飛行機イラストの第一人者は空への憧れを込めて描き続ける/佐竹政夫さんの好きな作品・代表作

ある晴れた日にフラッと飛びたくなる飛行機
名機ノース・アメリカン P-51D ムスタング

 飛行機イラストの第一人者、佐竹政夫さんは、毎年9月に開催の個展で新作を発表。年末のAAF作品展でも、飛行機の魅力たっぷりの作品を披露してくださいます。今回のセレクションは、クルマ好き、バイク好きとして知られ、飛行機のライセンスを持つ俳優トム・クルーズが所有する名機のほか、作家のアーティスト心をくすぐる楽しい飛行機たちです。

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 クルマ好き、ドライブ好きの読者のみなさんは、晴れた日の朝にフラッとドライブに行きたくなることはありませんか? その気分は、ヒコーキ好きにとっても同じです。

 子供のころから大空が大好きなボクは、50年ほど前、「今週日曜日、天候が許せば……」と心待ちにして、箱根の山でハンググライダーに夢中になっていました。

 しかしながら、現在の世界では、本物の飛行機でフラッと飛んでしまう幸せな人たちがいます。

 そこで、今回のテーマは、「ある晴れた日にフラッと飛びたくなる飛行機」です。“飛びたくなる”とはいっても、ひとりで飛ぶのはちょっと寂しい、同じ感動を共有する人を乗せたいもので、2人乗りの機体を選んでみました。

 作品は、ボクが毎年9月、東京・有楽町にある「東京交通会館」の地下1階「シルバーサロンA」で開催している個展のために描きました。

作品①『ノース・アメリカン P-51D ムスタング』 ニッカデザイナースカラー/KMKケント(イラストボード) サイズ:325×480㎜ 制作:2025年

 作品①は「ノース・アメリカン P-51D ムスタング」です。レシプロ戦闘機の最高峰とされた機体であり、第2次世界大戦後かなりの機体が残されたため、民間に放出されました。

 P-51は、民間人によって整備され、復元され、飛行可能機は現在も数多く存在します。P-51の部品やエンジンを製造するメーカーがあるほか、P-51専門の飛行学校まであります。今日ではP-51を所有し、そのフライトを楽しむ趣味はステータスのひとつとなっています。

 P-51は、単座戦闘機です。テーマは「2人乗りの飛行機」ですが、じつは、P-51はコクピットの座席の後方が無線機のスペースになっており、大戦中の大型の無線機を取り外し、現在の小型無線機を取り付けると、窮屈ですがなんとか大人1人が収まるスペースができます。

 飛行機のライセンスを持つ俳優トム・クルーズもこのP-51のオーナーのひとりで、休日には後席に奥様を乗せて飛行を楽しんでいるそうです。80年代に大ヒットした映画『トップガン』(1986年公開)の続編、映画『トップガン マーヴェリック』(2022年公開)のラストシーンでは、トム・クルーズ本人の操縦でP-51が飛んでいます。あのP-51は彼の自家用機であり、トム・クルーズの日常なのです。あー、うらやましいですね。

作品②『ライアン練習機』  ニッカ・デザイナーズカラー/KMKケント(イラストボード) サイズ:325×480㎜ 制作:2025年

 作品②は、「ライアン練習機」です。2人乗りで、構造も簡単、小型軽量、楽しそうな機体です。トム・クルーズも以前乗っていましたが、不時着して壊してしまいました。しかし、機体は無事修理できたという話です。安全性が高いのかも。

作品③『セバスキー2PA』 ニッカ・デザイナーズカラー/KMKケント(イラストボード) サイズ:325×480㎜ 制作:2025年

 作品③は「セバスキー2PA」です。戦前のアメリカの戦闘機ですが、あまり性能がよくないといわれていました。本国では採用されず、2人乗りに改造され日本に輸出されました。しかし、日本海軍でも持て余し、日本の新聞社機として払い下げられました。なぜこの飛行機を作品の題材に選んだのかというと、不細工なところがちょっと可愛いのです。

 今回登場の3機とも、作品の中では機体全面をナチュラルメタルで描いていますので、個展のギャラリーに展示したときに見栄えがすると思います。

 毎年9月に開催の個展では、今年も新作を公開したいと思っています。まだ半年先ですが、ぜひ足をお運びください。

 インタビュアー/山内トモコ

さたけまさお/1949年、千葉県出身。69年からフリーで国内外のプラモデルメーカーのパッケージアートをはじめ、トム・クランシーなどの冒険小説、雑誌の表紙や挿絵などを多数手がける。航空ジャーナリスト協会理事、航空自衛隊航空美術協力会理事、AAF オートモビル・アート連盟会員。千葉県松戸市在住

やまうちともこ/TOKYO-FMパーソナリティを20年以上つとめ、インタビューした人1000名以上。映画評論家・品田雄吉門下生。ライター&エディター

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