【クルマ好きの休日】世界で最も格式が高い“自動車のビューティーコンテスト”「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」を彩った華麗なる名車たち

コンコルソ・デレガンツァは世界で最も格式が高い自動車のビューティーコンテスト。クラスAからH、そしてコンセプトカーにクラス分けされ審査員が厳正にジャッジする。今年のベスト・オブ・ショーは1937年製のBMW328ビューゲルフォルテが獲得

コンコルソ・デレガンツァは世界で最も格式が高い自動車のビューティーコンテスト。クラスAからH、そしてコンセプトカーにクラス分けされ審査員が厳正にジャッジする。今年のベスト・オブ・ショーは1937年製のBMW328ビューゲルフォルテが獲得

世界中から名車がイタリア・コモ湖に集結。まさにクルマ好きの桃源郷

 このシルバーのクルマをご存じだろうか。颯爽と赤いカーペットの上を走るオープントップモデルから二人のカーガイが手を振っている。しかも満面の笑顔。それもそのはず、このクルマの正体は1937年型BMW328ビューゲルファルテ。前日の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」で、「ベスト・オブ・ショー」に選出されたクルマである。となれば、二人が手を振っているのは合点がいく。いうなれば優勝パレードだ。写真はヴィラ・エルバでの一幕。土曜のヴィラ・デステは招待客だけのクローズドイベントだが、翌日のヴィラ・エルバは一般客を入れた催し物。多くのギャラリーに囲まれドライバーが笑顔になるのは自然なことである。

 

名車並び

 328ビューゲルファルテに関して簡単に触れておくと、そのベースはBMW328。1936年に発表されたピュアスポーツカーで、軽量ボディに直列6気筒エンジンを積んだ戦前の人気モデルだ。実車はそれをレーシーにカスタムしたもの。1940年のミッレミリアに出場したワークスマシンである。いろんなパーツが外されフロントスクリーンも最小限のサイズに取り替えられている。「ビューゲルファルテ」とはドイツ語でアイロンをかけたような折り目のこと。フェンダーのラインがそれに似ていることから命名された。

 今年、そんな素敵なイベントの地に足を踏み入れた。場所はイタリアのコモ湖。空の玄関ミラノ・マルペンサ空港から北東にクルマで40分ほど走った場所だ。先ほどから「ヴィラ・デステ」とか「ヴィラ・エルバ」といっているのはその湖畔にある「ヴィラ(宿泊施設)」を指す。「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」はその庭で行われるコンクール(=コンコルソ)である。

会場風景

12年振りに訪れた名車の饗宴。それは素晴らしかった

 コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステに訪れたのはこれで2回目。前回は2014年。マセラティ創業100周年で、マセラティを対象にしたクラスがあったのを記憶している。確か「ベスト・オブ・ショー」には1956年型マセラティ450Sが輝いた。そしてマセラティ・アルフィエーリがコンセプトカーアワードを、1953年型A6 GCSベルリネッタがデザインアワードをそれぞれ受賞している。

 では12年ぶりに足を踏み入れた今年はというと、カテゴリーは「クラスA」から「クラスH」、それと「コンセプトカー」だった。基本的に年代やクルマのジャンルで分類されるが、ときとして前述したようにブランドやレース、人物などが関与したクルマだけを称えるクラスが設けられる。今年はクラスEやGがそれだった。クラスEはミッレミリアやタルガフローリオ、セブリング、ル・マンといった国際的な耐久レースで輝かしい成績を残したフェラーリ。具体的には250MM、340MM、250GTコンペティツィオーネ・ツールドフランスなどがエントリーした。

会場01

会場02

 個人的に興味深かったのはクラスGで、タイトルは「カーナビーストリートからアウトストラーダまでを快適にGTドライブできるクルマ」となる。カーナビーストリートはロンドンのソーホー地区にある道のこと。日本なら原宿・竹下通りや裏ハラのキャットストリートみたいなものだろう。1960年代のモッズカルチャーや音楽、ファッションの中心地で、個人的にもロンドン出張の際には必ず訪れるエリアである。

 そういったカルチャーをクルマ目線でカテゴライズするのがこのショーの素晴らしさかもしれない。クルマオタクにならないそのスタンスはさすがだ。

 そんな「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」のメインスポンサーをドイツブランドBMWが行っている。エントリーするクルマの大多数が英国車やイタリア車なのにドイツの会社がそれをサポートしているのだ。これはBMWが国籍やブランドを問わずカーカルチャーを大切にする企業姿勢のメッセージだと思う。質実剛健のドイツブランドであっても、カーカルチャーを尊重している証だ。

アルピナ

M3

 そして彼らはそのメリットとしてここで毎年コンセプトカーとコンセプトバイクを発表している。スポンサー特権といったところだろう。ただ、念のためにいっておくと、それとアワードはまったく関係ない。今年は偶然「ベスト・オブ・ショー」にBMWが選ばれたが、それはレアケース。BMWモデルのエントリーのない年はたくさんある。

 また、会場では「ビジョンBMWアルピナ」がお披露目された。新世代アルピナを匂わせるスタイリッシュなビッグクーペである。エレガントなデザインはこのコンクールにマッチし多くの人の目を奪った。新解釈されたキドニーグリルも悪くない。うれしいのはボンネットの下にV8ユニットが搭載されること。アルピナはプレミアム電動車ブランドになる予定だったが、このモデルで路線変更が確定した。

 ヴィラ・デステ翌日の一般開放されたヴィラ・エルバではBMW・M3シリーズの50周年を祝い、歴代M3が湖畔をバックに展示された。E30/E36/E46/E90/F80/G80の6モデルである。歴史を確認すると同時に懐かしさが溢れる。

 以上がコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2026年の概要。クラシックカーファンのみならず訪れた者が楽しめる充実したコンテンツが並んだ。

フォトギャラリー

SNSでフォローする