【注目モデル試乗】BOOTモードで「痛快BEVレーサー」に大変身。令和のブルドッグ「ホンダ・スーパーONE」は楽しいゾ!

ホンダ・スーパーONE/価格:339万円(CEV補助金は約130万円)。スーパーONEは英国でも販売される本気BEVスポーツ。BOOSTモードを選ぶとパワーが通常の47kW(64ps)から70kW(約100ps)にアップ。速さと操る楽しさ、そしてサウンドでドライバーを魅了する

ホンダ・スーパーONE/価格:339万円(CEV補助金は約130万円)。スーパーONEは英国でも販売される本気BEVスポーツ。BOOSTモードを選ぶとパワーが通常の47kW(64ps)から70kW(約100ps)にアップ。速さと操る楽しさ、そしてサウンドでドライバーを魅了する

本気の迫力。小粒だがピリリと辛いスパイシーBEV発売

 スーパーONE(Super-ONE)は、ホンダの軽・小型EVの第3弾。「ホンダが考えるFUNなEV」をテーマに開発された個性派である。 この「ホンダの元気」を象徴するスポーツBEVを千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイでチェックした。

走り02

 スーパーONEは、コンパクトサイズのBEVながらスポーツ性能を徹底追求した点が大きな特徴だ。気になる価格は「BEVのボリュームゾーンの339万円」である。国のCEV補助金は130万円ほど。補助金を活用すると、さほど「高嶺の花」ではない。というより内容を考えると、むしろ一般的なガソリン車よりも割安だ。

 メインターゲットは50代の男性。若い頃にホンダのスポーツハッチに乗っていてBEVに興味のある新しいモノ好きの先進層だ。サブターゲットをその息子さんの年代に相当する20代前半男性とした点もポイント。どちらの世代にも響く存在に仕上げることで「スーパーONEを通じてクルマの楽しさを共有。新たなクルマ好きを増やしたい」と開発陣は語る。新たなクルマ好きはBEVから生まれるのだ。

リア

インパネ

 スタイリングはN-ONE e:のオーバーフェンダー仕様。1980年代に話題を呼んだ「ブルドッグ」の愛称を持つ初代シティ・ターボⅡを彷彿させる前後のブリスターフェンダーが目を射る。ぐっと踏ん張ったスタンスは実に魅力的。まさにメーカー版コンプリートモデルという迫力の持ち主である。

すべてがこだわりの結晶。走りの楽しさが五感に響く!

 コンセプトは「キモチタカブル」。それを「ユカイ」「ツウカイ」「メイカイ」という3つのキーワードに翻訳し開発してきた。それだけに、メカニズムもその演出もすべてに開発陣のこだわりが詰まっている。目指したのは、「日常の移動を刺激的で気持ち高ぶる体験とすること」だった。

 BEVの走りは元来スムーズで静粛。走行時のCO₂排出もないため心理的なストレスも少ない。しかもスーパーONEはコンパクトサイズだから、ちょっとしたお出掛けにも最適。つまり日常のライフシーンを支えるパートナーとしてぴったりの存在といえる。開発陣は、パートナーだからこそ、乗る人を楽しませたいと考えた。

走り03

 そのために専用のBOOSTモードを開発。BOOSTモードは、モーター出力を通常の47kW(64ps)から70kW(約100ps)に引き上げ、パワーユニット性能を最大限に解放。さらに仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールシステムの連動で、BEVならではの速さと、あたかもMTのエンジン車のような迫力あるサウンド、そして鋭いシフトフィーリングを演出した。まさにパフォーマンスとともに五感に響く痛快さを大切にした開発陣のこだわりの結晶だ。

 もちろん、クルマの仕立てもスポーティモデルとして一級品。Nシリーズとして進化させてきた軽量なプラットフォームを活用し、トレッドをN-ONE RS比で50mm広げたワイドなスタンスにより、軽快かつ安定感のある力強い走りを可能にした。シャシーは専用仕様。薄型バッテリーを床下中央に配置し、国内で販売される乗用EVとしてクラス最軽量となる車両重量(1090kg)と従来の小型ガソリン車よりも低い重心を実現している。

シート01

シート02

 サスペンションはもちろん専用チューン。フロントのロアアームはアルミ鍛造製で、ブレーキもサイズUP。ステアリングもクイックレシオ化されている。さらに左右等剛性のドライブシャフトを採用する徹底ぶりだ。足元は専用スポーク形状のアルミとヨコハマADVAN FLEVA(185/55R15)の組み合わせ。これらにより、意のままの安定感あるハンドリング性能を提供することができたという。

 試乗時はあいにく雨だったが、雨だからこそわかったこともいろいろあった。まずは様子見で通常モードで軽く流してみる。ワイドトレッド化とタイヤの変更により、ウエット路でも安定感が高いことをよく理解した。

 ペースを上げて走っても、自在な操縦性に感心。ステアリングを切ったとおりに応答遅れなくクルマが曲がり、イメージしたラインをそのとおりにトレースしていける。重心高が低く、重量物が車体の中央近くに搭載されているBEVならではの強みに違いない。限界付近の挙動も把握しやすく、先の動きが読みやすいのも美点。おかげで雨の中でも安心して攻めた走りができた。

in CAR

メーター

 ステアリング部のスイッチで真骨頂であるBOOSTモードを選択。最大出力が70kWと通常モードの1.5倍になると、パワフルさは別物。まさにピュアなスポーツモデルに変身した。さらに、7段変速のギアチェンジ感覚を再現した仮想有段シフト制御により、ステアリングのパドル操作による変速も可能で、一段と積極的なドライビングが楽しめる。

 アクセル操作に応じて迫力ある仮想のエンジンサウンドを車内に響かせるアクティブサウンドコントロールも好印象。低く響く太いトルクを連想させるサウンドが高揚感を高める。また、BOOSTモード時は、メーターに専用の演出が施されており、バッテリー温度計/疑似タコメーター/出力計で構成されるデジタルのトリプルメーターが出現。疑似タコメーターは仮想のエンジン回転数を表示してくれる。

 BOOSTモードの完成度は高く、走っていて実に楽しい。開発にはATの担当者までもが携わったとのことで、シフトチェンジするときの感覚が見事に表現されているほか、レブリミッターに達したときの感覚まで、まるでエンジン車のように再現されている。
 スーパーONEは、面白いクルマを探していた人への素敵なプレゼントだ。乗るほどに面白さが増すクルマである。

エンブレム

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