
シビックe:HEV RS/価格 465万9600円。e:HEVに加わったRSはダイレクトな駆動レスポンスが満喫できるS+シフトを搭載した2ペダルのFFスポーツ。ボディカラーは写真のシーベッドブルーパールやプレミアムクリスタルレッドなど5色を設定。価格は1.5リッターターボ+6MTの純エンジンRS比で17万1600円高い
クローズドコースで好印象を受けたシビックe:HEV RSを、いよいよ公道でドライブした。シビックは、すでに50年以上の歴史を持つホンダの看板モデル。つねに時代を先取りし世界の人々に驚きを届けるベーシックカーであることを使命としてきた。現行11代目は、ホンダの象徴である「タイプR」を設定していることもあり、ホンダにおけるスポーツイメージの牽引役という役割も担っている。
ラインアップは「FF世界最速」を標榜し、2リッターターボ(330ps)を搭載したタイプRを筆頭に、1.5リッターターボ(182ps)を積むEX/RS、そして環境性能に優れたe:HEV(2リッターエンジン+モーター)仕様のLX/EX/RSの3シリーズ。このうちスポーティな色彩を鮮明にしたのがタイプRとRSだ。
新たにラインアップに加わったe:HEVのRSは、環境を重視した電動車であっても、爽快さを追求するのがホンダ流とばかりに、 「走りの楽しさ」を突き詰めたモデルだ。e:HEVのパワートレーンそのものは標準モデルと共通ながら、プレリュードで好評のホンダ独自技術S+シフトを搭載。スポーティモデルにとって大切な「操る楽しさ」に徹底的にこだわった。もちろん足回りやステアリングのセッティングもスポーツチューン済み。気軽に楽しめるスポーツカーというキャラクターに仕上げている。
S+シフトについておさらいしておこう。仮想の8段トランスミッションの設定により、パドル操作や走行状況に応じてエンジン回転を変動、その際にモーターを制御することでキレのある回転数変化(負荷を与えてエンジン回転を素早く下げる)を実現し、ダウンシフト時には小気味いいブリッピングを再現する機構だ。
アクティブサウンドコントロール(ASC)と呼ぶオーディオスピーカーを使ったサウンド演出と、モーター制御による前後Gの変化によるライブ感の表現も見事。メーターはタコメーターをイメージした表示に変化する。
S+シフトは加速時だけでなく減速時も含め、まるでDCTのような爽快さが、五感を通じて存分に伝わるのが大きな魅力。独特の高揚感は、スポーツ走行時はもちろん、日常の運転シーンでも味わえる。
そのS+シフトは、シビックe:HEV RS専用にチューニングされている。プレリュードと比べて、よりエンジンの存在感が高まったイメージだ。また、プレリュードではドライブモードごとに制御が設定されていたが、シビックではS+シフト・ボタンを押すと必ずスポーツモードに移行。S+シフトをやめると操作前にシフトしていたモードにもどる。シビックのスポーツモードは、プレリュードのスポーツモードとGTモードをカバーする幅広いレンジになっていると聞いた。
変速レスポンスは見事だ。まず点火のコントロールによってエンジン回転数をレスポンスよく変化させ、アップシフトやダウシフトの際のエンジンサウンドにキレを与えるように工夫。回転数の変化に合わせてモータートルクも高いレスポンスで調節されアップシフトでは鋭い増速感、ダウンシフトでは明確な減速感を演出する。ドライバーの感覚とマッチする制御は素晴らしい。パドルを引いたときには変速し、パドルを離したときにはもう次の走りに移行している。
パワートレーンの制御も巧み。さまざまなセンサーによりクルマの走行状況を推測しており、コーナーが迫っているときには最適な仮想ギア段へダウンシフトするアーリーダウン制御を実施。コーナリング中にはホールドする。制御の完成度は高く、あたかもドライバーの心を先読みするかのように的確にダウンシフトしたりホールドしてくれる。しかもマニュアルシフトをすると、加速時にはステップ変速制御を行い、減速時にはレブマッチダウンを行う。ドライバーとクルマがシンクロして操る喜びを味わえるのだ。
サウンドについても、マルチスピーカー化とともにシビック専用の音色とされており、軽快なサウンドが耳に届く。
足回りは専用のサスペンションとステアリングシステムが与えられており、軽快でダイレクトな操舵と挙動の一体感を実現していた。ただし思ったよりも硬め。一般道ではややラフさを感じるほどだった。ワインディングロードではちょうどよく、意のままにスイスイと曲がっていけるのだが、好みは分かれるに違いない。今回は標準e:HEVとプレリュードと乗り比べることもできた。標準のe:HEVや、プレリュードのほうが、快適性という点では優れていた。
販売サイドでは、今後はe:HEVのRSがシビック販売の主力となり、全体の55%に達すると見込んでいるという。実際にステアリングを握り、その数字に納得した。e:HEV RSには、シビックの持つスポーツの世界が色濃く反映されていた。
