【最新フラッグシップ研究】世界で人気絶頂のレクサスLX。フラッグシップとしての資質を考えた

レクサスLX600 価格▷1250〜1800万円 試乗記

レクサスLX600エグゼクティブ 価格:10SAT 1800万円 LXはランドクルーザー300をベースに開発された最上級SUV。地球上のすべてをカバーする圧倒的な走破性をそのままに、上質な乗り味を追求したのが魅力になる

レクサスLX600エグゼクティブ 価格:10SAT 1800万円 LXはランドクルーザー300をベースに開発された最上級SUV。地球上のすべてをカバーする圧倒的な走破性をそのままに、上質な乗り味を追求したのが魅力になる

レクサスに頂点モデル変更の動きが勃発

 レクサスのフラッグシップといえば、もちろんLSだ。レクサスは1989年のアメリカデビューとともに誕生したLS(日本名は当時セルシオ)によってブランドイメージを決定づけた。第5世代を迎えたいまもなお、ブランドを象徴する存在であることは間違いない。

 一方でレクサスには大型クーペのLCや大型SUVのLXという「別種のL」も存在する。いずれも日本車においては珍しい高級ラグジュアリーモデルであり、レクサスブランドの多様性をアピールする重要な役割を担っている。
 とくにランドクルーザーベースのLXは現行モデルになっていっそう人気に火がついた。SUVがごく一般的な乗用車カテゴリーとなる一方で、セダンの存在意義が急速に薄まる中、これまでフラッグシップと見られてきたLSよりも、背の高いワゴンスタイルでランクル譲りのオフロード性能を持つLXに世界の注目が集まっている。

 もっとも、先にいっておくと、ボクはいろんな意味でLXをレクサスの頂点だとは現時点では思っていない。デザインや質感がとても立派である半面、一般的なシーンでのドライバビリティや生産性(現在オーダー停止中)においてフラッグシップと呼ぶにふさわしいとは思えないからだ。けれどもその人気は凄まじい。一部ユーザーのフィーバーぶりの前では、さしものLSも存在感をすっかり失くしてしまったように見える。

LXのパワーユニットは全車3リッター・V6ツインターボ(415㎰/650Nm)。足回りは車高調節機能付き。堂々とした体躯はフォーマルシーンでもマッチする存在感を備える。写真のエグゼクティブは22インチアルミ標準。LXは世界中から受注が殺到。生産能力の限界を超えた関係で現在はオーダーストップ中

LXのパワーユニットは全車3.5リッター・V6ツインターボ(415㎰/650Nm)。足回りは車高調節機能付き。堂々とした体躯はフォーマルシーンでもマッチする存在感を備える。写真のエグゼクティブは22インチアルミ標準。LXは世界中から受注が殺到。生産能力の限界を超えた関係で現在はオーダーストップ中

LXのラインアップは標準(写真)/オフロード/エグゼクティブの3グレード。シートは全車が上質な本革仕様。標準とオフロードは3列/定員7名と2列/定員5名から選べる。快適性は本格オフローダーとしては良好だが、純パッセンジャーカーとして見ると、若干の粗さが感じられる

LXのラインアップは標準(写真)/オフロード/エグゼクティブの3グレード。シートは全車が上質な本革仕様。標準とオフロードは3列/定員7名と2列/定員5名から選べる。快適性は本格オフローダーとしては良好だが、純パッセンジャーカーとして見ると、若干の粗さが感じられる

時代がフラッグシップの変化を後押ししている!

