日産が2026年8月3日に発表した2026年度第1四半期(4~6月)決算は、長く続いた業績低迷からの反転を印象づける内容となった。売上高は前年同期比9.5%増の2兆9642億円、営業利益は前年同期の791億円の赤字から779億円の黒字へ転換。経常利益も1092億円の赤字から491億円の黒字となり、最終損益も1158億円の赤字から38億円の黒字に浮上した。売上高営業利益率はマイナス2.9%から2.6%へ5.5ポイント改善している。
今回の黒字化には、日産が自力で積み上げた収益改善に加え、円安と米国の関税負担軽減という外部要因が大きく寄与した。営業利益の前年同期比1570億円の改善について、同社資料では為替が350億円、関税影響が183億円、販売パフォーマンスが237億円、モノづくりコストが816億円の増益要因となった。一方、原材料費やインフレは利益を押し下げた。
注目すべきは「Re:Nissan」の進捗だ。日産は第1四半期だけで600億円のコスト削減を実施。生産・車両コストの改善を軸に、固定費と変動費の圧縮を進めている。前年同期に大幅赤字だった北米事業も営業利益960億円を確保した。米国販売は前年同期比9.6%増の24万3000台と伸び、ローグ、パスファインダー、フロンティアなどが販売をけん引した。収益の屋台骨である北米で、販売と採算が同時に改善した意味は大きい。
グローバル小売販売は70万1000台と前年同期比0.9%減。欧州は14.6%減、中国を含むアジアも弱含みとなった。特に中国では競争激化を受け、2026年度の販売見通しを従来の71万台から58万台へ引き下げた。その結果、全世界の販売見通しも330万台から315万台、生産台数も295万台から280万台へ下方修正された。
通期の営業利益2000億円という見通しは維持した。これは販売数量を追う従来型成長路線から、少ない台数でも利益を確保できる事業構造転換を優先する姿勢と読める。2025年度は営業利益580億円にとどまり、最終損益は5331億円の赤字だっただけに、まず損益分岐点を引き下げることが再建の核心となる。
今回の決算で見えたのは、日産が「儲かる体質を作り直している」段階にあるということだ。600億円のコスト削減や北米の改善は好材料だが、円安や関税といった追い風は継続的に頼るわけにはいかない。欧州・中国での競争力、新型車の販売力、そしてコスト改革を一過性に終わらせない経営執行力が次の焦点になる。
日産にとって重要なのは、第2四半期以降、外部環境の追い風が弱まっても利益を維持できるか。そこに「再生した日産」が見えてくることを期待したい
