【最新モデル試乗】電動BMW、iX3は後輪駆動の魅力を追求したハンドリングカーだった!

BMW・iX3・Mスポーツ X3のユーティリティをそのままにエコな走りを実現したBEV 各部のブルーアクセントが電動車らしさを演出 グレードはMスポーツのみ 1モーターのRWD仕様
BMW・iX3・Mスポーツ X3のユーティリティをそのままにエコな走りを実現したBEV 各部のブルーアクセントが電動車らしさを演出 グレードはMスポーツのみ 1モーターのRWD仕様

BMW・iX3・Mスポーツ 価格:862万円 試乗記

BMWの電動ブランド「i」はセカンドジェネレーションへ

 BMWは2011年に電動車のサブブランドとしてBMW・iをローンチした。画期的なメガシティビークルのi3を皮切りに、スーパーカースタイルのi8を量産。電気モーター+バッテリーのフル電動、もしくは小排気量ガソリンエンジンを組み合わせたレンジエクステンダーのハイブリッドパワートレーンが開発され、アルミニウム製シャシーとカーボンファイバー製キャビンを組み合わせたユニークな専用アーキテクチャーを採用した。生産システムにもカーボンニュートラル思想を導入するなど、未来先取りの新ブランドとしてその名を世界に轟かせた。

 あれから10年あまりが経過。BMWは昨年、SUVスタイルのiXと美しい4ドアクーペスタイルのi4を発表した。BMW・iはいまやサブブランドの範疇を超えて、次世代を担う核心的な存在へとその立場を変えつつある。

X3の電動車はBEVのiX3とPHEVの30e(860万円)を用意
X3の電動車はBEVのiX3とPHEVの30e(860万円)を用意
キドニーグリルは独自のクローズドデザイン ヘッドライトはアダプティブ機能付きLED
キドニーグリルは独自のクローズドデザイン ヘッドライトはアダプティブ機能付きLED
X3は2021年秋の改良でライト回りの意匠を変更
X3は2021年秋の改良でライト回りの意匠を変更
フロント:245/45R20/リア:275/40R20の前後異径タイヤ+Mエアロダイナミックアルミを装着
フロント:245/45R20/リア:275/40R20の前後異径タイヤ+Mエアロダイナミックアルミを装着

iX3はRWDならではの走り味を追求。これはリアルBMWである!

 日本ではまずiXとiX3が同時にデビューした。iXはフラッグシップというべき存在で、電動パワートレーン専用のアーキテクチャーを採用。対して、iX3はあくまでも既存のX3がベースだ。
 簡潔にいうと、iX3はエンジンとトランスミッションの代わりに電気モーターとバッテリーを搭載したモデルである。スタイルから操作方法に至るまで、X3と大きく変わるところはない。そういう意味では、これまでどおりの付き合いができるBEVといえる。各部に配されたブルーのアクセントが電動X3の証だ。

 搭載される電気モーターは1基。実は後輪駆動である。モーター最高出力/最大トルクは286ps/400Nm。ガソリンエンジンでいうと4気筒と6気筒グレードの中間に位置する。リチウムイオンバッテリー総電力量は、80kWh。1充電当たり航続距離は508km(WLTCモード)。車両重量は2200kgと内燃機関比で200kgほど重くなっている。

 専用シャシーのiXに試乗した後にiX3に乗ると、その違いに随分と驚く。前者はどこまでもBEVらしい味わい。BMW流「駆け抜ける歓び」の新解釈だった。ところがiX3は違う。後輪駆動というレイアウトの関係か、内燃機関を積んだ他のX3よりも「動きがBMWらしい」のだ。前輪のさばきも軽快である。
 重いだけあって走り出しにこそ重厚感を覚えるものの、動いてしまえば乗り心地のよさが際立ち、路面のギャップを滑らかにいなす。タイヤに重量をかけて凸凹をならす──そんな印象のドライブフィールだ。
 電動BMWにはいま、走り味に2つの方向性がある。iX3はBMWの伝統を大切にしたBEVである。

