【最新モデル試乗】BMWはBEV作りの天才かもしれない!? i4・eドライブの凄い実力

BMW・i4・eドライブ40Mスポーツ 価格▷791万円 試乗記

BMW・i4・eドライブ40・Mスポーツ i4はRWDの35/40、そして4WDのM50の3グレード構成。モータースペックはそれぞれ286ps/340psと544ps

BMW・i4・eドライブ40・Mスポーツ i4はRWDの35/40、そして4WDのM50の3グレード構成。モータースペックはそれぞれ286ps/340psと544ps

多彩なBMWの電動戦略。i4は4シリーズ・グランクーペのBEV

 BMWのBEV戦略は、よくいえば慎重、悪くいえば優柔不断だ。いち早く「iブランド」を立ち上げて独自設計の電動モデルを発表してきた一方、いまではエンジン車(ICE)用プラットフォームを使った電動モデルと専用プラットフォームを持つ電動モデルを併存させている。専用設計をメインにした初期の志から見れば、ちょっと後退した印象は否めない。だが、多様な電動モデルの存在は、BEVが未来ではなく現在のクルマになった証明でもある。

 試乗車のi4・eドライブ40Mスポーツは4シリーズ・グランクーペがベース。ICEモデルとプラットフォームを共有するフルBEVである。ラインアップはiDrive40とM50の2グレード構成。エントリーグレードという位置付けの40でも、相応のパフォーマンスを有している。モータースペックは最高出力340ps/最大トルク430Nm。出力/トルクはICEのM440(387ps/500Nm)に少し劣る程度。上級グレードのM50ともなれば、544ps/575Nmと超弩級。ほとんどM8レベルとなる。バッテリーパワーはやはり恐るべしだ。

 40の加速パフォーマンスは、「凄まじい!」のひと言だったM50と比べると、はっきりと穏やか。息を飲むというほどではない。とはいうものの0→100km/h加速5.7秒という数値は、RWD車として十分に速い。参考までに挙げておくと、M440は4.7秒、M50は3.7秒。ともに4WDである。

BMWリア

BMWモーター雑味のないパフォーマンスが魅力。ただしそれが弱点でもある!?

 40は実用的な4ドアクーペであり、街乗りには最高のパートナーだ。BEVゆえどこまでも静かであることはもちろん、ICEを積んだ4シリーズに比べて明らかに落ち着き払った乗り味を誇る。快適性は4シリーズ・グランクーペの中でも随一。しかもインストルメントパネルのグラフィック以外は見慣れた4シリーズだから、「先進BEV」という気負いはいらない。ナチュラルにしてスペシャル。適度に特別なクルマを手に入れたという満足感もあって、気分は上々だ。

 i4はクルマとしての一体感と剛性感も印象的だった。バッテリーを構造物としても活用するレイアウトが、前後重量の理想的な配分と車体のしっかり感向上に貢献している。ICEの4シリーズ以上に、ひとつひとつの動作に雑味がない。静かゆえに目立つはずの各種ノイズやバイブレーションもほとんど感じない。スムーズに走るという表現が似合うモデルだ。

 もっとも、そんな雑味のないパフォーマンスは魅力であり弱点。若い頃からBMW製エンジンに憧れ、実際に慣れ親しんできた筆者には物足りなく思えたりもする。サウンドと、その回転フィールが最高に心地いいストレート6が恋しくなるのだ。

 i4はBMWらしくバランスされたドライブフィールを持つ最新の電動車。その走りを未来への第一歩として楽しむか、BMWの個性ともいうべきストレート6にこだわってICEモデルに乗り続けるのか。現時点では、両方の選択肢を用意してくれていることに感謝したい。

BMWインパネ

BMWシート

BMW i4 eドライブ40 主要諸元

BMW真横

グレード=eドライブ40・Mスポーツ
価格=791万円
全長×全幅×全高=4785×1850×1455mm
ホイールベース=2855mm
トレッド=フロント:1590/リア:1605mm
車重=2080kg
モーター型式=HA0001N0(交流同期発電機)
モーター最高出力=250kW(340ps)/8000rpm
モーター最大トルク=430Nm(43.8kgm)/0〜5000rpm
一充電走行距離(WLTCモード)=604km
交流電力量消費率(WLTCモード)=157Wh/km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電圧=399V
駆動用バッテリー総電力量=83.9kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/45R18/リア:255/45R18+アルミ
駆動方式=RWD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.9m

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