 LXは、そもそもブランドのフラッグシップとして企画されたモデルではなかった。だが絶大な人気を博しているということは、時代がその役割をLXに求め始めたというべきだろう。今後はレクサスもLS後継モデルのポジショニングをよくよく考えておく必要がある。メルセデスのように、たとえ電動化となってもセダンイメージのフラッグシップにこだわり続けるか、はたまた思い切ってSUV、なんならミニバン(次期型アルファードベース)へと切り替えるのか。

 個人的にはレクサスらしいユニークさを演出するのなら後者の選択もアリだと思っている。「おもてなし」の高級ミニバン文化は日本独自で世界を見渡してもほとんど例がない。実をいうとアルファードの存在はアジア諸国に限らず欧州の一部でも話題になりつつある。
 先日もミラノの高級ホテル前で左ハンドルのアルファード(おそらく中国仕様)を見て驚いた。日本を訪問するVIPの出迎えでもアルファードを指定されるケースが増えていると聞く。
 とはいえ、戦略的には迷うことなく前者(SUV)だ。マーケットが大きく、グローバルに展開できる。ただ、ランドクルーザーをベースとする限り、難しい。世界の道なき道を半永久的に走り続けることができるランクルの成立要件と、高級ラグジュアリーの要件は必ずしも合致しない。

 そのことは、LXに乗るとよくわかる。街乗りでは4本のタイヤの存在感が、つねに必要以上に感じられる。路面状況に対する反応に鷹揚さが不足しているようにも思う。さらにエンジンフィールとサウンドはやや苦しげで力も最高級のSUVとしては物足りない。どうしても車体の重さを感じてしまうのだ。車体構造上の問題も大きい。フレーム方式では悪路走破性とのトレードオフの影響がどうしても出てしまう。高速走行域においては以前に比べて随分と安定したものの、とろけるような乗り味を実現した欧州の高級ブランドSUVに比べると少々劣っているように思えた。
 実をいうとこれらはすべてランクル300の「乗用車としての欠点」である。そういう意味ではレクサスに罪はない。ランクル・ベースでは難しいと指摘した理由がこれなのだ。

 もっとも、文字で書くとネガティブな表現となってしまうが、実際に、いまひとつと感じるのは他の最高級モデル、たとえば最新のレンジローバーやジャーマンプレミアムあたりと比べての話。ふつうに乗っていてそれほどの不満はない。他の国産SUVに比べれば頂点のパフォーマンスを有していることは間違いない。最新のLXで見るべき点は、デザインと見栄え、質感の向上だろう。見た目は内外装共々、最高級SUVとして申し分ない。威風堂々のスタイリングはLS以上の貫禄で迫ってくる。インテリアのデザインや装備の数々もさすがだ。この面でLXは、すでにLSに代わるフラッグシップとしての存在感を身につけていると思う。

 課題があるとすれば、今後のパワートレーン戦略だろう。新型のV6ツインターボは決して悪くないが、いろんな意味で次世代フラッグシップにふさわしいとはいえない。大型で高級なSUVの運命は、環境性能にかかっているとさえ思う。BEVを含めて、どのようなシナリオを描くのか楽しみである。

エグゼクティブは後席居住性を高めたスペシャルバージョン。後席はNASAが提唱する中立姿勢を参考に最大48度のリクライニングが可能。電動オットマン付き。専用エンターテインメントシステムやシャワー空調機能などアメニティ装備も充実している。写真は左ハンドルの輸出仕様

エグゼクティブは後席居住性を高めたスペシャルバージョン。後席はNASAが提唱する中立姿勢を参考に最大48度のリクライニングが可能。電動オットマン付き。専用エンターテインメントシステムやシャワー空調機能などアメニティ装備も充実している。写真は左ハンドルの輸出仕様

オフロードレクサスLX600 主要諸元

真正面

グレード=LX600
価格=10SAT 1250万円(7名乗り)
全長×全幅×全高=5100×1990×1885mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1675/リア1675mm
車重=2590kg
エンジン=3444cc・V6 DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=305kW(415ps)/5200rpm
最大トルク=650Nm(66.3kgm)/2000〜3600rpm
WLTCモード燃費=8.0km/リッター(燃料タンク容量80リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=5.5/8.3/9.7 km/リッター
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:トレーリングリンク車軸式
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=265/50R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=6.0m

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