横浜ゴム新製品「アイスガード 8 SUV」――速度記号“T”に進化。接地を極めた新世代SUVスタッドレス

 

横浜ゴムのSUV向けスタッドレスタイヤ「アイスガード 8 SUV」がリリースされた。従来の「アイスガード SUV G075」から約10年を経て刷新された新世代モデルだ。乗用車用「アイスガード 8」で導入した新しい冬用タイヤ技術コンセプト「冬テック」をSUV用に展開したのが最大の特徴。2026年9月1日から順次発売され、当初は16~20インチを中心とする28サイズを用意する。

開発のキーワードは「接触」。ミクロでは氷とゴムが実際に触れる「接触の密度」、マクロではタイヤと路面が触れる「接触の面積」を増やすことで、氷上グリップを引き上げる。コンパウンドには「冬ピタ吸水ゴム SUV」を新開発。乗用車用アイスガード 8の技術をベースに、天然由来素材「水膜バスター」を高密度に配合し、氷上でグリップを低下させる水膜を吸収する。G075比で吸水量は3%向上し、接触の密度は61%増加した。さらにシリカを加えたSUV専用配合によって、柔軟性と剛性感の両立を狙っている。

トレッドパターンもSUV専用設計だ。接地面積をG075比3%、ブロック剛性を16%高める一方、溝エッジ量は19%増加。氷上では接地を安定させ、雪上ではエッジ効果と雪柱せん断力を引き出すという、相反しやすい性能を成立させている。ラグ溝の倒れ込みを抑える専用サイプも採用し、雪をしっかり捉えながら排雪性を確保する考え方だ。

実際の氷上でまず感じるのは、SUV用スタッドレスにありがちな「重量に負ける」感覚が抑えられていること。ステアリングを切ったときにショルダーブロックの剛性感を感じる。固めの接地感だがグリップはしっかり。制動でもABS作動時のグリップが安定し、ブロックが変形して戻るような唐突に滑り出す印象が少ない。

雪上では、G075から増やされた溝エッジの効果が分かりやすい。圧雪路での発進やコーナー立ち上がりでは、アクセルを開けた際の駆動力を受け止めやすく、旋回中もブロックが大きく変形するような頼りなさが少ない。雪上性能はG075比4%向上とされており、氷上だけに性能向上を振ったタイヤではないことがわかる。

さらにSUV用として重要なのが耐摩耗性だ。G075比で推定摩耗寿命は11%向上。横浜ゴムの実走試験では、G075の43,067kmに対してアイスガード 8 SUVは47,808kmと算出された。ドライ性能も5%向上し、ウエット性能は従来品と同等、転がり抵抗は14%低減している。

「永く効く」性能も抜かりはない。ゴムの硬化を抑える劣化抑制配合により、約4年後まで氷上摩擦力の低下を抑えることを狙った。SUVは車重が大きく、スタッドレスにも高い負荷がかかるだけに、初期性能だけでなく、その性能をどう維持するかは重要だ。

G075からアイスガード 8 SUVへの進化は、単純に「氷で止まりやすくした」というものではない。接地面積、接触密度、ブロック剛性、エッジ量、ゴムの経年変化までを一体で見直し、重量化・高速化した現代のSUVに合わせて冬タイヤそのものを再設計した。速度記号が従来の“Q(160㎞/hまで)”から“T(190㎞/hまで)”へ進化した点も注目ポイント。一般的な速度域でもドライやウエット路面での剛性アップが感じられるだろう。高荷重でハイパワーな最新SUVにマッチする資質を備えたスタッドレスといえる。

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