ホンダでは複数のADASを群として装備し、それをHonda SENSING=ホンダセンシングと呼び普及させてきた。初代ホンダセンシングは2014年10月に発表され、2015年2月に販売を開始した5代目レジェンドに初めて実装した。
そのホンダセンシング発表会の場で筆者は、この先の全車対応や、市場展開について質問した。これに対し当時のホンダ首脳陣は、「全車への展開を想定した大がかりなもので、その先には自動運転技術への発展も見据えている。北米市場では同様のシステムを“Acura Watch”とネーミングし順次、搭載する」と自信たっぷりに答えた。
その言葉どおり、いまやホンダセンシングは世界規模、国内では軽自動車にまで搭載が進む。また2021年3月には、自動化レベル3の自動運転技術を包括するホンダセンシング・エリートへと昇華させた。エリートを搭載したレジェンドは法人リースで100台の限定販売だったが、世界初の量産車による自動運転技術搭載車として金字塔を打ち立てた。
このエリートの発売から、ホンダの先進安全技術は次世代型へとシフトする。皮切りは2021年10月に発表されたホンダセンシング360だ。光学式単眼カメラに5基のミリ波レーダーを加えたフュージョンコンロール方式を用い、センサー認識範囲を360度まで広げたことから360を名乗る。
続く2022年12月には、ホンダセンシング 360次世代技術とホンダセンシング・エリート次世代技術を発表する。両システムは2021年4月にホンダが掲げた「2050年に全世界で、ホンダの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指す」という宣言を具体化させる技術だ。
エリート次世代技術では、ホンダが初めて一般道路を含めた走行環境で高度な運転支援を行うと名言したことに注目した。実際、後述する“ビジネスアップデート2025”で発表された次世代ADASはエリート次世代技術そのものだった。
2023年11月、まずは360次世代技術の実装版としてホンダセンシング360+が発表され、2025年5月にアコードが実装した。360+は従来型の360に対して、ドライバーモニタリングカメラの追加と高精度地図の採用、さらには車両の制御機能を向上させるなど、複数の支援技術をプラスした。
360+はエリートの自動運転技術をベースに、高速道路や自動車専用道路でのハンズオフ走行を可能にした。ただし、これは“自動化レベル2/カテゴリーB2”の段階に該当する。機能的には条件が整えばハンドルから手が放せる走行状態が提供されるシステムで、日産プロパイロット2.0と同様の運転支援機能だ。
そして、前述した次世代ADASは、要は道路条件を問わず稼働する高度な運転支援技術である。たとえばカーナビで目的地を設定すると、一般道路か高速道路かを問わず目的地までの全経路において、アクセルやブレーキ、ハンドルなどの運転操作を支援する。これは一般的にNOA(Navigate on Autopilot/高速道路と一般道路の両方での一部、手放し含めた高度な運転支援技術)と呼ばれるシステムだ。
ただし、NOAは自動化レベル2/B2に属する。(したがって自動運転技術ではない)。同様の技術をテスラの場合は、Full Self-Driving-Supervisedの名称で米国各都市のほか、現在9カ国で稼働中。メルセデス・ベンツはMB.DRIVE ASSIST PROとして、中国、そして北米で実装を開始した。2027年度には日産が次世代プロパイロットとしてエルグランドに実装する予定だ。

次世代ホンダセンシングは2028年に発表する予定の次期ヴェゼルから搭載がスタートする。2032年にかけて世界で15モデル以上に搭載予定。2050年に4輪&2輪の事故死者ゼロを掲げるホンダのコア技術になる
2026年5月開催のビジネスアップデート2026では、その次世代ADASをホンダの中長期ビジョンの柱として2028年に発売するヴェゼルから搭載を始め、2032年にかけて世界で15モデル以上のHVに搭載するとの説明がなされた。
2021年3月現在、ホンダセンシングは240万台以上のホンダ各モデルに搭載されており、その未来は明るい。国策のASVの中で採択された協調人工知能Honda CIが頭脳となり、ドライバーとシステムが協調して安全な運転環境の築き上げる、高度な運転アシスト技術に育つと考えている。
※NOAに関しては、現時点で日本では実装されていないため、本文では「ただし、NOAは自動化レベル2/B2に属する。」としている。なお、NOAを自動操舵の国連基準(UN-R79)に照らし合わせると、カテゴリーB2〜Eに相当する。
