※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2026年3月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋したものです
先月もお伝えしたとおり、2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーはSUBARUフォレスターとHondaプレリュードという、いずれもストロングハイブリッドをパワートレーンに持つクルマの一騎打ちだった。フォレスターはまぎれもないイヤーカーだが、対するプレリュードもS+シフトを初めとした数々の魅力をもち、まったく引けを取っていなかった。いずれにせよ、ハイブリッド車が強い魅力があり、また注目を集めることを実証したのが2025年だったと思う。
筆者としては、ここ最近のホンダの官能性へのこだわりの高さと技術開発のアグレッシブさは目を見張るものがあると思っている。いよいよBEV専用のHonda 0(ゼロ)シリーズも販売開始まで秒読み段階、ここでいかに商品としての魅力を打ち出す方程式を紡ぎ出すかが、いま国内で最も電動化を声高にさけぶメーカーとして、今後の運命を左右する大事なところだ。そして2026年もきっと何か仕掛けてくるに違いない。
国産BEVといえば、2022年に日産サクラ/三菱eKクロスEVが、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、話題になって売れたのだが、いまでは販売数もめっきりと低迷。それもそのはず、さすがに実質的な安心航続可能距離が100㎞+程度ともなれば、そこで満足させられる層にも限りがでてくる。トヨタbZ4X/SUBARUソルテラは、次なる本格BEVにむけた実験台的な位置づけでスケールする見込みは薄い。
そうこうしていたら、いよいよスズキもeビターラでBEV市場に参入し、ホンダは国内四輪事業の屋台骨ともいえるKカー領域でN-ONE e:を投入。さらには元祖・日産リーフのフルモデルチェンジで挽回を狙うなど、BEV市場もますます勢いを増している状況だ。とくに2026年はKカー市場にいよいよ黒船襲来ともいえる、BYDのラッコのデビューが決まっている。
ちなみにBYDは今号でも試乗記で紹介しているPHEVのシーライオン6も投入済み。また、あまりクルマ好き界隈で最近話題にあがってこないが、テスラは昨年から高い補助金を武器に着実に販売数を伸ばし続けている。そしてBEV一辺倒でなくなった空気の中で意気消沈しているかのように見えている欧州勢も、続々と新車種のデビューが控えている。そう、実は2026年最も注目なのは、BEV市場かもしれない。ただし、補助金次第で大きく売れ行きに影響するという実態があるのは非常に苦しく、まだまだ弱いと感じてしまうのだが……。
ところで、今月の特集は「人とクルマの物語」として、メディア業界中心に13名のクルマ好きに登場いただき、そのクルマ好きエピソードを語っていただいた。趣旨としては、ひと言でクルマ好きといっても十人十色であって、それぞれの自由であることを見える形にしようということだった。古いクルマが多い中で、いよいよBEVもこの中に入ってきた。
2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー・オブ・ザ・イヤー、そしてデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞したフォルクスワーゲンID.Buzzである。詳しくは誌面で読んでいただくとして、ただクルマの仕組み違いがどうとかではなく、やはり人とクルマにはさまざまなエピソードがあり、ストーリーがある。
今回の特集を作っている中で、編集部内では「クルマ好きといっても人それぞれ違って面白いね」とところどころで話していた。読者の皆さんにはどう写るのだろうか、ぜひ感想やフィードバックをお寄せいただけたら、このうえなくうれしい。
文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/1980年東京都生まれ。ITコンサルティング会社、自動車Webメディア企業、広告会社を経て、マーケティング会社にて企業の戦略立案・事業開発支援業務に従事後、2020年に独立。2021年より現職。クルマを運転する時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員
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