【コラム】量産ハイブリッド誕生からまもなく30年、電動化は失速どころか加速している

量産ハイブリッド誕生からまもなく30年
全盛期を迎えたいまなお、進化し続ける技術
電動化はいま、失速どころか加速している

※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2026年9月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋したものです

新型ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボは1156馬力もの超ド級パフォーマンスを持ったスーパーSUV。あまりに凄すぎて、もはやそのまま野に放ってはいけないとさえ思ってしまう…

電気自動車とハイブリッド車の意外な歴史

 歴史を紐解くと、電気自動車が開発されたのは200年近く前の1830年代、世界で初めて市販されたのは140年近く前、1886年のこと。ガソリンエンジン車の誕生とほぼ同時期から、電気自動車が存在していたといわれている。

 1900年のパリ万博で一般公開されたバッテリー電気自動車“ローナー・ポルシェ”を手掛けたのは、その名にあるとおり、かのフェルディナント・ポルシェ博士だった。それは車輪のハブにモーターを搭載したインホイールモーターの先駆けだったそう。

 そして1901年、ローナー・ポルシェに発電用のエンジンを積んだ“ローナー・ポルシェ・ミクステ”が誕生。これが世界初のハイブリッド車だったといわれている。その後、1997年に「21世紀に間に合いました」と、トヨタが初代プリウスを世界初の量産型ハイブリッド乗用車として世に送り出した。

“EV失速”は本当なのか

 そして現代はカーボンニュートラルという大義のもとで、電動化推進が大きく叫ばれたものの、いま、あらゆる方面でその流れは失速しているという言葉を目にする。が、果たしてそうなのであろうか。

 確かに、BEV(バッテリー電気自動車)だけに絞ってみれば、そこへすべてシフトしようとする流れが減速したのは事実である。しかし、いまや国内の乗用車市場におけるハイブリッド車の販売シェアが6割を超えたというから、“xEV(電動車)”がいま最も主流なクルマであり、その流れはむしろ加速しているといえるのだ。今号の特集テーマ「ハイブリッド全盛期」が決まった背景は、まさにここにある。

にわかに盛り上がりをみせるBEV市場、快進撃を続けるテスラ

 ハイブリッド車のあれこれについては本誌をご覧いただくとして、ここではBEVについて触れておきたいと思う。というのも今年、BEVがにわかに盛り上がっている。1月の新型日産リーフ、5月のホンダSuper-ONE、7月にはポルシェ・カイエン・エレクトリックにボルボEX90、そしてBYDラッコと話題の新型車が目白押しである。

 “EV失速”と世間ではうたわれながらも、続々とデビューするプロダクトはどれも魅力あふれるもの。さらには補助金ブーストが日本では継続中、とくに東京都にいたっては増額までかけた状況になっている。

 それもあって、いまもっともその恩恵を受け、快進撃を加速させているのはテスラだろう。4月に3列シートSUVの新型モデルModel Y Lを発売、既存のModel 3、Model Yとともに販売は絶好調。テスラの販売数を調べてみると、2024年が約6000台、2025年が約1万2000台ときて、今年は確実に2万台を突破するとみられており、まさに倍々ゲーム中なのである。

テスラModel 3を1カ月借りて確信したこと

 先日、テスラからModel 3を1カ月ほど借り出して、擬似的にユーザー体験をさせてもらった。その様子は特集内コラムをご覧いただくとして、確信したことがある。都心部を中心に、BEVは思った以上に早く浸透するだろう、と。もちろん、ハイブリッド車を含むエンジン搭載車を超えるほどになる、というのはかなり先になると思う。ただ、ある一定のシェア、世の中の認知として、BEVも当然の選択肢だよね、という雰囲気になるのは、もうそこまで来ている、というか、すでになっているのではないだろうか。

 何をいまさら、と思われる方もいるかもしれない。実際、トヨタbZ4Xシリーズはじめ、国産BEV勢の販売状況をみても、もはやアーリーアダプターによる購買フェーズを超えているのは明らかである。一方で、エンジン車が終わる、とかの類の話は一切関係ない。それはそれとして、何らかのかたちで一定は残り続けるだろうと筆者は確信している。

 電動化の流れは着々と進み、プロダクトもより魅力的になっている。xEV界隈はいま、最高に盛り上がっているのだ。

 

文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/1980年東京都生まれ。ITコンサルティング会社、自動車Webメディア企業、広告会社を経て、マーケティング会社にて企業の戦略立案・事業開発支援業務に従事後、2020年に独立。2021年より現職。クルマを運転する時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

▼本誌『CAR and DRIVER』(2026年9月号)の詳細はこちら
https://www.caranddriver.co.jp/book/121298/

雑誌『CAR and DRIVER』

CAR and DRIVER (2026年9月号)のご紹介

  • 【時代を駆けるxEVは界隈はハイブリッド全盛期】電動化の流れは止まるどころか進化し続けている
  • 日産キックス+エルグランド/レクサスES/SUBARUレヴォーグ・レイバック/三菱アウトランダーPHEV 他
  • 【グルメドライブ紀行 ニッポンの優食】静岡・浜松編/翡翠色の暴れ川、天竜川沿いをホンダCR-Vで旅する
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