
DS No.4 ETOILE HYBRID/価格:6DCT 625万円。No.4は大幅改良を機に従来のDS4から車名を一新したDSの主力。ボディカラーはクリスタルパール(写真)/ノアール ペルラネラ(黒)/カシミア(グレー)/ブラン アルバータ(白)の4色。どれも個性的な色彩
DSはシトロエンから発展したフランスを代表するプレミアムブランド。大統領車に採用されるなど格式が高い。内外装を中心に、いわゆるフランスの伝統工芸、職人の匠の技といわれるオートクチュールの考え方を導入。内装を中心に凝った装飾を施してこだわりを見せてきた。デザイン性とパーソナル感を重視するその姿勢は、メルセデスやBMWなどのジャーマンプレミアムとは明らかに違う。
今回紹介するのは、DS4あらため車名をNo.4とした、新世代DSの中心的なモデルである。実質的にはDS4のビッグマイナーチェンジ版となるが、変更点は多岐にわたる。表情が大きく変わり、アバンギャルドなデザインと精緻な造形のライティングシグネチャーにより、一段と強い存在感を放つフロントフェイスとされた。
バンパー両端から中央へと集まる光のラインがDSロゴと一体となり、フロントを一文字に結ぶライティングシグネチャーは、まさに印象的。DSならではの強い主張を感じる。また、これまでと異なりクロームの装飾を廃したのは、環境への配慮だという。
ホイールのデザインも刷新されている。新しい19インチ [LIMA] アロイホイールは、深みのある光沢をまとったブラックオニキス調仕上げ。機能アイテムというよりファッションアイテムという印象で、ダイヤモンドカットによる立体的で精緻な造形が際立っている。
リアには大きな変更はない、スリムなテールランプは、ブラックおよびスモーククロームの色調を採用。ひし形を基調としたパターンとともに、奥行き感の表現が美しい。40灯のLEDを用いたシーケンシャルインジケーターは流れるような「光の軌跡」を生み出す。ボディサイズは4415×1830×1495mmと適度。プレミアムモデルとはいえ、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズよりもコンパクトで、日本でも扱いやすいサイズにまとめている。
No.4はDSらしく室内も大いにこだわっている。上質な素材と緻密なディテールによって構築されたインテリアもまた印象深い。ブラックのアルカンターラ素材を随所にあしらい、スエードのような柔らかさと、しっとりとした上質な感触で乗員をやさしく包み込む。
ドアトリムやエアベントには、パリの伝統装飾に着想を得た 「クル・ド・パリ」 パターンが施されており、宝飾品に通じる意匠がフレンチラグジュアリーの気品を表現している。
機能性にも抜かりはない。視認性に優れた10.25インチのデジタルインストルメントパネルを採用し、ナビゲーションやオーディオなどの各種情報をヘッドアップディスプレイと連携して表示する。さらにアプリ機能をホーム画面に直接表示してのインフォテインメント・ウィジェット選択では、走行シーンに応じたレイアウトにカスタマイズすることも可能となっている。
室内レイアウトは、どちらかというと前席優先。リアシートは狭くはないが、格別広くはない。No.4の本質はパーソナルカーである。
パワートレーンは最新ステランティス流。1.2リッターの直3ターボとモーターを組み合わせた48VマイルドHVを採用する。No.4ではとくに静粛性を中心にファインチューンされ、上質な味わいが強調されている。6速DCTに電動モーターを内蔵し、発進や加速時にはモーターが的確にアシストすることで、力強くスムーズな加速を実現して いる。市街地などの条件下ではモーター走行も可能だ。感覚としては、市街地では半分ぐらい電動走行する印象である。このパワートレーンにより、優れた動力性能とともに、WLTCモード20.1km/リッターという高い燃費性能を実現したことも注目ポイントになる。
パフォーマンスはエンジン排気量が1.2リッターでも優秀。プレミアムモデルらしいゆとりを実現しているのはさすがだ。静粛性もハイレベル。3気筒である点がDSとしてどうかというのが気になっていたのだが、回転を極端に上げない限り、耳障りに感じることはない。普通に流している分には音や振動についての対策は、ほぼ万全だ。
足回りも味わい深い。ストローク感がありながらも適度に引き締まっていて、フラット感が高く、乗り心地もよい。ハンドリングもジェントルな味わいながらも正確さが印象的だ。思ったとおりにラインをトレースしていける。走りには一体感があり、姿勢をコントロールしやすく、挙動も乱れにくい。ドライバーズカーとして一級品の味わいを放っている。
No.4の走り実力は高い。だが、何よりこの内外装デザインは一見の価値アリ。スタイリッシュなだけでなく、独特の世界観に引かれる。デザインが本質のクルマであることには違いないが、先進装備も充実しており、各部の使い勝手にも十分に配慮されている。
No.4は、見ても乗っても触れた人に強いインパクトを与える。従来のDS4に乗ったときも感銘を受けたが、No.4はさらに味わい深かかった。他人とはひと味違う、個性的なクルマを求めているユーザーは、大いにお勧めできる1台である。
