BMWがグループの傘下に収めたBMWアルピナの新章を告げるデザインスタディ「ビジョンBMWアルピナ」を披露。アルピナの伝統を現在の目的・造形美・テクノロジーに再解釈し、BMWアルピナの本質である「スピード、快適性、洗練さ」をさらに深化。最初の市販モデルはBMW 7シリーズをベースとし、2027年の発表を予告
独BMWはグループの傘下に収めたBMWアルピナ(BMW ALPINA)の新章を告げるデザインスタディの「ビジョンBMWアルピナ(Vision BMW ALPINA)」を公開した。
BMWとアルピナ社(アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペンGmbH+Co.KG)は、2022年3月10日にアルピナの商標権をBMWグループに移管することを公表。3年10カ月あまりの準備期間を経て、2026年1月2日にBMWグループ傘下における独立した新たなエクスクルーシブブランド「BMW ALPINA」が正式にスタートする。ブランドの移管に当たっては、アルピナの輝かしい歴史をBMWグループが自覚し、新たなBMWアルピナのストーリーを紡いでいくとアナウンス。BMWはアルピナの核心を「卓越した走行特性と相まって実現される最高性能と、優れた乗り心地の独自のバランス」と捉え、ここに特注オプションやカスタム素材からなる特別なラインアップと独自のディテールが加わって、アルピナ車ならではの世界観を創出していると解説する。これを新生BMW ALPINAでも継承し、かつさらなる活性化を図って、従来のアルピニストはもちろん、新しいユーザーのニーズに応えていくと表明した。
今回公開されたビジョンBMWアルピナは、ブランドのヘリテージを敬意をもって受け継ぎながら、最先端の創造性でデザインしたことが訴求点である。全長5200mmの堂々たるプロポーションは、ワイドで低く、そして自信に満ちた佇まいを形成。クーペのルーフラインは長く、なだらかに傾斜し、そのシルエットはスピードと、4名の大人が快適さを十分に享受できる包容力を具現化する。動力源にはV8パワートレインを搭載。アルピナらしいエキゾーストサウンドを奏でるように調律し、低回転速では豊かで深く、高回転域では伸びやかに響くようにチューニングした。
BMWアルピナのデザインを統括するマキシミリアン・ミッソーニ(Maximilian Missoni)氏は、「ビジョンBMWアルピナでは、ブランドを構成するすべての要素を本質まで蒸留し、徹底してモダンで洗練されたかたちに適用しました。あらゆるディテールが“確かさ”を物語ります。エンジニアリング、素材、そして語りかけるストーリーにおいて、主張は控え めで、近づいて初めて見えてきます。その“純度”と“豊かさ”の相互利用こそが、私たちのBMWアルピナのデザインのアプローチを定義しています」とコメントする。
各部のデザインにも徹底してこだわる。フロント部は力強いボリュームと前掲したスタンスによって定義し、過度に誇張することなくスピードを予感させる造形で仕立てる。また、アルピナB7に遡るシグネチャーの“シャークノーズ”は、BMWのキドニーグリルを三次元的な彫刻として再解釈し、車体の造形を先導するとともに、静かな自信をもってブランドエンブレムを包みこむ。このシャークノーズを起点に、全体のフォルムは単一の視覚的な軸である“スピードフィーチャーライン”を中心に構成。フロント下部コーナーから6度の角度で立ち上がり、ボディサイドに沿って伸び、リアへと回り込むこのラインは、動きを想起させる主張を備えつつ、洗練さを損なわない統制を創出した。
強く訴えかけることなく注意深い視線にだけ報いる、「Second Read」の原則を全体に辛い抜いたこともトピック。特徴的なデコラインは1974年以来、アルピナの意匠言語の一部としてユーザーに認知されてきたが、ビジョンBMWアルピナではこのデコラインを現代的に再構築し、本質へとそぎ落としてクリアコートの下にペイントする。内側へと折り返す面はとりわけ丁寧に扱い、近づくほどに魅力が増すファークメタリックのトーンで仕上げた。このアレンジは、キドニーグリルの内側にのみクロームを用いた往年のBMW 507から着想を得ている。一方、シャークノーズにも「Second Read」の洗練さが宿る。内側の面には綿密にスケールされたシグネチャーのデコライン グラフィックを配し、外周のやわらかなバックライトは作動時にのみ浮かび上がる。デイタイムランニングライトは温かみのあるホワイトの光色で、キドニー周囲の輪郭をなぞる。このアレンジは、バイエルン アルプスに差し込む最初の光から着想を得たものだ。また、細身のランプ内部にはシャープなアクセントとして、精緻にカットされたイルミネーテッドクリスタルを配備している。一方、アルピナのアイコンともいえるオーバル形状の4本出しエキゾーストはビジョンBMWアルピナでも健在。また、ALPINAのレタリングは下部フロントエプロンに機械加工とポリッシュを施したメタルエレメントとして再解釈している。さらに足もとには、アルピナの定番である20スポークデザインをオマージュしたフロント22インチ/リア23インチの新造形アロイホイールを装着した。
インテリアについては、空間、素材の質、そしてテクノロジー統合の丁寧さというあらゆる面で豊かさを備えたキャビン空間に仕立てことがアピールポイント。レイアウトは建築的なボリュームで構成し、各要素は均質な内装に溶け込ませるのではなく、独立した造形として設計する。エクステリアの6度のスピードフィーチャーラインはインテリアにも連続し、ダークトーンの上部セグメントと、明るい下部セグメントで分割。また、アルプス地域の生産者から調達したフルフレインレザーには、デコラインに着想を得たステッチを入れた。合わせて、歴史的なステアリングホイールの手縫いから着想を得た、ヘリテージのブルーとグリーンを用いたブリッジステッチを配備。さらに、金属部品には時計製造を思わせる面取り技法を採用し、サテンとポリッシュの仕上げを組み合わせた。そして、精緻にカットしたクリスタルを操作系に用い、BMWアルピナが運転体験そのものを重視していることを際立たせる。加えて、リアコンソールの背後にはガラス製のウォーターボトルを装備し、BMWアルピナのクリスタルグラスが自動で展開する仕組みを導入。それぞれのグラスには20本のデコラインを刻み、リムには6度のプロファイルを与え、隠しマグネットでグラスを保持する。置いたグラスがオープンポアのセンターコンソールに柔らかく照らし出されるように演出した点も、デザイナーがこだわった部分だ。

▲インテリアは空間、素材の質、テクノロジー統合の丁寧さというあらゆる面で豊かさを備えたキャビン空間に仕立てる。エクステリアの6度のスピードフィーチャーラインはインテリアにも連続し、ダークトーンの上部セグメントと、明るい下部セグメントで分割
パフォーマンス面では、従来のアルピナが標準のBMWコンフォート設定を超える「Comfort+」モードを採用し、よりしなやかで洗練された走りを実現していたことを継承すると表明。現在は最適なセッティングを生み出すために、入念なテストを敢行中であるという。また、コクピットは新しい助手席スクリーンを含むBMW Panoramic iDriveがダッシュボード全体に広がり、BMWアルピナのために特別に仕立てたデジタルUI言語で構成。ヘリテージのブルーとグリーンは節度を持って組み込まれ、BMW Panoramic Visionのヘッドアップディスプレイ内でComfort+からSpeedモードへ移行するにつれて強度を増している。背景イメージも独自にアレンジ。描かれるアルプスの風景は、ブッフローエ(Buchloe)から南を望んだ際に見える山並みを精密に再現した。
なお、BMWアルピナの最初の市販モデルはBMW 7シリーズをベースとし、2027年の発表を予定している。
