【ホンダの底力2026】勝ち技02_当面はKカーやコンパクトクラスからフル電動(BEV)を推進。移動手段+αの体験価値提供が命題になる

ホンダは日本ではKカーやコンパクトカーからBEV化を推進。単なる電動化ではなく大ヒットを記録中のSuper-ONEのように走りの楽しさを提供する付加価値をプラスするのがホンダの勝ち技になる

ホンダは日本ではKカーやコンパクトカーからBEV化を推進。単なる電動化ではなく大ヒットを記録中のSuper-ONEのように走りの楽しさを提供する付加価値をプラスするのがホンダの勝ち技になる

生活に密着したBEVを創造。0(ゼロ)αの開発も進行中

 ホンダの現在の電気自動車(BEV)のラインアップは、発売順にN-VAN e:(2024年10月)、N-ONE e:(2025年9月)、インサイト(2026年4月)、Super-ONE(2026年5月)である。ホンダは2026年3月に北米で生産・販売する予定だったBEVの新シリーズ、ホンダ0シリーズ(主要3モデル)の投入中止を発表した。三部敏宏社長が強調したように、これをもってホンダはBEVから手を引くのかというと、そんなことはない。ホームマーケットに位置付ける日本ではむしろ、BEVに力を入れていく。「日本では人々の暮らしに馴染んだ軽自動車の使い方と、クリーンで静粛性の高いBEVの相性がいい」ことから、「軽自動車からBEVの拡充を図っていく」と話した。

N-VAN

N-ONE

 現在ホンダが取りそろえるBEV4モデルのうち、N-VAN e:とN-ONE e:は軽規格だ。Super-ONEは登録車だが、N-ONE e:をベースにトレッドを広げたモデルなので、ベースは軽。インサイトは異色で、CR-Vとほぼ同等の体格を持つクロスオーバーSUVタイプである。しかも中国でe:NS2として売られている、中国のユーザー向けに開発し生産するモデルを日本向けに化粧直しし、3000台限定で輸入するモデルだ。中国のユーザーが好むアロマディフューザー機能はそのまま受けついでおり、この装備は国内向けホンダ車初採用である。

インサイト

ゼロα

 e:NS2改めインサイトは小さなクルマばかりの国内BEVラインアップにあって、空白となっている登録車のゾーンを埋めるために選択された。ゼロから開発したのでは時間がかかるしコストもかかる。中国から持ってくればいいではないか、というわけだ。先のビジネスアップデートでは軽のBEVに集中する旨の発表があったので不安になるが、北米が主戦場となる0シリーズの投入は中止になっても、そのデザインテイストを受け継ぎ、インドで生産し日本には2027年にやって来るはずのホンダ0 α(ゼロ・アルファ)を投入する計画は継続している。インサイトは0 αが発売されるまでのつなぎの役割を担っているはずで、3000台が行き渡ったころに0 αが満を持して登場すると期待したい。

2028年に王者N-BOXのBEVがいよいよデビュー

 ビジネスアップデートで三部社長は、「2028年にN-BOXのBEVモデルの発売を予定している」と発言した。ようやく真打ちが登場する。軽自動車のマーケットをリードする代表格がN-BOXなのだから、BEVを投入するなら真っ先にN-BOXだろうと筆者は思うのだが、なぜかホンダはN-VANからBEV化し、次にN-ONEを選択した。N-BOXは主力モデルなので手始めにN-VANで探りを入れ、N-ONEで実績を重ねて、それまでに培ったノウハウを総動員してN-BOXのBEV(N-BOX e:になる?)を投入する考えだろうか。

N-BOX

 今夏にもN-BOXと同じスーパーハイト型のBEV、ラッコを発売するBYDは、日本で一番売れている軽自動車はN-BOXなのだから、「日本に軽規格のBEVを投入するならN-BOXタイプ」とシンプルに考えて企画した。ホンダは国内でのBEVの展開で遠回りしたように思うがどうだろう。N-BOXは、BEV版でも現在のような横綱相撲がとれるだろうか。

 軽自動車のBEVはホンダの独壇場ではない。日産にはサクラ、三菱にはeKクロスEVがある。スズキやダイハツも黙ってはおらず軽のBEVを準備中。競争激化は必至で、その中で主導権を握るには勝ちワザが必要である。強みはパッケージングだと筆者は考えている。ホンダのクルマづくりの根幹を支えるM・M思想こそが勝ちワザではないか。

