フェラーリがブランド初の電気自動車となる新型GTの「ルーチェ」を発表。プロサングエに続く2車種目の4ドアモデルで、かつフェラーリ史上初の5名乗りのキャビンを採用。内外装デザインはクリエイティブ集団「LoveFrom」との協業により実施。プラットフォームはBEV用に専用開発し、パワートレインには各ホイールに1基ずつ、計4基のモーターを搭載して4WDを構成。最高出力は772kW、最大トルクは990Nmを発揮。駆動用電池には総電力量122kWhを確保したリチウムイオンバッテリーを採用し、一充電走行距離は530km以上を実現
伊フェラーリはブランド初のBEVモデルで、プロサングエに続く2車種目の4ドアモデル、かつフェラーリ史上初の5名乗りのキャビンを採用した新世代GTの「ルーチェ(LUCE)」を正式発表した。
フェラーリの新世代BEVモデルは、その基盤となるエンジニアリング技術を2025年10月に伊マラネッロのフェラーリのeビルディングで発表。また2026年2月には、イタリア語で“光”や“照明”を意味し、未来に向けたフェラーリの明確な志向を象徴する「LUCE」の車名を冠することをアナウンスするとともに、インテリアデザインを披露していた。ちなみに、LUCEの車名は日本のマツダ車がかつて採用しており、現在もマツダが商標登録を更新し続けていることから、日本市場に導入する際は別のネーミングを名乗るかもしれない。
デザイン面では、サー・ジョニー・アイブ(Sir Jony Ive)氏とマーク・ニューソン(Marc Newson)氏が率いるクリエイティブ集団「LoveFrom」との協業により実施される。この協業についてフェラーリは、新たな視点と相互交流が生まれ、新しいデザイン言語が創出されたと公言。また、LoveFromにはデザインの方向性を最初から定義する創造的自由が与えられ、これをオーセンティックなフェラーリエクスペリエスへと緻密に当てはめていったという。
完成したエクステリアは、明快かつ洗練されたシンプルさを備えた、前後ヒンジ観音開きの4ドアボディで構成。また、厚みのあるベルトライン下からの車体にシェル形状の広いガラスエリアを組み合わせ、さらに表面に滑らかな連続性を持たせつつエアロパーツ類を巧みに融合させて、新進のアーキテクチャーを形成する。消灯時にはライトが穏やかにボディへ溶け込み、フォルムの純粋さを保つ丸型4灯式LEDリアコンビネーションランプのアレンジも印象的だ。エアロダイナミクスも重視し、エアロスタイリングとの融合やアクティブエアシャッターの採用、フロントボンネット下のウイング部へ移設したエアインテーク、バーチャル・カムバック効果を生み出すサイドビュー、リアスクリーン上部に高圧領域を生成するリアウイング、ジェットエンジンのタービンから着想を得たエアロダイナミックホイール、高速巡航時にフロントを10mm下げるライドハイト制御などによってフェラーリ車最上レベルの低い空気抵抗係数を実現した。なお、ボディサイズは全長5026×全幅1999×全高1544mm、ホイールベースは2961mmに設定。車重は2260kgで、前後重量配分は47:53に仕立てている。


▲明快かつ洗練されたシンプルさを備えたスタイリングを採用。厚みのあるベルトライン下からの車体にシェル形状の広いガラスエリアを組み合わせ、さらに表面に滑らかな連続性を持たせつつエアロパーツ類を巧みに融合させて、新進のアーキテクチャーを形成する。消灯時にはライトが穏やかにボディへ溶け込み、フォルムの純粋さを保つ丸型4灯式LEDリアコンビネーションランプのアレンジも印象的。写真のボディカラーはROSSO FIAMMANTE

