
VWパサートTDI・4モーション・Rライン/価格:7DCT 659万9000円。パサートの2リッターターボ(193ps/400Nm)は2系統のSCR触媒を使い分けるツインドージングシステムなどでクリーン性能を追求した最新世代。パフォーマンスも優秀。WLTCモード燃費は16.4km/リッター
VWは、かつて失態を演じたとはいえ、ディーゼルのスペシャリストに違いない。パサートのTDIモデルに乗って、改めて実感した。
ディーゼルエンジンは、膨張比が大きく低回転で大きなトルクを生み出し、少ない燃料で高い燃焼効率を発揮する優れモノ。トルクフルで経済的な点が大きな特徴だ。日常ユースで魅力を実感できるパワーソースの代表であり、ロングクルーズを好むユーザーに支持層が多い。
そしてVWの場合、パサートを筆頭にディーゼルは4MOTION(=4WD)との組み合わせが主軸である。アクティブなライフスタイルのユーザーにとって、優れた走破性能を備えた4WD+ディーゼルは、まさに魅力的な選択肢といえる。
VWの最新2リッター・TDIエンジン(EA288エボ)は、クリーンさも大きなアピールポイント。ツインドージングシステムと呼ぶSCR触媒コンバーターの2系統化により、従来比でNOx排出量を最大80%削減することに成功している。これは2系統に分けた触媒コンバーターを同時に働かせるのではなく、コールドスタートでは第1SCRのみ。排気温度が250~300度に達すると第2SCRに切り替えるシステムの成果だ。ディーゼルを一段と地球に優しい存在とするVWの積極姿勢には目を見張るものがある。
ちなみにコモンレール式の燃料噴射システムは、2000バールもの高圧で、1回の燃焼あたり9回の分割噴射を行っているという。その精度はまさに精密機械という表現がふさわしい。ここにもVWの最新技術が惜しみなく投入されている。
2リッターディーゼルのパワースペックは、最高出力が193ps/3500〜4200rpm、最大トルクは400Nm/1750〜3250rpm。VWの主力ガソリンユニットとなる1.5リッター・eTSI(150ps/250Nm)と比較すると出力/トルクとも大幅にパワフルで力強い。中でもトルクの太さは圧倒的。そして最大トルクの発生回転数が1750rpmからと低いから、日常的にその力強さが実感できる。
試乗したパサートには、まさしくこの進化版EA288 evo TDIエンジンを搭載。4MOTIONが標準となるのもアピールポイントだ。
加速は望めばスポーティモデル並み。ほしいと思ったトルクを瞬時に生み出してくれる力強さはディーゼルならでは。しかも7速DCTの利点でダイレクト感たっぷりだ。変速レスポンスは素早く、アクティブなドライビングも思いのまま。ハンドリングは極めて素直。意のままに操ることができ、ボディの大柄さを感じさせない。ロック・トゥ・ロックは2回転あまりとクイックな設定にもかかわらず、運転していると俊敏さより優しさを感じるハンドリングの味付けにななっている点も気に入った。
静粛性も高い。窓を開けるとディーゼル音が聞こえるが、窓を閉めた車内は実に静かだ。後席にも乗ってみた。まずは広さに驚いた。膝前にドーンと余裕があり、ガラスルーフによる開放感も高い。荷室の広さと使いやすさも申し分ない。SUV全盛期でも、車高が低いがゆえの荷室の使い勝手、そして自然なドライブフィールを求めて、あえてワゴンを選ぶ意味は大いにある。ディーゼルとワゴンはよく似合う。
