【最新モデル試乗】アウディの精緻な世界観を見事に体現。エンジンが可能にした「Q5 TDIクワトロ」の圧倒的な完成度

アウディQ5 TDIクワトロ150kWアドバンスド/価格:7DCT 788万円。試乗車はスポーティイメージのSラインパッケージ(op26万円)装着車。WLTCモード燃費は16.1km/リッター。駆動方式は4WD

アウディQ5 TDIクワトロ150kWアドバンスド/価格:7DCT 788万円。試乗車はスポーティイメージのSラインパッケージ(op26万円)装着車。WLTCモード燃費は16.1km/リッター。駆動方式は4WD

BEVシフトの中でも磨かれた実力

 ジャーマンプレミアム・ビッグ3のフル電動化路線は、それぞれ独自のアプローチであったものの、積極性という点でほとんど同じベクトルを向いていた。そりゃそうだ。それがEU政府の「お眼鏡」に適う「取り組み姿勢」であったからだ。

 もっともアウディの電動化姿勢は、その端緒となったディーゼルゲートの当事者のひとりだったこともあり、頭ひとつ抜けて強かったように見える。kWパワーのサブネームやBEV偶数/エンジン奇数、といったネーミング手法の採用と、結果の混乱はそのあからさまな証拠だろう。

 これでアウディ製BEVの完成度が「ほどほど」だったというのであれば、こちらとしてもシンプルに批判を繰り広げればいいだけ、だった。だがこれがまたよくできていたからややこしい。

リア

マスク

 アウディは「技術による先進」をスローガンに強い意志で電動化を推し進めてきたのだから、その完成度が高くなっていたのは、ある意味当然だ。ひと言で表現すれば、アウディのBEVに乗れば電動モデルの最新事情がよくわかる、であった。

 そんななか、ドル箱モデルというべきエンジン車、ミッドサイズSUVのQ5が3代目へとフルモデルチェンジを果たした。BEVと比べると地味めのデビューだったが、重要なモデルであるという位置付けに変わりはない。むしろ電動アレルギーのある日本の市場と、昨今の世界的なBEVに対する逆風を考慮に入れたなら、その重要度はさらに高い。
 そんな思いを抱きながら新型Q5の主力であるMHEVプラスのディーゼルターボ搭載グレード、TDIクワトロに乗ってみた。

真横

インパネ

 第一印象は「あれ、これって新型?」というものだった。もちろんマスクデザインは違うし、ボディサイドも抑揚重視のシンプルデザインになって、違うことは一目瞭然である。

 だけれども、かもし出すオーラは新しいものではない。サイズ感も、従来モデルと変わらない(この点はうれしい)。SUVの見た目の個性を決定するサイドウィンドウのグラフィックも旧型とよく似ている。新採用のリアウィンドウのプロジェクションライトは新たな流行となるだろうか……。

 一方でインテリアは電動モデルとも通じる最新テイストだ。ただし運転支援系の操作はまだ旧態然としたレバー方式。使い勝手はともかく、全面刷新という印象は薄い。「プラットフォームも古いんだっけ?」と勘繰ってしまった。

 ベースとなっているのはエンジン車専用の新たなプラットフォーム「PPC」で、コンセプトそのものは先代用「MLBエボ」の発展系と捉えていい。

新型は「アウディらしい走り」を一段と鮮明化。すべての完成度が高い

 TDIは48VマイルドHV。「MHEVプラス」という名称のとおり、そのパワーフィールはエンジンの存在が強いながらもストロングハイブリッドによく似ている。2リッターのBSGディーゼルターボ(204ps/400Nm)にパワートレーンジェネレーター(PTG)と呼ぶ230Nmの電動駆動ユニットを文字どおり「加えた」。それゆえEVのように走り出したかと思えば、ドライバーが積極的に走らせようと思った時点でエンジンが主力になる。そして、そこまでの過程がとても滑らかだ。ターボディーゼルの欠点を見事に補っている。もちろん力強い。24psの電気モーターを上手く使い切っているのだ。

走り

エンジン

 複雑な機構に頼らずとも充実した走りと環境性能とを両立するという点で、ひとつの完成されたハイブリッドパワートレーンである。おそらくアウディは「これで内燃機関系は最後になるかもしれない」というつもりで開発した。結果的にはこのMHEVプラスパワートレーンが近々のアウディラインアップにおける世界的な主役になると思われる。

 なぜならこのパワートレーンを源泉に「素晴らしくアウディ」な走りを実現していたからだ。長らくアウディ特有のドライブテイストだった「筋のきっちり通った軽快な動き」は、もはやフル電動モデルでは表現できないものだった。しかし3代目Q5ではそれを磨きに磨き抜いた、という印象がある。走り出した瞬間に、「そうそう、これがアウディだよね!」とひざを打つ。

リア走り

 試乗コースは市街地と山岳路、そして短いながらも高速道路だった。それなりに舗装の荒れた路面も多かったが、そんなことなど先刻承知とばかりリズムを崩すことなく走り抜く。アシの懐が深く、それでいて動きは軽やかさを保つというあたり、アウディらしい走りの真骨頂だろう。高速道路の継ぎ目や微妙なアンジュレーションにもびくともしない。実に体幹の強いクルマだ。

 体幹の強さはハンドリングにも現れる。ワインディングロードでは視点の高さと相まって実に安心感の高いトレーサビリティを見せた。しかもコーナリング中は外的な変化を見事にいなしながら、その姿勢をキープする。ドライバーにとってこれほど安心できるドライバビリティはない。

 試乗車両は標準仕様のサスペンション(コイルバネ+パッシブダンパー)だった。もちろんこれでも十分、なのだが、個人的にはもう少し「きめ細やかさ」がほしいところ。おそらくオプションのアダプティブエアサスペンション仕様(op35万円)がそれを叶えてくれるだろう、と想像している。

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