
3代目のZ-CARとなるZ31型は1883年9月に登場。最大の話題はパワーユニットの全面刷新だった。従来のL型・直6から、全車V6ターボに新世代化。3リッターのVG30E・T型は230ps/34.0kgm、2リッターのVG20E・T型でも170ps/22.0kgmのハイスペックを誇った。走りは欧州製スポーツカーに匹敵した
新型フェアレディZの最大の魅力、「230psが生むパワフルな走り」を紹介しよう。長いノーズの下に収納されているパワーユニットは、VG30E・T型とVG20E・T型の2種類。どちらも、セドリック/グロリアでデビューしたVG型にターボを組み合わせている。
2種類のうち、キミたちの興味のマトは、3リッターのVG30E・T型だろう。この3リッター・V6ターボの最高出力は、あのスカイライン・ターボRSが積んでいるFJ20E・T型の190psを大幅にリードした。230ps/5200rpm、34kgm/3600rpmのスペックは、データを目にしただけで胸が躍る。
300ZXのパワー/ウェイトレシオはたったの5.76kg/ps。旧型の280Zは8.19kg/psだった。新しい300ZXの走りが、どれほど強烈なのか、誰でも想像がつくだろう。
実際、300ZXの走りは鮮烈だった。メーカーのデータによると、0→100km/h加速を6.2秒で駆け抜け、0→400mは14.7秒で飛んでいく。速さはポルシェと比較してみるとよくわかる。0→100km/h加速はポルシェ911ターボの5.4秒にはさすがに及ばない。だが、911SCは6.8秒、928でも6.6秒。いずれもZがしのぐのだ。
230km/hのトップスピードも一流だといっていい。ボク自身のテストでは、223km/hがマキシマムだったが、当日は天候が崩れ、気圧はかなり低かった。天候の悪さが、230km/hを割ってしまった原因だろう。ターボエンジンは、気圧や気温の変化に敏感である。
ところでVG30E・T型は、低回転域でも実にパワフルだ。アクセルを踏みさえすれば、たちまちダイナミックな加速に移ってくれる。一般的にターボ車は、40〜60km/hのトップギアでの追い越し加速はあまり得意ではない。だが300ZXは例外だ。
最高出力回転数は5200rpm。やや低めだが、パワーカーブは5200rpmを超えても、急に落ち込んだりしない。6200rpmのレッドゾーンまで引っ張っても十分に力があり、スムーズさを失うようなことはない。このVG30E・T型は強力なパワーと扱いやすさを兼ね備えている。とにかく魅力的なエンジンである。このエンジンが、ニューZの魅力を旧型に比べて飛躍的に引き上げている。
ただし300ZXの5速ギアボックスは、まだまだ心地いいフィーリングの持ち主ではない。リストワークを中心にリズミカルに、軽快にシフトできるフィーリングにはほど遠い。
サスペンションは、フロントがストラット、リアがセミトレーリングアームによる4輪独立式。方式そのものは旧型と同じだが、中身はすべて変わった。300ZXのタイヤは215/60R15というワイドな仕様だ。ホイールは6.5JJを履いている。ステアリングはラック&ピニオン式のパワーアシスト付き。ステアリングのレスポンスはいい。剛性感もベストとまではいえないが、十分に納得のいくレベルだ。
ところで、ニューZは3段階切り替えのアジャスタブル・ダンパーを採用している。ハード/ミディアム/ソフトの差は、かなりはっきりとしている。ドライの舗装良路を飛ばすときにはハードがいい。ハードはステアリングを速く切り返すような場合でも追従性で有利だ。だからスラローム的な走りのときに、最も速い。その分、乗り心地はきついものになる。ミディアムでも速い切り返しをしない場合には十分なアベレージを叩き出す。ウエット路面などでは、ハードよりミディアムのほうが運転しやすい。ソフトは乗り心地が明確に柔らかくなる。だが、揺れが収束しにくく、バネ下の振動の収まりが悪い。
ボクなら普段をミディアムで、ドライな舗装良路を飛ばす際だけハードを選ぶだろう。
欧州仕様の最高速は250km/hという。たとえ外国の路上にしろ、ヨーロッパの高性能車と真っ向から勝負できるパワーとスピードの持ち主がついに日本にも誕生したのは、素晴らしいことである。それだけに、研究に研究を重ねて名実ともに「世界の名車・フェアレディZ』になってほしいと期待している。
※CD誌1983年12月号掲載
【プロフィール】
おかざき こうじ/モータージャーナリスト、1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経てフリーランスに。本誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
