【最新モデル試乗】2020年生産1937年モデル!? まさに名車、英国の名門アルヴィスがリリースする4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラーをサーキットで乗った!

アルヴィス4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラー・コンティニュエーション 価格:6MT 5274万5000円  細部を除きデザインとメカニズムが1937年当時と共通の2020年生産車
アルヴィス4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラー・コンティニュエーション 価格:6MT 5274万5000円 細部を除きデザインとメカニズムが1937年当時と共通の2020年生産車

アルヴィス・4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラー・コンティニュエーション 価格:6MT 5274万5000円(参考・英国渡し) 試乗記

2020年生産のクラシックモデル。英国らしいヒストリーの持ち主

 アルヴィスは、1919年から1967年まで高級車を製造していた英国の名門だ。ただし過去のブランドではない。アルヴィスはかなり特異で、いかにも英国らしいヒストリーの持ち主である。
 まず、取材した「最新」アルヴィスについて報告しておこう。輸入するのは自動車部品の専門老舗商社、明治産業である。

 見た目に戦前のクラシックカーそのものというべき4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラーが今回の主役だ。いわゆるビンテージカー(中古車)ではない。ばりばりの新車。けれども年式は1937年、というからややこしい。
 全長4900mm、ホイールベースは3135mm、というからかなりの大型だ。

 実はこのクルマ、一部を除き戦前の同型車と「同じ」である。アルミニウムのボディパネルはもちろん、アッシュウッドの基本骨格、直6OHVエンジン、贅の尽くされた内外装に至るまで、オリジナルモデルと変わらない。製造は現代だが、設計は当時のままだ。

 変更されたパートといえば、最新のエンジンマネジメントシステムやラック&ピニオンのステアリング、ディスクブレーキ、6速トランスミッション。そしてオーディオ(ブルートゥース)を最新仕様に替え、日本仕様にはクーラーを追加した程度。それ以外はオリジナルを、現代の技術で忠実に再現している。

コンティニュエーションとオリジナル ナンバープレートが製造年を示す 4.3リッター・コンティニュエーションは1937年式として77台を生産予定
コンティニュエーションとオリジナル ナンバープレートが製造年を示す 4.3リッター・コンティニュエーションは1937年式として77台を生産予定

1937年式から連続した車台番号を持つ正統派。コンティニュエーションは77台生産予定

 どうしてそんなことが可能だったのか。半世紀以上も前に乗用車生産をやめた会社だというのに?
 実は1967年に生産を休止した際、既存カスタマーにサービスを提供するために、すべての設計図やスペアパーツを託された会社があった。その名はレッドトライアングル(アルヴィスのエンブレムに由来)。

 この会社が連綿とカスタマーサービスを続け、1990年代以降はクラシックカーのレストアビジネスに取り組んだ。その成果が、この名車再生だ。

 今回の試乗車は「コンティニュエーション」モデルと呼ばれ、1937年式から続く車台番号を持つ。当時、4.3リッターモデルは英国当局が150台の生産枠を許可していた。だが、大戦の影響で73台を作っただけで、77台の枠が未生産で残っていた。アルヴィス=レッドトライアングルにはすべての記録が残されており、晴れて未生産分77台の1937年式を今日において作ることが許された。よって、英国では1937年式と認められ、日本には新車ながら、1937年式の「中古車」として輸入される。

コンティニュエーションモデルは名車を現代の技術で復刻 往年の魅力が高い安心感とともに味わえる超個性派 走りの味わいは格別
コンティニュエーションモデルは名車を現代の技術で復刻 往年の魅力が高い安心感とともに味わえる超個性派 走りの味わいは格別

モダンカーと同様のドライビングファン! 現代の技術で楽しむ生粋ヒストリックカー

 はたしてその乗り味はどうか。明治産業が所有する正真正銘1937年式と比較試乗ができたが、まず、1937年生産車でも思いのほか扱いやすく、ドライビングファンだったことを報告しておく。そのうえでコンティニュエーションの2020年生産車(ディスクブレーキで見分けてほしい)を評価すれば、「いっそうドライビングが楽しい」クルマに仕上がっていた、となる。

