【コラム】現代のスーパーカーの“お作法”はジェントルな振る舞いにある

現代のスーパーカーの“お作法”は
圧倒的なパフォーマンスを持ちながらも
ジェントルかつスマートに振る舞うことだ

※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2026年4月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋したものです

フェラーリの現行モデルの中ではローマ・スパイダーが一番のお気に入り。海洋生物のような流麗なシルエットがエレガントで、シンプルにカッコいいと思う。いつか欲しい。ただし、RHDに限る

フェラーリ849テスタロッサの国際試乗会へ

 表紙をご覧のとおり、今号の巻頭企画はフェラーリである。849テスタロッサというロードカーとして最強のPHEVで、総合出力は1050馬力というモンスターマシン。今回、大変光栄なことにこのモデルの国際試乗会に招待いただき、公道とトラック両方で存分に堪能させていただいた。その詳しい内容は本誌レポートを読んで頂きたいのだが、本稿ではここ最近感じた、最新スーパースポーツの共通項について触れておこう。

最新スーパースポーツに共通するお作法とは

 筆者がスーパースポーツと呼ばれるジャンルのクルマに触れることになったのはこの仕事に関わるようになってからだが、実際にドライブしたモデルに共通していえるのは、当然のことながら圧倒的なパフォーマンスを持っていること。それに加えて、最新ADAS(先進運転支援システム)の機能が備わっていることだ。さらに電動化が取り入れられたハイブリッドモデルでは、その力を真っ先にパフォーマンス・アップに取り入れながらも、実は市街地などの走行でのモーター走行なども積極的に行うモードを持っているところに注目してほしい。

 実際にドライブすればわかるのだが、これが外見イメージと裏腹な感じがしてとても良い。クルマ好きとしてはワクワクするエンジン音や排気音でも、一般社会からみればただの騒音であることは否定できず、こういったクルマをドライブする際、とくに市街地でとても気を遣うことになる。いってしまえばストレスになる。それが、電動モーターで静かに走り出すところは、ストレスフリーであり、いっそ快感にさえ感じてしまうのだ。

 今回の特集で紹介しているフェラーリ849テスタロッサもまさにそんなクルマだった。運転フィールもまた快適で、車内空間も静かなので、ただ流して走っているぶんには、これが1050馬力を発揮するモンスターマシンであることを忘れてしまいそうになった。ちなみにスペインで行われた国際試乗会からの帰国後、比較の意味も込めてあらためてローマ・スパイダーと12チリンドリに試乗した。いずれも純エンジンのモデルだが、市街地を普通にドライブするシーンでは、きわめてジェントルな振る舞いをするクルマであったのを付け足しておこう。

 と、フェラーリのことばかりの話になってしまったが、これはたとえばランボルギーニも同様である。ちょっと(?)ばかりエンジン始動時の振る舞いこそ違えど、レヴエルトやウルスSEに乗った感想としても、市街地走行時の振る舞いには同じ思想を感じるところがあった。そう、これはもはや現代のスーパースポーツの新たなお作法ではないかと筆者は思っている。

「クワイエット・ラグジュアリー」≒「能ある鷹は爪を隠す」

 ちなみにハイブランドなアパレルの世界でも、ロゴをさり気なく入れたり、あえて目立たなくするなど、ここ数年は「クワイエット(またはサイレント)・ラグジュアリー」などといわれるトレンドがある。もしかすると、クルマ界隈におけるスーパースポーツでもそのトレンドの思想が入ってきている、あるいは共鳴しているのかもしれない。

 圧倒的なパフォーマンスを持ちながら、普段の振る舞いは大人しく、必要なときにだけそれを解放する。日本のことわざにもある「能ある鷹は爪を隠す」、あるいは日本人の美徳である「奥ゆかしさ」とも通ずるところがあるのは、個人的趣向としてとても惹かれるところである。

 これからフェラーリやランボルギーニ、そしてレクサスからも、フル電動となるスーパースポーツBEVのデビューがどんどんと迫ってきている。技術の進歩の先にあるこれらが、果たしてどんな新しい価値を届けてくれるのか、とにかく楽しみである。

 

文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/1980年東京都生まれ。ITコンサルティング会社、自動車Webメディア企業、広告会社を経て、マーケティング会社にて企業の戦略立案・事業開発支援業務に従事後、2020年に独立。2021年より現職。クルマを運転する時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

▼本誌『CAR and DRIVER』(2026年4月号)の詳細はこちら
https://www.caranddriver.co.jp/book/112421/

雑誌『CAR and DRIVER』

CAR and DRIVER (2026年4月号)のご紹介

  • 巻頭企画【跳ね馬の新たな最高峰】フェラーリ849テスタロッサ昨年発表された史上最高1050馬力を誇るスーパースポーツのすべてを徹底紹介する。
  • 【名車復刻版カタログ】1986年フェラーリ(日本仕様) テスタロッサ+328GTB&GTS+3.2モンディアル+412
  • 特集【話題のクルマの最新事情】2025年にデビューした「気になるモデル」の「その後」に注目。ニュースな16モデルをピックアップ
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