スーパーONE 01

スーパーONEカット

 M・M思想とは、「人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に」を意味する。1967年のN360がM・M思想の原点。限られた軽自動車枠の中で最大の居住空間を確保しようと、小型軽量なエンジンとトランスミッションを開発し、床下にプロペラシャフトが通らないFFの駆動方式を採用した。この思想はエンジンと燃料タンクがモーターとバッテリーに置き換わった軽自動車のBEVにも生かされており、たとえば、N-ONE e:はエンジン車のN-ONEとまったく同じ室内空間を確保している。

 もうひとつの勝ちワザは1万1000台以上の受注を集めたSuper-ONEのBOOSTモードに代表されるFUNの要素だ。プレリュードやシビックe:HEV RSに適用されているホンダS+シフトのBEV版ともいえる仮想有段シフトと仮想エンジンサウンドが盛り込まれており、走る楽しみ、操る歓びが増す仕掛け。クルマを単なる移動手段で終わらせないところがホンダが作るBEVの真骨頂だと思う。

スーパーONE/価格:339万200円。FUNな走りを追求したライトウェイトBEV。N-ONE e:比でトレッドを50㎜ワイド化。BOOSTモードではモーター出力が47kWから本来の70kWに増強され仮想有段シフトも楽しめる。3580×1575×1615㎜、一充電航続距離274㎞、CEV補助金130万円

スーパーONE/価格:339万200円。FUNな走りを追求したライトウェイトBEV。N-ONE e:比でトレッドを50㎜ワイド化。BOOSTモードではモーター出力が47kWから本来の70kWに増強され仮想有段シフトも楽しめる。3580×1575×1615㎜、一充電航続距離274㎞、CEV補助金130万円

[ミニ試乗]Super-ONEは令和のブルドッグ! 日常を刺激的にする乗り物

カット

 スーパーONEの販売は瞬く間に1万1000台を突破。いまやBEVの台風の目になっている。人気の要因はその痛快な走り。Nシリーズとして進化させてきた軽量プラットフォームを活用、トレッドを広げたワイドなスタンスにより、痛快かつ安定感のあるパワフルな走りを実現している。BOOSTモードを選択すると、最大出力が通常の47kWから70kWへと高まり、パワーユニット性能を最大限に引き出すのがポイント。やはり約1.5倍も出力が違うと、力強さは格別。さらに、7段変速の有段変速機のようなギアチェンジの感覚を再現した仮想有段シフト制御により、ステアリング部のパドル操作による変速も可能。より積極的なドライビングが楽しめる。シフトチェンジするときの感覚も見事に表現されているほか、レブリミッターに達したときの反応まで内燃エンジン車のように仕上げられている。アクティブサウンドコントロールにより、アクセル操作に応じて迫力ある仮想のエンジンサウンドが車内に響くのも心踊る要因だ。。往年のブルドッグ(シティ・ターボⅡ、1983年)のようなスタイリングも魅力的。一充電航続距離は274㎞である。

室内

[ミニ試乗]インサイト/スタイリッシュな造形、走りのレベルも高い

インサイト/価格:550万円。インサイトは走りの余裕を追求。150kW/310Nを誇るモーターと、容量68.8kWhバッテリーの組み合わせで535㎞の一充電航続距離を実現した。ホンダ車初のアロマディフューザーやインテリジェントヒーティングシステムなど装備も充実

インサイト/価格:550万円。インサイトは走りの余裕を追求。150kW/310Nを誇るモーターと、容量68.8kWhバッテリーの組み合わせで535㎞の一充電航続距離を実現した。ホンダ車初のアロマディフューザーやインテリジェントヒーティングシステムなど装備も充実

エンブレム

 新型インサイトはBEVで登場。意のままに操れる手の内感と圧倒的な心地好さをコンセプトに走りを作り込んできた。ステアリングを握ると非常に乗りやすく快適なドライブフィールに仕上がっている。中でもアクセルコントロール性は秀逸。意のままにスッと動き、過剰な加速度や不足がなく、強力で伸びのある加速感を維持する。しかも、同乗者にもストレスがないよう配慮されている。

 アクセルオフ時の減速度については4段階から選べるようにされているが、内燃エンジン車から乗り替えても違和感がないようあえてワンペダルにはしていない。操縦安定性については、安心感とスポーティさの最適バランスを追求。前輪のブレーキを独立制御して車両挙動をコントロールするアジャイルハンドリングアシストがライントレール性を高めてくれる。SPORTモードではアクティブサウンドコントロールも楽しめる。

 乗り心地も良好だ。全般的にフラットな味わいで疲れない。広い室内空間ときめ細かな装備も満足度が高い。一充電航続距離は535㎞に達する。 

室内

 

 

 

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