フロントスペースに各種制御ユニットを配置 総電力量80kWhのバッテリーは床下に搭載 前後重量配分の適正化と低重心の徹底で走りを追求
フロントスペースに各種制御ユニットを配置 総電力量80kWhのバッテリーは床下に搭載 前後重量配分の適正化と低重心の徹底で走りを追求
インテリアは内燃機関を搭載したX3と共通形状 12.3インチのメーターとセンターディスプレイを組み合わせたデジタルコクピット意匠 各部の仕上げは上質 ハンドリングはBMWらしいスポーティな味わい 静粛性は超一級
インテリアは内燃機関を搭載したX3と共通形状 12.3インチのメーターとセンターディスプレイを組み合わせたデジタルコクピット意匠 各部の仕上げは上質 ハンドリングはBMWらしいスポーティな味わい 静粛性は超一級
iX3は本革スポーツシート標準 前後席ともゆったりとしたスペースが魅力 重い車重の利点で乗り心地は良好
iX3は本革スポーツシート標準 前後席ともゆったりとしたスペースが魅力 重い車重の利点で乗り心地は良好
メーターはフル液晶タイプ 速度とエネルギーフローの組み合わせ
メーターはフル液晶タイプ 速度とエネルギーフローの組み合わせ
システム起動スイッチはブルーカラー 走行モードはスポーツ/コンフォート/ECOプロを設定
システム起動スイッチはブルーカラー 走行モードはスポーツ/コンフォート/ECOプロを設定
ACCは先進タイプ 高速道路での渋滞時ハンズオフができる機能を内蔵
ACCは先進タイプ 高速道路での渋滞時ハンズオフができる機能を内蔵
BMWコネクテッドドライブ標準 Amazonアレクサにも対応
BMWコネクテッドドライブ標準 Amazonアレクサにも対応
ラゲッジ容量は通常時510リッター 後席を倒すと最大1560リッターに拡大
ラゲッジ容量は通常時510リッター 後席を倒すと最大1560リッターに拡大

BMW・iX3 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=iX3・Mスポーツ
価格=862万円
全長×全幅×全高=4740×1890×1670mm
ホイールベース=2865mm
トレッド=フロント:1615×リア:1600mm
最低地上高=179mm
車重=2200kg
モーター型式=HA0001N0(交流同期電動機)
モーター定格出力=80.0kW(109ps)
モーター最大出力=210kW(286ps)/6000rpm
モーター最大トルク=400Nm(40.8kgm)/0〜4500rpm
一充電走行距離(WLTCモード)=508km
交流電力量消費率=168Wh/km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=80.0kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/45R20/リア:275/40R20+アルミ
駆動方式=RWD(後輪駆動)
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m
主要装備:ドライビングアシスト・プロフェッショナル(高速道路渋滞時ハンズオフアシスト+トラフィックサインアシスト+アクティブクルーズコントロール+ステアリング&レーンコントロールアシスト+車線逸脱警告+レーンチェンジアシスト+レーンチェンジウォーニング+レーンキーピングアシスト+クロスロードウォーニング+前車接近警告+後車衝突警告機能+衝突回避・被害軽減ブレーキ)/BMWコネクテッドドライブ・プロフェッショナル/パーキングアシスト・プラス/ドライビングパフォーマンスコントロール/アダプティブサスペンション/Mエアロダイナミクスパッケージ/ルーフレール/電動パノラマガラスサンルーフ/アコースティックガラス/コンフォートアクセス/アダプティブLEDヘッドライト/BMWライブコクピット(12.3インチマルチディスプレイメーター&12.3インチワイドコントロールディスプレイ&HDDナビゲーション)/BMWアイコニック・サウンドエレクトリック/BMWジェスチャーコントロール/ヴァーネスカレザーシート/3ゾーンオートAC
装着メーカーop:BMWレーザーライト13万7000円
ボディカラー:カーボンブラック
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は2万2010円

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