【ボクらの時代録】2001年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。初代ホンダ・フィット(GD1/2︎型)の明るいスモール提案

Fit メインホンダらしく「小さいこと」の素晴らしさを提案

 フィットは「スモールカーの革新を目指した」意欲作だ。ボクはホンダのこの主張を素直に受け入れるし、「よくやった」とも思う。
 ルックスは見てのとおりで、スタイリッシュだ。シャープでモダンで、ホンダ車らしい。注目は、スペース性とシートアレンジ性である。3830×1675×1525mm(FF車)のボディサイズの中に創出したキャビン空間は文句なく大きい。多様に変化するシートアレンジとラゲッジスペースは、まるで手品を見せられているような印象さえ受ける。シートもゆったりとしている。

ソファー

カラー

 ガソリンタンクを前席フロア下に置く大胆な発想がもたらしたリアフロアの低さ、そしてアイデア満載のシートのコンビネーションは、とてつもない収納性を実現している。

 エンジンは1.3リッターの直列4気筒。いかにもホンダらしい優れたエンジンである。イタズラにパワーを追わず、実用性能と環境性能の引き上げに焦点を当てているのがうれしい。このエンジンとインテリジェント変速制御を組み込んだCVTは、フィットを軽快に走らせる。燃費も素晴らしい。

 低速トルクの太さとCVTのマッチングはよく、出足もいいし、スムーズである。さすがに上り坂までスイスイというわけにはいかないが、平坦路での日常走行モードの走りは力強く、そして自然だ。つまり、出足、加速感、エンジンブレーキによる減速感など、いずれもいい仕上がりという評価になる。

装備

 乗り心地はひと言でいうと「しっかりした乗り心地」、といった印象。ハンドリングも、ちょっと速く走る程度であれば、問題を感じさせるようなところはなかった。
(岡崎宏司/2001年8月10日号)

初代ホンダ・フィット・プロフィール

 初代フィットは2001年6月、ロゴの後継モデルとしてデビュー。トヨタ・ヴィッツや日産マーチなどと同クラスのコンパクトカーだが、独創のセンタータンクレイアウトが生み出す圧倒的なユーティリティと、ホンダ車らしいクラスレスな味わいで大ヒット。ホンダのエントリーカーながら、上級車からの乗り換えも珍しくなかった。

燃費

ラインアップ

 カタログでは「毎日をドキドキワクワクしながら暮らしたい。そんなあなたの思いにしっかりとこたえてくれるクルマ、それがフィット」と表現。燃料タンクを前席下に配置した前述のセンタータンクレイアウトにより、コンパクトサイズからは想像できない圧倒的なユーティリティを実現したのが最大の魅力。後席を倒すと広大ともいえるフリースペースが生まれ、大型家具や自転車などお気に入りのアイテムを積み込むことが可能だった。そして行動の自由も圧倒的。1.3リッターエンジンは10・15モードで23.0km/リッターの優れた燃費を実現し、満タンでイタリアのミラノからナポリまで約966km走ると表現していた。販売は絶好調。2002年には25万790台を販売して登録車・年間販売台数トップを獲得。2007年には世界累計販売200万台を突破した。

2001年の時代録/第一次小泉内閣発足

【出来事】第1次小泉内閣発足/皇太子(今上陛下)に敬宮愛子内親王が誕生/資源の有効利用を推進する家電リサイクル法施行/東京ディズニーシーが開園/ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が開園/Apple がiPod を発売し大ヒット/JR東日本がSuicaのサービスを開始/第1回M-1グランプリが放送/浜崎あゆみのファッションが若い女性に大流行【音楽】オリコンシングル年間1位宇多田ヒカル『Can You Keep A Secret?』【映画】邦画配給収入1位『千と千尋の神隠し』洋画興行成績1位『A.I.』

2001年ホンダ・フィット主要諸元

グレード=フィットW(FF)
新車時価格=CVT 126万円
全長×全幅×全高=3830×1675×1525mm
車重=990kg
エンジン=1339cc直4OHC(86ps/12.1kgm)
サスペンション=前ストラットリア/後トーションビーム

表紙

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