江戸時代から続く人情と文化の街、東京下町、隅田川界隈をフィールドに作品を生み出している山﨑満さん。クルマ、バイク、船などの作品の一方、東京下町文化の“鳶職”をテーマにした作品をライフワークとしています。近年、そのテーマに加わったのは白バイ隊員。山﨑さんが魅かれるのは、“後ろ姿”だそうです。働くクルマ、タクシーにも熱い視線を注いでいます。
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作品①『洗車場』は、某タクシー会社のタクシー洗車場を描いた作品です、いままさに、洗車を終えた瞬間を作品にしました。薄暗い場内に蛍光灯がタクシーを浮かび上がらせ、車体や地面を照らしています。 鉄筋で覆われた壁面、洗車用のホース、踏み台替わりのビールのシェル……。なんとも男臭い雰囲気に興味を持って、作品にしました。タクシーの車種は、トヨタ・クラウン・コンフォートデラックスです。
タクシーは、1台を2人の乗務員で分担し、一日交代で乗務します。その相手が気持ち良く乗務できるように、洗車を行います。クルマは一日に200〜300㎞も走るので、かなりの埃や泥で汚れます。そのために洗車を行います。
タクシー業務は、お客様を安全に、無事に目的地にお届けすることが最も大切な仕事ですが、そのほかに、LPガスの充填、売り上げの納金業務、そして最後に洗車をして一日の業務を終えます。
作品②は、『浅草通り』です。題名の浅草通りは、上野駅前(東京都台東区)から駒形橋を渡り、業平、押上を通り、明治通りとの交差点、墨田区にある福神橋の交差点までを呼びます。
上野・浅草周辺に詳しい読者の方はご存じと思いますが、上野駅前から田原町までは仏壇通りと呼ばれ、多くの仏壇店が店舗を構えています。また、浅草通り沿道には東京のランドマーク、東京スカイツリーもあります。
浅草通りを走るとき、左右のガードレールに注目してみてください。とても特徴的なガードレールがあります。
浅草通りは都道です。都道のガードレールは都のシンボルマーク、“銀杏”をあしらったデザインのガードレールが一般的と思っていましたが、浅草通りの上野から駒形橋までは“波状”のデザインになっています。各支柱に黄色いテープが目印に貼られいて、なかなか素敵な情景になっています。
今回の作品は、白バイ隊員が違反車両を検挙し、違反キップを切っているところに偶然通りかかって写した資料をもとに制作しました。白バイ隊員が周囲の安全を注意深く見守りながら、違反車両の処理業務として書類を確認する後ろ姿、緊張感もありながら自然体の構えを表現したいと思いました。白バイの車種は、ホンダCB1300です。
構図は、特徴のあるガードレールを手前に描き、車道に白バイ隊員、その横を「合羽橋研ぎ陣」のトラックが通行しているという構成にしました。なお、このトラックは実在していません。ボクのギャラリーはこの店舗(ボクの息子2人が経営する刃物を研ぐ専門店)に併設していますので、どうぞ足をお運びください。
白バイ隊員をテーマにした作品は、以前から取り組んでいる連作です。白バイ隊員と白バイを作品で紹介する了解を得るため、ボクのアトリエの近所にある蔵前警察署に行きました。対応してくれた署員から警視庁の担当者に連絡したところ、今後も白バイ隊員を描いてください、と快諾していただきました。
そのうえ、資料だけでは詳細がわからなかった白バイのエンブレム(CB1300)の撮影や、シートの後方に取り付けられているリアボックス(書類箱)の固定金具などの撮影も許可していただきました。
その後、作品のモデルとして紹介した蔵前警察署の白バイ隊員が、AAF作品展に来場して作品を観賞していただき、大変うれしく光栄でした。今後の作品制作のモチベーションになりました。
白バイ隊員を描くようになって、以前にも増して、安全運転を心掛け、法令遵守の精神が高まっています。ちなみにボクの運転免許はゴールドです。
白バイ隊員をテーマにした連作は、安全を祈願する守護神のような存在です。
やまざきみつる/1950年、東京都港区出身。桑沢デザイン研究所を中退し、1971年に渡仏、パリに滞在。デザインおよび絵画制作に取り組む。また、10代のころ、浅草の三社祭で神輿を担ぎ、 半纏を着た鳶の組頭に興味を持つ。それ以来半世紀、鳶の方々を描き続ける。2017年、“研ぎ陣” 合羽橋店/満ギャラリーオープン。AAF オートモビル・アート連盟会員。東京都在住
インタビュアー/山内トモコ