 旋回性と制動力が段違いにいいので、サーキットを攻め込み、細いタイヤをスライドさせて走るような芸当が苦もなくできた。ロングホイールベースゆえ、さほど神経質にならずにがんがん切り込んでいけるのだ。エンジンもすこぶるつきのパワー&フィールで扱いづらさは微塵もない。少し違和感を感じたのはクイックに決まりすぎるトレメック製6速MTくらいだった。

 レトロ制御(キャブなど)も可能だというが、現代の技術でクラシックを気兼ねなく楽しむという「遊び」もあっていいと思う。もっともお値段はスーパーカー並みになってしまうけれども。

室内は本木目パネルと本革で構成 ステアリングはノンパワー式ながら適度な重さ 意外なほど扱いやすい 4本スポークステアリングは路面からのキックバックを有効に吸収するデザイン 着座位置は高く視界はいい 各部の作りは入念
室内は本木目パネルと本革で構成 ステアリングはノンパワー式ながら適度な重さ 意外なほど扱いやすい 4本スポークステアリングは路面からのキックバックを有効に吸収するデザイン 着座位置は高く視界はいい 各部の作りは入念
シートは本革 前席はサポート性に優れたセパレート形状 3点式シートベルト標準 調節機構は前後スライドのみ 後席は2名掛け ツアラーを名乗るだけに居住性は良好
シートは本革 前席はサポート性に優れたセパレート形状 3点式シートベルト標準 調節機構は前後スライドのみ 後席は2名掛け ツアラーを名乗るだけに居住性は良好
ドライバー側に5000rpmスケールのタコメーターと時計をレイアウト 100mph表示のスピードメーターと燃料計は助手席側にビルトイン
ドライバー側に5000rpmスケールのタコメーターと時計をレイアウト 100mph表示のスピードメーターと燃料計は助手席側にビルトイン
日本仕様は専用設計のクーラーを標準装備 快適性を重視
日本仕様は専用設計のクーラーを標準装備 快適性を重視
オーディオはレトロデザインながらブルートゥース対応最新設計
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トレメック製6速MTは節度感あるシフトフィール実現
トレメック製6速MTは節度感あるシフトフィール実現
4387cc 直列6気筒OHV ボア×ストローク92×110mm 160bhp/3600rpm 燃料供給装置は3連スロットル式電子制御燃料噴射 エンジンはスムーズ&パワフル キャブレター仕様のオーダーも可能
4387cc 直列6気筒OHV ボア×ストローク92×110mm 160bhp/3600rpm 燃料供給装置は3連スロットル式電子制御燃料噴射 エンジンはスムーズ&パワフル キャブレター仕様のオーダーも可能

アルヴィス4.3リッター・バンデン・プラ・ツアラー・コンティニュエーション 主要諸元の主要諸元と主要装備

価格=6MT 5274万5000円(参考・英国渡し)
全長×全幅×全高=4900×1700×1360mm
ホイールベース=3135mm
車重=1620kg
乗車定員=4名
エンジン=4387cc直6OHV(プレミアム仕様)
最高出力=160bhp/3600rpm
燃料供給装置=3連スロットル電子制御燃料噴射
トランスミッション=TREMEC製6MT
サスペンション=フロント:ウィッシュボーン/リア:リーフ・リジッド
ブレーキ=前後ディスク
タイヤサイズ=5.5-6.0-19
駆動方式=FR
最高速度=180km/h以上

タイヤは5.5×6.0-19クロスプライ ホイールは前後ともセンターロック式ワイヤー 足回りは前ウィッシュボーン/後リーフ・リジッド ブレーキは4輪ディスク
タイヤは5.5×6.0-19クロスプライ ホイールは前後ともセンターロック式ワイヤー 足回りは前ウィッシュボーン/後リーフ・リジッド ブレーキは4輪ディスク
センターグリルと大径ライトはクラシックカー特有の風格
センターグリルと大径ライトはクラシックカー特有の風格
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