冷却性を上げているという。
もちろんBEVなので静粛性はハイレベル。車内だけでなく車外もそうなので、早朝や夜間の配送でも周囲に迷惑をかけることがない。これはドライバーの精神的なストレスを減らす要因になるだろう。
メーカーでは、BEV化による快適でスム-ズなドライバビリティが、ドライバーの負担や疲労の軽減に寄与し、車両の管理者にとっても喜ばれると考えているという。荷室の広さと使い勝手はエンジンモデルと共通。e-アトレーとe-ハイゼットカーゴはプロツールとして高い完成度を誇ると同時に、気軽なアウトドアの相棒としても魅力的である。
