
ルーチェ(Luce)という名称はイタリア語で「光」や「照らすこと」の意。未来に目をむけるフェラーリの姿勢を表現している。車名に明確な主張を持たせた命名戦略はルーチェが初。ステアリングホイールはシンプルな3本スポーク形状。1950〜60年代のナルディ製ステアリングのオマージュという
フェラーリ初のフル電動モデル。その名は「ルーチェ」。フル電動時代の先駆けとしてマラネッロの進む道を明るく照らすというわけだ。
名前の発表と同時にインテリアがサンフランシスコで公開された。なぜサンフランシスコか? インテリアのコンセプトは彼の地に本拠を置く「ラブフロム」とチェントロスティーレのコラボで生まれた。
ラブフロムといえばアップルのデザイン最高責任者だったサー・ジョニー・アイブ氏が率いるクリエイティブ集団だ。フェラーリとは5年前からタッグを組みプロジェクトを育ててきた。感覚的にはデザインカロッツェリアとの関係によく似る。
実際に見て触ったが、ドライバーピナクル(メータークラスター)と合体したステアリングコラムや各種ディスプレイなど角のない直線美はiPhoneの世界観に共通する。けれどもタッチセンサーの類はなく、トグルスイッチや特殊ガラスでカバーされたボタンを多用した。ジョニー曰く、「小さな画面ですべてを行うiPhoneとは異なり、クルマには機能ごとに操作系を置く最適な場所があり、それをドライブ中でも直感的に使いこなす必要がある」からと説明した。
アルマイト加工を施した再生アルミニウムやコーニング社製特殊ガラスを多用する。近年のフェラーリ・コクピットはプラスチックが目立っていた。それらをアルミとガラス(とレザー)で置き換えた。3本アルミスポークのハンドルはその象徴だ。そして物理的な針(メーターと時計)も復活。個人的にはこれが一番うれしいし、もっと推し進めてほしい。
昨年10月にパワートレーンとシャシーの発表があった。車名も決まったことだし、改めてそのスペックを振り返っておこう。
ルーチェは4シーター+4ドア(そして4モーター)のBEVである。ホイールベースは3m。マラネッロのポートフォリオにあってかつてのGTC4ルッソやプロサングエと同じ位置付けながら、ドライビングスリルとユーザビリティで上回るという。
フロントアクスルの電気モーターは2基合計で210kWの出力を発揮。任意の速度で瞬時に車輪から切り離すことができる。AWDとRWDの効率的な運用が可能だ。リアアクスルの出力は2基のモーター併せて620kWに達する。
大幅に進化したというアクティブサスペンションもポイントのひとつ。4基のモーターと4輪操舵を組み合わせ、すべての動的条件下で縦/前後/横方向の力をアクチュエーターで制御できるフェラーリ初のモデルだ。曲がることが大好きなBEVになることは間違いない。
サウンドにも注目だ。静粛性はもちろん「本物の音」を出すことにこだわった。パワートレーンの発するすべての振動を拾って解析。ドライバーが動的な状況を理解するために役立つ周波数を選んでエレキギターのようにアンプにかけ音へと変換、心地よく聞かせる。
総合出力1000cv以上(ブーストモード)、車重2.3トン、0→100km/h加速2.5秒、航続レンジ530km以上、最高速310km/h。マラネッロ初のBEVは限定車ではなくシリーズモデルであり、2026年5月にマラネッロでそのスタイルを含めた全貌が明らかになる。