▲エアロダイナミクスも重視。エアロスタイリングとの融合やアクティブエアシャッターの採用、フロントボンネット下のウイング部へ移設したエアインテーク、バーチャル・カムバック効果を生み出すサイドビュー、リアスクリーン上部に高圧領域を生成するリアウイングなどによってフェラーリ車最上レベルの低い空気抵抗係数を実現
フェラーリの新世代のデザイン哲学と、協業するLoveFromの先進機能を高度に融合させたコクピットは、すべてのソリューションがフェラーリの機能目標、パッケージ制約、市販ロードスポーツカーのホモロゲーション要件を満たすように設計される。インターフェースは明確な構成理念に従ってデザインし、スイッチ類やディスプレイは機能的にまとめられ、最も重要なコマンドおよびフィードバック機能はドライバーの真正面に設置。精密に設計した機械式のボタンやメーター、トグルおよびスイッチ類が、多機能デジタルディスプレイと組み合わせて配される。フラットボトムの3本スポーツのステアリングは単体のアルミニウムから削り出し、左右スポーク下部にはアナログのコントロールモジュールをレイアウト。コントロールモジュールは左側にシステムへの電力供給を最適化して電力と航続距離を管理するe-MANETTINOやクルーズコントロール、ADASのスイッチを、右側に走りの特性を変化させる複数のダイナミクスコントロールが設定できるMANETTINOやサスペンション、ワイパーのスイッチを配備した。また、ステアリング基部にはパドル操作によってトルクを手動で制御し、滑らかに加減速できるパドル式マニュアルトルクコントロールをセットしている。
計器類やスイッチ類を収めるビクナルについては、デジタル式と機械式の計器が巧みに組み合わされた重層的な3連ディスプレイを配備。各メーターはアルミニウム製ベゼルと精密機械加工のガラスレンズを備え、アノダイズ処理したアルミニウム製ハウジングに収める。機械式の針とデジタルの文字盤を組み合わせたセンターメーターは、速度とバッテリー残量を表示。また、左側のパワーメーターはe-MANETTINOのモードと連携し、利用可能な出力と回生ブレーキを表示する。そして右側のドライバーメーターは、Gメーター/車両ステータス/バッテリー/走行距離/ダイナミクス/タイヤという7種類の機能データを表示し、調節は右側のアナログコントロールモジュールの機械式トグルスイッチで行う仕組みとした。
一方でセンター部には、特注形状で高解像度の有機ELスクリーンとカバーガラス、機械加工のアルミニウム製フレーム、背面から伸びるアノダイズ処理したアルミニウム製ブラケット、トグルスイッチなどで構成したコントロールパネルを配備。ドライビングエクスペリエンスを強化する自己完結型の情報表示パネルとして設定し、3個の物理的ボタンで空調、車両セッティング、メディアの操作ができる。また、右上部には時計/コンパス/60秒ストップウォッチを表示するマルチグラフを組み込んだ。さらに、頭上にも専用のコントロールパネルを設置。ローンチモードを起動する物理的レバーのほか、エクステリアライトやデフロスター、緊急SOSシステムのスイッチを配している。
センターコンソールについては独立したモジュールでデザインし、キー、シフト、アームレスト、収納、リアキャビン用コントロールを組み込む。コンソール前部右には変速スイッチを、左にはデジタルキーを差し込む起動スイッチをレイアウト。キーを挿入すると車両が始動し、シフトが解錠されて走行の準備が整う。また、リア用コントロールパネルによってリアルタイムの走行情報を後席乗員と共有。リア用の空調スイッチも装備した。
シートに関しては、シンプルな形状で極めて快適かつラグジュアリーな座り心地を提供。表皮は2種類のパターンと4種類の表皮を設定する。後席にもサポート性を高めた専用シートを配備した。また、前席にはマッサージ機能を内蔵。21スピーカーで構成するハイエンドオーディオシステムも装備する。ラゲッジルームは597リットルの容量を確保した。

▲フェラーリの新世代のデザイン哲学と、協業するLoveFromの先進機能を高度に融合させたコクピット。すべてのソリューションがフェラーリの機能目標、パッケージ制約、市販ロードスポーツカーのホモロゲーション要件を満たすように設計される。写真の内装カラーはブラック

▲センター部には大型で多機能なコントロールパネルを配備。ドライビングエクスペリエンスを強化する自己完結型の情報表示パネルとして設定する。コントロールパネル下部には空調などを司るトグルスイッチを組み込む
BEVモデル向けに専用設計された新プラットフォームに搭載するパワートレインに関しては、各ホイールに1基ずつ、計4基のハルバッハ配列構成ローターを組み込むモーターを搭載して4WDを構成し、最高出力は772kW(1050ps)、最大トルクは990Nm(ホイール計測値では1万1500Nm)を発揮。駆動用電池には前後アクスル間85%、後席下15%で配した総電力量122kWhのリチウムイオンバッテリーを採用し、一充電走行距離はWLTPサイクルで530km以上を実現した。また、パワートレインとビークルダイナミクスのマネジメントを単一のコントローラーに統合した新開発のVCU(ビークルコントロールユニット)を組み込み、モーター用の800V、アクティブサスペンション用の48V、補器用の12Vという3系統のネットワークを管理して、パワーデリバリーおよびエネルギー回生を集中制御する。充電についてはAC普通充電とDC急速充電に対処し、急速充電では最大出力350kWに対応させた。性能面では0→100km/h加速が2.5秒、最高速度が310kmと公表している。


▲パワートレインは各ホイールに1基ずつ、計4基のハルバッハ配列構成ローターを組み込むモーターを搭載して4WDを構成。最高出力は772kW (1050ps)、最大トルクは990Nm(ホイール計測値では1万1500Nm)を発揮する。駆動用電池には前後アクスル間85%、後席下15%で配した総電力量122kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載
基本骨格については、中空の鋳造材、アルミニウム押出材、アルミニウムシートで構成したうえで駆動用バッテリーを統合したシャシーに、高強度のアルミニウム押出材およびアルミニウムシートのボディを組み合わせて採用。また、リアには中空モノブロック鋳造のサブフレームを配備し、剛性アップや遮音の最適化を図る。さらに、コーナリング負荷を4つのホイールのすべてにわたって高度にバランスさせる最新世代のアクティブサスペンションを組み込んだ。
先進安全運転支援システムに関しては、最新のアダプティブクルーズコントロールやサイクリスト検知機能付きAEB(衝突被害軽減ブレーキ)、レーンディパーチャーウォーニング、レーンキープアシスト、3Dサラウンドビュー、ドライバーアテンション、トラフィックサインレコグニションなどを標準装備。新しいインターフェースや充電管理などの追加機能で強化したMyFerrariアプリによるコネクティビティ機能も採用している。
なお、フェラーリ・ルーチェは2027年モデルとして発売予定。車両価格は55万ユーロ(約1億円)~に設定している。
