【最新モデル試乗】シンプル&クリーンが評判。新型ホンダ・ステップWGNの気になる完成度

ホンダ・ステップワゴンe:HEVスパーダ(7名乗り) 価格:364万1000円 新型はスパーダとエアーの2シリーズ構成 パワーユニットはe:HEVと1.5リッターターボ スパーダにはプレミアムラインを設定
ホンダ・ステップワゴンe:HEVスパーダ(7名乗り) 価格:364万1000円 新型はスパーダとエアーの2シリーズ構成 パワーユニットはe:HEVと1.5リッターターボ スパーダにはプレミアムラインを設定

ホンダ・ステップWGN 価格:299万8600〜384万6700円 試乗記

走りの印象は上々。新型はスムーズ&リニアなフィーリング

ステップWGNのGood Point

1:広く、快適、運転しやすい優れた基本設計
2:プレーンでボクシーな新感覚スタイリング

 新型ステップワゴンを、いよいよ公道でドライブした。スタイリングは、あらためて見ても好印象。安心感と自由を表現するためガラリと変わった造形は、優しい印象を受ける。それは新設定のエアーだけでなく、スポーティ志向のスパーダでも同じ。ただし「コワモテ」にしなかったことを称賛する一方で、シンプルすぎるという声もあると聞く。いまどきのミニバンユーザーがどう評価するのか、興味深いところである。

 さっそく本命のe:HEVスパーダからドライブ開始。e:HEVは2リッターエンジン(145ps)とモーター(184ps)の組み合わせ。高速時を除き、基本的にエンジンで発電、モーターで走る。フィーリングは上々。テストコースで感じた好感触は公道でもそのままだった。これまでにも増して静かで滑らかな乗り味に進化している。実に乗りやすい。
 発進はもちろんモーターが担当。そのままおとなしく走っているとEV走行のままけっこう粘る。バッテリー残量が少ないとやはりエンジンがかかる頻度は増えるが、静かで振動が小さく、再始動もスムーズなので、まったく煩わしくない。イメージとしては、これまでよりもエンジンが遠い位置にある感覚だ。

 新型はリニアリティも増している。旧型のe:HEVは動力性能に優れる半面、アクセルワークとの一体感が乏しい点が気になった。新型はペダルを踏むつま先の力加減だけで意のままにコントロールできる。新型の走りは、上質で洗練されている。
 スパーダは、パドルで回生ブレーキの強さを4段階から選べる。これは便利だ。新しい機構を採用したブレーキもコントロールしやすかった。これでペダルから足を離す瞬間の感触がもう少し自然になれば最高である。

 ガソリン車はエアーに試乗。1.5リッターターボ(150ps)も予想以上によくなっていて、ちょっと驚いた。旧型は、パンチの効いた加速フィールが心地よかったが、一方で低回転から踏み増した際にやや唐突に加速するのが気になった。パワフルな半面、扱いにくい部分もあったのだ。新型はフィーリングを大幅に改善。加速の力強さをそのままに、過渡領域がリニアな特性になっている。音や振動も旧型より抑えられていた。

エアー(8名乗り) 価格:CVT 302万600円 エアーはシンプルなデザインとファブリック内装の組み合わせ プレーンな性格 パワーユニットは1.5リッターターボ(150ps/203Nm) WLTCモード燃費:13.9km/リッター
エアー(8名乗り) 価格:CVT 302万600円 エアーはシンプルなデザインとファブリック内装の組み合わせ プレーンな性格 パワーユニットは1.5リッターターボ(150ps/203Nm) WLTCモード燃費:13.9km/リッター
ドアは大開口 全車両側パワースライドドア標準 フロアが低く乗降性に優れるのはステップワゴンの伝統
ドアは大開口 全車両側パワースライドドア標準 フロアが低く乗降性に優れるのはステップワゴンの伝統
e:HEVは2リッターエンジン(145ps/175Nm)+モーター(184ps/315Nm)で構成 基本的にエンジンで発電/モーターで走るシステム
e:HEVは2リッターエンジン(145ps/175Nm)+モーター(184ps/315Nm)で構成 基本的にエンジンで発電/モーターで走るシステム
スパーダは205/60R16タイヤ+ダーク切削クリアアルミを装着 最小回転半径は5.4m 小回りが利く
スパーダは205/60R16タイヤ+ダーク切削クリアアルミを装着 最小回転半径は5.4m 小回りが利く

