
マツダ3ファストバックXDドライブエディション(FF)/価格:6SAT 317万7900円。スタイリングの完成度は抜群。駆動方式はFFと4WDを設定。4WD仕様の価格は23万6500円高。マツダ3のスカイアクティブD(S8-DPTS型)は1756㏄の排気量から130ps/270Nmを発揮
対話するディーゼル――久しぶりにマツダ3をドライブして、こう実感した。試乗モデルは、XDドライブエディション。人気のスカイアクティブDユニットとブラック基調の精悍なディテール、そして本革シートをはじめとする充実装備を備えた魅力的なモデルだ。
走りはじめて、まず感銘を受けたのはエンジンの軽快さとサウンド。ディーゼルというと重々しい回転フィールというのが定説だが、マツダ3の1.8リッターターボは、ガソリンユニットと遜色のない滑らかさで回転が上昇する。音も心地いい。耳につく不快さがまったくない。この美点は、従来からマツダのスカイアクティブDの持ち味だが、それが一段とリファインされていた。もちろん回転上昇に応じてトルクがモリモり湧き出すディーゼルならではの魅力は健在。最新のXDは、エンジンを味わうクルマに熟成されていた。
マツダ3が搭載するS8-DPTS型ユニットは、1756㏄の排気量から130ps/270Nmの出力/トルクを発揮する。欧州製ライバルと比較するとスペックは控えめ。だが実際のパフォーマンスは優秀である。実用域から豊かなトルクが実感でき、しかも右足に力を込めるほどパワーが盛り上がる。一般的なディーゼルでアップテンポな走りにトライすると、回転の切れ味という点で不満を感じるケースがある。だがマツダ3はむしろアップテンポな走りが得意。試乗車はATだったが、MTとの組み合わせ(現在は設定なし)でも大いに楽しめそうだ。
それでいて街中や高速道路でのジェントルな走りでも、絶対的なトルクに余裕があるためゆとりあるクルージングが可能。まさにドライバーの気持ちにピッタリと寄り添うパワーユニットである。個人的にはシャシー側にまだまだ余裕が感じられるのでハイパワーエンジンの搭載も期待したいところ。S耐で戦っている2.2リッターディーゼル搭載マシンが市販化されると楽しいに違いない。昨秋のJMS2025で提案された排気中のCO₂を回収する「Mobile Carbon Capture」との組み合わせなら、さらに気持ちよく走れそうだ。
とはいえ、現在の1.8リッターでも完成度は抜群。ちなみに今回の約250kmの試乗では18.6km/リッターの燃費をマークした。電動車全盛の中、純エンジンで、優れた経済性とドライバビリティを実現したマツダの技術力はさすが。なにより「運転は楽しい」と感じさせる点が素晴らしい。
改めてマツダ3に触れ、自然なドライビングポジション、ドライバーの操作に忠実に反応するハンドリングと高いスタビリティにも感銘を受けた。ディーゼルという心臓を支える基本がよくできている。そのうえで各部の作り込みは入念で、スタイリングも抜群。300万円台前半のプライスながら、プレミアム感も濃厚である。マツダ3は、ロードスターとともに、日本を代表するドライバーズカーの1台だと確信した。デビューから相応の時間は経過しているが、「熟成のマツダ3」は、いまが旬である。
