竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】スズキ・ジムニーノマド「注目の後席居住性と積載性が大幅に向上」(2026年7月号)

 ようやく乗れましたジムニーノマド。いま現在も納車を待ちに待っている方が、世界中でたくさんいらっしゃると思います。

 元となっているのは軽自動車のジムニーです。そこに1.5ℓのエンジンを搭載し、トレッドを広げるなど小型乗用車化したのがジムニーシエラ。何を隠そうワタクシ、両車共に日本の誇りだと思っています。だって、世界にはジムニーでしか行けない道があるんですもの。世の中への貢献度は、素晴らしく高いですよね。だからこそみんな首を長くして待つわけです。

 そんなわけで、この2台はほしいけれどなかなか買えない状況が続いているわけですが、それを上回るほどの人気で注文が殺到したのが、ひと足お先にインドで発売となった5ドアモデルのジムニーノマド。メーカーもパニックが起こらないように、相当の準備をしたにもかかわらず、なんと予約開始たったの5日で「このままだと長期の納車待ちとかになってしまうかも……」という判断から、受注を中止せざるを得なくなりました。ようやく2026年1月末に受注を再開しましたが、まだまだ納車まで長い時間がかかる、大人気が続いています。

 確かに5枚ドアがあることで、クルマの使い勝手、ライフスタイル、いろいろな面での広がりがありますし、とくに日本は複数所有しない方も多く、1台ですべてに対応するという意味でも、5ドア車の人気が高い国ですからね。

 さて、人気の5ドア化をするにあたり、まず行われたのはロングホイールベース化です。ジムニーシエラのラダーフレームを延長することでホイールベースを340㎜延ばし、補強の意味でセンターにクロスメンバーを加えて剛性アップを図りました。

 その延ばされた分は、後席と荷室スペースに使われています。5ドア化するということは、後席に人を乗せるということになりますから、後席ヒップポイントを50㎜後方に下げてレッグスペースを確保。さらに、ラゲッジボックスを廃止する代わりに、リアのホイールハウスを後席の後方に設定し、後席左右着座間隔も90㎜拡張。縦にも横にも広い空間を作り上げています。また、シートクッションの厚みを増すことで、座り心地の快適性への配慮もなされました。

 もうひとつのこだわりが乗降性。ジムニーノマドはシエラと同じく最低地上高が210㎜と、クロカン車同様のクリアランスがあります。かといって中間位置にステップがあるわけでもないので、そのままでは後席への乗り降りがしにくかったんですよね。そこで、リアドアトリム前端とBピラートリム後端を面取りすることで乗降時の足抜け性を向上させ、後席シートの角を大きくカットし、ホイールハウス開口部を直線化するなど、非常に細かいところまで改良がされました。おかげで身長158㎝の私でもスッと乗り込めるようになっています。

 ちなみに3アングルは、アプローチアングル36度とデパーチャーアングル47度はシエラと同じ、23度のランプブレークオーバーアングルはシエラの27度より小さくなっていますが、全体的にSUVを超えた本格クロカン車としても十分な数値です。よほどのラフロードにいかない限りは、まったく問題ないと思います。

 というのも、クロカン車を購入しても実際にラフロードを走る機会はとくに日本の場合は限りなく少ないと思います。なので日常的な運動性能として比べるならば、最小回転半径がシエラの4.9mに対し、ノマドは5.7mとちょっと大きめになることのほうが、気にするべきポイントかもしれません。ステアフィールも重めなので、切り返しや車庫入れでは差がつくとは思います。

 とはいえ、ステアリングは女性だとちょっと重いかな……というくらいのものですし、逆に直進時はドッシリ感が感じられるので、ロングドライブはラクに感じられるハズです。そのロングドライブですが、ホイールベースの延長のおかげで安定感が高まり、全体的に余裕が生まれました。さらにはフレームとボディの間に入る、ボディマウントゴムも大型化が図られ、フレームから車体に伝わる振動が低減されているので、乗り心地はかなり快適です。

 しかし、高速道路に入りスピードを上げていくと、徐々にタイヤの接地感が薄まっていく感じがしました。あと、轍にハンドルが取られやすいのも正直気になりました。いまは高速道路の速度制限が120㎞/h区間のところも増えてきていますから、ここは正直、もう少ししっかりとした手応え感がほしいところですね。

 もちろん、四六時中ハイスピードで走るタイプのクルマではありませんし、なんたって副変速機を備えたパートタイム4WDで、ヒルディセントコントロールやヒルホールドコントロール、ブレーキLSDトラクションコントロールなどの電子デバイスが付くという本格クロカン車ですから、納得できる部分ではあるんですけど、出来がいいのでついつい欲張りになってしまいます。

 そんなプロ仕様のオフロードでの運動性能と、5ドアの利便性がジムニーノマドのヒットの真相といえるでしょう。

ジムニーノマド「ヒットの真相」

1)待望の5ドア化で居住性と積載性が大幅に向上。これまで購入を躊躇していた層を引きつけ、実用的なクロカン車として支持を拡大

2)伝統の走破性はそのままに、ロングホイールベース化で乗り心地を改善。本格的な走りと快適性を両立したパッケージングに本物志向層も納得

3)単なる道具ではなく、自分らしく遊ぶための相棒としての価値を確立。所有欲を満たすアイコニックなデザインと多用途性がヒットのカギだ

 

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