新型は乗り心地の良さが印象的。全方位で完成度が高い

 パワートレーンだけでなく、新型のメカニズムは従来型の大幅改良版。徹底的な走り込みとチューニング変更で熟成を図った。中でも新型のスッキリとしたステアリングフィールは実に心地よい。クルマの動きが把握しやすくなり、不意の操作で車体をグラつかせることも減るだろう。
 また、このサイズのミニバンとは思えない取り回しのよさも実感した。16インチタイヤ装着車の最小回転半径は5.4m。広く快適な室内空間を持っていながら、狭い道でも苦にならない。

 乗り心地も明らかによくなっている。新型は重心が下がり、トレッドがワイドなった利点でロールしにくくなった。この結果、足回りの設定を乗り心地重視の快適方向にセッティングできたのだという。サイドシルやドア回り、リアサス取り付け部の強化やサスペンションストロークの増大で、足回りがよく動く。微振動や突き上げは大幅に低減している。このクラスでトップの心地よさだ。
 17インチタイヤを履くプレミアムラインも乗り心地の良さは共通。16インチの他グレードと比べると、ややコツコツとした感触はあるものの、しなやかさをキープする。

 インテリアの印象はエアーとスパーダで異なる。割合としてはスパーダの精悍さを求めるユーザーが多いだろうが、明るい色調でファブリックを用いたエアーの雰囲気を好むユーザーも少なくないはず。そうなると、装備に差があるのは惜しい気もする。

 スッキリとした運転視界と車両感覚の掴みやすさも、あらためて実感した。ドライバーの視野に入るものを水平・直線基調とした効果だ。インパネ中央に配置された大画面ディスプレイは操作しやすく、表示機能も充実している。ちょっぴり気になったのは、液晶式のメーター。運転席からの視認性はよいのだが、正面からずれるととたんに黒く落ちてしまう。助手席からは何も見えない。パートナーはちょっと寂しい思いをするかもしれない。
 運転を交代し、後席にも乗ってみた。広さは従来以上。見晴らしもよくなり、「乗り物酔いしにくいよう配慮した」という視界の恩恵も感じられた。乗り心地や静粛性が向上した点は、後席パッセンジャーに大きな恩恵をもたらすに違いない。

 新型は、欠点はどこかと聞かれても即座に答えられないほどの完成度の持ち主。このクルマならたしかに「#素敵な暮らし」の名パートナーになる。ファミリー層だけでなく、子育てが終わり、快適なパッセンジャーカーを探しているユーザーにも最適な、マルチユースモデルである。

