【ホンダの底力2026】マーケティング戦略見直しはアメリカの環境変化が要因。Hondaは得意のハイブリッドで前進する

ホンダの主力市場は北米。4輪車の販売台数は世界販売の約47%を占める160万5000台。日本の60万5000台(ともに2025年3月期)を大きく上回る。北米の4輪生産工場は他社に先駆け1982年から稼働した

ホンダの主力市場は北米。4輪車の販売台数は世界販売の約47%を占める160万5000台。日本の60万5000台(ともに2025年3月期)を大きく上回る。北米の4輪生産工場は他社に先駆け1982年から稼働した

BEV戦略の見直しは時代の流れに対応したもの、失敗ではない

 ホンダの評判がガタ落ちだ。これまで推進してきた電動化戦略の見直しにより、2026年3月期には上場以来初の赤字に転落したというのがその主な内容で、その流れだけを見て外部は「ホンダは存亡の危機に立たされている」と指摘する。

 それはホンダの真実の姿なのか?
 たしかに電動化戦略は見直した。ただし、その実態はホンダの主力市場であるアメリカで生産予定だったホンダ0 SUV、ホンダ0 サルーン、アキュラRSXの開発と発売を中止するというもの。BEV開発をすべて凍結するわけではない。個人的には“第2の創業”と位置付けていた0シリーズ(コンパクトサイズの0αのみは開発を継続)をそんなに簡単に諦めてしまうのかと驚きもしたが、アメリカでの規制緩和やEV補助金の見直しが最大の理由と聞けば、米政府の発表を鵜呑みにしたホンダに同情の言葉をかけたくなる。

グローバル地図

 ちなみに、ホンダはBEV戦略の見直しなどで1兆4536億円の損失を計上したが、それらは0シリーズの生産に用いる予定だった資産の評価額改定や部品メーカーへの補償に伴うものが大半で、27年3月期にも5000億円規模で発生する見通し。もっとも、これと似た状況に追い込まれたのはホンダだけでなく、同様の理由でフォードはおよそ3兆円、GMも1兆1500億円規模の損失を計上した。米民主党政権の政策に振り回された「正直者」がバカを見た格好だ。

 結果としてホンダは4143億円の赤字に陥ったが、1兆5000億円近い損失を計上しても赤字が4000億円台に留まったのは1兆2134億円の営業利益があったから。「いつものように二輪事業の利益で四輪事業の赤字を補っただけでしょ?」と思うかもしれないが、26年3月期は四輪事業単独でも2438億円の営業利益を達成している。つまり、本業でしっかり「儲けて」いたのだ。

電動か見直し

 では、ホンダは今後の成長戦略をどのように描いているのか?
 いま、ホンダに最も強く求められているのは収益体質の早期改善である。これを実現するために活用されるのがホンダ独自のハイブリッドシステム、e:HEVで、来年度から2029年度にかけてグローバルに15車種の次世代ハイブリッドモデルを投入。27年3月期は前述した5000億円の損失を差し引いても5000億円の黒字を見込んでいるほか、29年3月期には史上最高となった23年3月期の1兆3819億円を上回る営業利益を目指している。

 これを実現するうえで鍵を握るのが、ホンダの旺盛な開発力だ。
 先ごろ行われたビジネスアップデート2026では、V6エンジン搭載の大型ハイブリッドモデルを2029年に投入すると発表したが、そのほかにも小型/中型向けe:HEVや、従来のスタンバイ型電動4WDとは異次元の走破性や操縦性を発揮する電動4WDを開発中。また、次世代のシビック/アコードなどに採用予定のハイブリッドモデル向けプラットフォームは、騒音・振動、乗り心地、操安性、燃費などの領域を全面的に改良しながら車体コストの10%削減を目標として開発が進められている。

 さらには、もともとBEV向けに開発中だった次世代ADASやSDV化を促すビークルOS「ASIMO OS」などのハイブリッドモデルへの転用も、商品力の向上に即効性のある方策といえる。

 これらとは別に、より現実的なN-BOXなどのBEV戦略も進行中。ちなみに昨今のホンダ車でとくに注目されるのがハンドリング、乗り心地、静粛性などの進化である。動的質感の点ではすでにヨーロッパのライバルたちを凌駕したといっても過言ではない。あとは、こうした基本技術をベースとしながら、どれだけ魅力的な製品を作り上げられるかにホンダの再起はかかっている。個人的には、国内市場に向けた商品企画力や販売力の強化にも期待したいところ。技術者たちの努力がさらに報われる体制とビジョンを、一日も早く構築してほしいものだ。

決算数値

 

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