
ボルボXC40ウルトラB4 AWD/価格:7DCT 639万円。XC40は「2018年 欧州カー・オブ・ザ・イヤー」とともに「2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー「に輝いた実力車。現在もボルボの主力車種。最新車はAWBのB4とFWDのB3でラインアップを展開。ウルトラは本革シート/プレミアムオーディオなどを標準装備した上級グレード
ボルボのハイコンパクトSUV、XC40に再び注目が集まっている。俳優の杏さんを起用したテレビCMがスタート。デビュー9年目を迎える現在も販売は好調で、日本ではボルボ全体の30%以上を占めるベストセラーの座を守っている。
XC40は2018年にデビュー。その高い完成度が評価され「2018年 欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するとともに、「2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー」にも輝いた実力車だ。ちなみに日本カー・オブ・ザ・イヤーは、前年のXC60に続いての受賞だった。
XC40は、基本設計はそのままに時代に合わせて進化する。PHEVやマイルドHV化などの電動化を推進するとともに、BEVのEX40も追加。ボルボの大きな魅力になっている安全・運転支援機能もモデルライフを重ねるごとに進化させた。
最新モデルは、次世代UX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するインフォテインメントシステムの採用がポイント。最新のコンピュータ基盤を導入することで、処理速度2倍以上、グラフィックの生成速度は10倍以上に向上した。室内中央にレイアウトされたディスプレイのインターフェイスは使いやすく、しかもサクサク動く。ナビはGoogleを採用。各種操作は音声で可能だ。
ラインアップはFWDのB3とAWDのB4の2タイプ。ともに高効率ミラーサイクルを採用した2リッターの直4ターボとモーターを組み合わせた48VマイルドHVだ。エンジンチューンはグレードにより異なりB4は197㎰/300Nm、B3は163㎰/265Nmを発揮する。今回は久しぶりにXC40の魅力を味わおうと湘南のマリンサイドと箱根のワインディングに連れ出した。
ボルボは、他のメーカー以上にロングライフが特徴である。かつてボルボのイメージリーダーだった240シリーズは1970年代から90年代まで生産。現在でも世界中に熱烈なファンが存在する。長く愛される理由を、個人的には「くつろげるクルマだから」と分析している。
ボルボはメカニズム的にとくに目立つポイントはない。速さもそこそこだ。だが240を含め、歴代ボルボに乗ると、座り心地のいいシート、守られているという実感のある室内空間など、ドライバーを含めパッセンジャー全員を大切にしているメーカーの思いが伝わる。シンプルながら趣のある北欧デザインも気持ちが和らぐ。他のブランドとはひと味違う世界が広がるのだ。現在までに4台のボルボを愛車にしてきたが、どれもいい思い出を作ってくれた。家族のよきパートナーとして大活躍してくれる働き者だった。
まずはB3をドライブ。9年目を迎えるXC40はフレッシュな香りに満ちていた。スタイリングの存在感は高く、4440×1875×1655mmのサイズは日本で乗るにも適度。全幅はやや広いが、絶好の視界もあり気にならない。居心地のいいシートに身を落ち着けてのドライブは格別の時間だった。路面の段差や継ぎ目を巧みにいなす足回りと静粛性の高いパワートレーンとの連携が、リラックスしたクルージングを楽しませてくれた。ドライビングに集中するというより、パッセンジャーとの会話や音楽を楽しみたくなるのがボルボらしい。このクルマなら、見知らぬ土地を訪ねるロングジャーニーでも疲れは少ないに違いない。
箱根の山岳ワインディングでB4に乗り換えた。B3の163㎰に対して、197㎰を発揮するB4はひと回りパワフルだ。B3でも不満はないが、右足を深く踏み込んでも5000rpm以上になるとパワーは伸びない。B4なら6000rpmまで力がリニアに盛り上がる。急な上り勾配でも余裕たっぷりの走りが楽しめた。
フットワークもいい。B4はB3の18インチに対して19インチタイヤを装着。しなやかな足回りが路面をしっかりと捉える。スポーティにもジェントルにも意のままだ。この自在性がいい。
XC40の魅力は、ボルボ本来の味わいがバランスよくまとまっていることにある。どこかひとつが秀でているのではない。多様なシーンに寄り添う完成度が光る。最新のライバルでも、このクルマほど丁寧に仕立てられているクルマはなかなかない。
ちなみに兄貴分のXC60と比較したときのXC40のアドバンテージは、ちょうどいいカジュアルさにある。XC60はいいクルマだが、日常使用では「立派すぎる」と感じるケースもある。価格も250万円ほど高価だ。
一方、BEVの弟分、EX30と比べるとXC40は室内の余裕がアドバンテージ。EX30の後席はやや狭い。XC40は余裕たっぷり、大人4名でのドライブが楽しい。荷室も広く使い勝手に優れている。またACCなど運転支援機能の制御もXC40のほうが緻密。EX30は時としてラフな動きを見せるが、XC40は滑らかである。
ボルボは長くつきあうほど愛着が湧くクルマ、XC40はまさにその典型だと感じた。9年目を迎え、ますます輝いている。20年選手になっても色褪せない本物である。
