
フェラーリ・アマルフィは成功作ローマの後継となる新世代FRスポーツ。3.9ℓ・V8ツインターボは、ローマ比20cvパワフルな640cvを発生し、足回りも一新。伝統を継承しながら未来を志向した“フレッシュな跳ね馬”である
アマルフィはローマの後継としてリプレイスしたモデルだ。コードネームはF169MMとなる。なのでスタイリングはローマを継承。ボディパネルはすべて新設計だが、シルエットは変わらない。ローマの持つ妖艶でセクシーなフォルムはそのままだ。とはいえ、グリルやバンパーは違う。さらにエアロダイナミクスを求めたデザインに進化した。フロントエンドは12チリンドリに近く、リアエンドはライトユニットが変わっている。
そして可動式リアスポイラーが装備される。スピード域で可変し、それぞれの領域に必要なダウンフォースを生み出す。ローマのそれよりも大きくなり効果は高まっている。完全にボディと一体化したこのリアスポイラーはアマルフィのウリのひとつとなる。
エンジンは3.9ℓ・V8ツインターボで640cvを発揮する。ローマ+20cvの数字。最高速度は320㎞/hで、0→100㎞/h加速は3.3秒を叩き出す。ローマが3.4秒だからコンマ1秒速くなった。モーターのない純然たる内燃機関パワーソースで、F154ファミリーからの発展版となる。ギアボックスは8速DCTが組み合わされる。
ただ、高出力であっても比較的運転しやすく、威圧感なく仕上げられた。というのも、このクルマのターゲットは初めてフェラーリを購入するユーザー層。ローマがそうであったように、アマルフィもまた新たなマーケットを開拓するモデルとなる。
車両ダイナミクスでは新しいブレーキシステムが導入されている。制動距離をこれまでより短くできるのはもちろん、ブレーキフィールにこだわり、ベテランドライバーにも納得のいく仕上がりを目指した。ブレーキ・バイ・ワイヤー、ABS Evo、そして812スーパーファストで初めて導入した6Dセンサーも搭載する。
インテリアはデュアルコックピット・レイアウトを採用。ドライバーとパッセンジャーをそれぞれの空間で包む。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)と呼ばれるインターフェイスは3面のモニターで構成。ドライバー正面の15.6㌅のデジタルメータークラスター、センターの10.25㌅のタッチスクリーン、それと8.8㌅のパッセンジャー用ディスプレイだ。そこではエンターテインメントを選択することもできれば、Gフォースや回転数を表示して助手席を楽しませることもできる。うれしいのはステアリング上のスターターボタンの復活。左手の親指で押すアイコニックなアルミ製物理スイッチが帰ってきた。これにはマーケットの声が大きかったと考えられる。
走らせて感じたのは快適な乗り心地と操作系の気持ちよさ。マネッティーノを“コンフォート”や“ウェット”にしたときの仕上がりは高いレベルにある。路面の凹凸にしっかり対応し、ローマでは細かいピッチングが起きるような場面もアマルフィはスーッと滑るようにこなす。このしっとりした感覚は超高級車に近い。
また、この際のステアリングフィールが気持ちいい。スッと切ったときの感覚はクルマの挙動を感じさせながらも、収まりがいい。無駄な振動はカットされ、最低限必要なだけの情報がドライバーの手に伝わる。これにはEPS(電動パワーステアリング)を基にしたグリップ推定システムが関与している。296GTBで導入されたシステムで、それを今回バージョンアップした。
それにしてもアマルフィはすごくいい名前だ。美しいアマルフィ海岸を自然に想起させる。それにこのスタイリングは絶妙。1960年代のデカダンス的様式「Dolce Vita」を新しく定義した「La Nuova Dolce Vita」はエアロダイナミクスを高いレベルでキープしながらエレガントで美しいフォルムを完成させた。