インパネは水平基調のシンプルな造形 ワイドな視界が魅力 ナビは全車ディーラーop 写真の11.4インチモデルは29万2600円 9インチ(22万8800円)も用意する
インパネは水平基調のシンプルな造形 ワイドな視界が魅力 ナビは全車ディーラーop 写真の11.4インチモデルは29万2600円 9インチ(22万8800円)も用意する
スパーダのシートはプライムスムースとファブリックのコンビ仕様 2列目には両側アームレストとオットマンを標準装備 室内長2845mm
スパーダのシートはプライムスムースとファブリックのコンビ仕様 2列目には両側アームレストとオットマンを標準装備 室内長2845mm
メーターは10.2インチフル液晶タイプ 視認性に優れたシンプル意匠 ただし助手席側からは全く見えない
メーターは10.2インチフル液晶タイプ 視認性に優れたシンプル意匠 ただし助手席側からは全く見えない
e:HEVは電気式無段変速 走行セレクターはボタン操作式 スパーダはパドル式回生セレクター標準
e:HEVは電気式無段変速 走行セレクターはボタン操作式 スパーダはパドル式回生セレクター標準
スパーダとエアーはマルチビューカメラがop(8万8000円) 車両周囲を表示する便利設計 優れた取り回しをサポート
スパーダとエアーはマルチビューカメラがop(8万8000円) 車両周囲を表示する便利設計 優れた取り回しをサポート
3列目は左右独立で床下に収納できる設計 使用時でも低床設計により実用性高水準 収納するとフラットな大空間が生まれる 2列目のスライド位置にラゲッジ長は自在に調節できる
3列目は左右独立で床下に収納できる設計 使用時でも低床設計により実用性高水準 収納するとフラットな大空間が生まれる 2列目のスライド位置にラゲッジ長は自在に調節できる
新型は走りが大幅に洗練 e:HEVはパワフルで滑らかなフィーリング 静粛性もハイレベル 走行中にエンジンが始動してもほとんど気にならない デザインは新感覚
新型は走りが大幅に洗練 e:HEVはパワフルで滑らかなフィーリング 静粛性もハイレベル 走行中にエンジンが始動してもほとんど気にならない デザインは新感覚
e:HEVスパーダ・プレミアムライン 価格:384万6700円 プレミアムラインは17インチアルミ標準の上級版 マルチビューカメラ/アダプティブドライビングビーム標準/2列目シートヒーター装備
e:HEVスパーダ・プレミアムライン 価格:384万6700円 プレミアムラインは17インチアルミ標準の上級版 マルチビューカメラ/アダプティブドライビングビーム標準/2列目シートヒーター装備
プレミアムラインは室内各部にスエード調素材を使用 上級なイメージに仕立てた 2列目シートはキャプテンタイプのみ
プレミアムラインは室内各部にスエード調素材を使用 上級なイメージに仕立てた 2列目シートはキャプテンタイプのみ

ステップWGN 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=e:HEVスパーダ(7名乗り)
価格=364万1000円
全長×全幅×全高=4830×1750×1840mm
ホイールベース=2890mm
トレッド=フロント:1485/リア:1500mm
最低地上高=145mm
車重=1840kg
エンジン(レギュラー仕様)=1993cc直4DOHC16V
最高出力=107kW(145ps)/6200rpm
最大トルク=175Nm(17.8kgm)/3500rpm
モーター最高出力=135kW(184ps)/5000〜6050rpm
モーター最大トルク=315Nm(32.1kgm)/0〜2000rpm
WLTCモード燃費=19.6km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(市街地/郊外/高速道路:19.3/20.5/19.2km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:車軸式
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/60R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=7名
最小回転半径=5.4m

主要燃費向上対策:ハイブリッドシステム/アトキンソンサイクル/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
主要装備:ホンダセンシング(衝突軽減ブレーキ+前後誤発進抑制機能+近距離衝突軽減ブレーキ+歩行者事故低減ステアリング+路外逸脱抑制機能+渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール+トラフィックジャムアシスト+車線維持支援システム+オートハイビーム+先行車発進お知らせ機能+標識認識機能)/パーキングセンサー/ブラインドスポットインフォメーション/LEDアクティブコーナリングライト/サイドカーテンエアバッグ/フルLEDヘッドライト/2列目キャプテンシート/ファブリック&プライムスムース・コンビシート/2列目オットマン/1列目シートヒーター/3列目分割床下収納式シート/パワーテールゲート/エレクトリックギアセレクター/減速セレクター/ナビ装着用スペシャルパッケージ/トリプルゾーン・フルオートAC/PTCヒーター/全列USBチャージャー/マルチインフォメーションディスプレイ/本革巻きステアリング/カラードテールゲートスポイラー/ダーククロームメッキ加飾/スパーダ専用エクステリア/16インチアルミ(ベルリナブラック+ダーク切削クリア)
装着メーカーop:マルチビューカメラシステム8万8000円
ボディカラー:トワイライトミストブラックパール(op3万8500円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル料金は1万2600円

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