「2026年3月期」トヨタの決算で語られた事業構造変革と我々ユーザーとの関わり

 

 5月8日に行われた2026年3月期決算において、トヨタは決算の実績値や販売台数の実績について説明、従業員や販売店、サプライヤーに感謝の意を伝えるとともに、次年度の見通し、株主還元策、そして事業構造変革が述べられた。決算そのものの数値は立派だが、米国関税や中東情勢といった外部環境を跳ね返すまでには至らず、3期連続で減益となったことに対して、宮崎CFOは「重く受け止めている」と語り、その要因は「短期施策に留まってしまったこと」で、「中長期目線で進める事業構造変革の遅れであり、状況を打破し、持続的な成長軌道に戻していく」と述べている。

 つまり、今後のトヨタがどのような方向に進むのか、トヨタ自身が重要視しているのが「事業構造変革」の内容といえる。

 では事業構造変革の中身は何か、を見ていくと「もっといいクルマづくり」、と「モビリティカンパニーへの変革」の2つが掲げられ、「もっといいクルマづくり」については「5ブランド戦略」と「稼ぐ力の引き上げ」、「モビリティカンパニーへの変革」については「既存VC(バリューチェーン)収益のさらなる拡大」「新モビリティ」「SDV・ロボティクス」に分解される。

 各所それぞれに注目すべきポイントが隠されているが、我々ユーザーにとって大事なのは、質疑応答でも取り上げられた「稼ぐ力の引き上げ」の具体的な内容だろう。

 「稼ぐ力の引き上げ」は4本の柱で支えられている。「HEV生産能力増強」「生産車種再編」「現調化のさらなる推進」「源流まで踏み込んだ原価低減」の4本であり、そのベースとなるのが「生産能力の最大活用」と書かれている土台だ。土台には「既存スペース・能力の有効活用(AREA35等)→生産能力の増強」とある。ではAREA35とは何か。

 AREA35は「仕様・部品種類の適正化による生産性向上」となっている。これは無駄に多かった部品の種類を統廃合して減らすことで工場のスペースが広がる。部品の種類を減らせば、それを管理する人員も削減が可能。そのスペースや人員をボトルネックとなっている他の工程へ回すことができ、生産性が向上する仕組みだ。地道な努力だが、国内10工場でトライアルした結果、フルモデルチェンジ3プロジェクト相当が捻出されたのだから、ものすごい効果がありそうだ。グローバル展開されれば、さらなる効果が望める。

 

 AREA35などの生産性向上とともに、工場の働きやすい環境づくりや、成長を実感できるやりがいの面でも取り組みが進められ、安定して1000万台を生産できる体制を構築することで、納期短縮につなげ、結果的に稼ぐ力がアップする、というわけだ。

 我々ユーザーは納期遅延に悩まされている。納期短縮を願っているが、新しい工場を作るのは時間がかかるし、リスクも大きい。そこでAREA35などの生産性向上の取り組みが行われ、納期短縮を目指しているわけだ。納期が短縮されれば販売台数が増えて利益が引きあがる。その利益をモビリティカンパニーへの変革へとつなげていく。トヨタの進む方向性が少しずつ見えてきた気がする。

 

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