【最新モデル試乗】Jeep85周年。日常を冒険に変える「アベンジャー4×eハイブリッド」のすごい実力

Jeepアベンジャー4×e ハイブリッド/価格:6DCT 499万円。4×eは標準仕様に加えサンルーフ&18インチタイヤ標準のスタイルパック(517万円)を設定。心臓部の48VマイルドHVパワートレーンは1.2リッター直3ターボ(136ps)と前後モーター(Ⓕ21ps/Ⓡ29ps)で構成。システム出力は145ps。後輪をモーターで駆動する4WD。WLTCモード燃費は19.0km/リッターと優秀

Jeepアベンジャー4×e ハイブリッド/価格:6DCT 499万円。4×eは標準仕様に加えサンルーフ&18インチタイヤ標準のスタイルパック(517万円)を設定。心臓部の48VマイルドHVパワートレーンは1.2リッター直3ターボ(136ps)と前後モーター(Ⓕ21ps/Ⓡ29ps)で構成。システム出力は145ps。後輪をモーターで駆動する4WD。WLTCモード燃費は19.0km/リッターと優秀

スタイリッシュで身近なJeepが登場した

 2024年9月、ジープ初のBEVとしてアベンジャー・フルエレクトリックが日本上陸を果たした。電気自動車でありながらジープらしく、スノー/マッド/サンドといったセレクテレイン(ドライブモード)を設定してオフロード性能を高めたモデルだ。BEVとオフロードは似合わない気がするが、実は親和性は高い。自然環境の豊かな山間で、排気ガスを出さないのだからピッタリである。

 そんなアベンジャーはデザインが優れている。整然と並ぶ7スロットグリルに鋭い目のようなシグネチャーライトがクールだし、膨らんだフェンダーが魅力的だ。都会的でスポーティな雰囲気がある。それになんたってサイズがいい。全長4105mm、全幅1775mmは使い勝手抜群。存在感がありながら狭い道を気にせず走れる。

 とはいえ、BEVに拒否反応を持っている方は少なくないと思う。現状、日本のBEV比率は新車販売の2%しかない。ヨーロッパが20%であることを鑑みると、10対1の比率だ。補助金をはじめポジティブ要素は知れ渡っているが、インフラの面でまだまだ足を踏み出し切れないのは理解できないわけではない。アベンジャーの場合せっかくカッコいいデザインなのに、BEVだからという点でショッピングリストから外れてしまっている例は多そうだ。

リア

エンブレム

 そんな方に朗報である。このカッコいいスタイリングのままガソリンエンジン車が追加された。正確にいえば、マイルドハイブリッド。充電スタンドに悩まされることなく乗れるモデルである。これを他業界でたとえるなら、「酔わない梅酒」ってところだろう。「この味は好きだけどおアルコールはいらない」って人のための飲み物だ。まぁ、たとえが上手いのか下手なのかわからないが、「あったらいいな」の1台である。

 モデル名はアベンジャー4xeハイブリッドとなる。136psの1.2リッター直3ターボのガソリンエンジンと48Vバッテリーを搭載する。システム出力は145ps。モーターは前後で合計2基(フロント15.6kW、リア21kW)。その意味では四駆になったことで前輪駆動のアベンジャー・フルエレクトリックよりジープっぽくなったともいえる。最低地上高はフルハイブリッドの200mmより少し高い210mm。渡河性能は400mmだそうだ。

インパネ

シフトボタン

 エクステリアの違いは、4xeハイブリッドにはルーフレールがついたり、バンパーの形状やフォグランプの位置が変わっていたりする。ホイールはブラック、タイヤはオールシーズン標準というのも特徴だろう。それに牽引フックが標準装備というのも見逃せない。ユーザーのオフロード走行をしっかり視野に入れている。

 インテリアはシンプルなのが特徴。ダッシュボードに物理スイッチは少なくスッキリした印象だ。センターの10.25インチタッチ式パネルが大きすぎないのもそんなイメージを強める。目立つのはセンターコンソール。大型のそこにたっぷりとした収納スペースが確保されている。シートはフルハイブリッドのレザーに対し、4xeハイブリッドは撥水加工のファブリックを採用。洗浄性に優れたウオッシャブルシートなのでアクティブなアウトドアスポーツに使われることを想定している。

四駆の聖地でオフロード性能を堪能。本格派なのにフレンドリー

 では、4xeハイブリッドはどんな走りをするのか。ナンバーが付く前のモデルをクローズドエリアで走らせたのでその印象をお届けしたい。場所は愛知県豊田市にある猿投(さなげ)アドベンチャーフィールド。JLラングラーの試乗会をはじめ、各社オフロード走行に自信のあるモデルを走らせる場所だ。「四駆神社」があり、個人的には訪れるたび必ずお参りしている。

走り

in CAR

 と、その前に駆動システムについてもう少しお話ししよう。というのも、このクルマは速度域で自動的に駆動方式を変更する。約30km/h未満までの低速では常時4WDとなり前後のトルク配分を50対50にする。いってしまえばセンターデフをロックした状態だ。セレクテレインのサンド&マッド、スノーはこの状態をキープしたものと考えられる。約30〜90km/hまでの中速域では前輪駆動をデフォルトとするが、タイヤがスリップするなどでトラクションを必要とすればリアが駆動する。そして90km/h以上の高速域になると後輪用モーターは完全に駆動から切り離され、前輪のみで走行。要するに燃費効率を一番に考えた選択だ。やはり高速時はモーターより内燃機関のほうが効率がいいことを物語っている。

 ということを踏まえ、アドベンチャーフィールドを走らせたが、クルマはものすごく軽快だった。アクセルに対するレスポンスがよく、小気味よく走る。コンパクトなサイズを活かし林道を駆け抜けるとそんな印象だった。この小気味よさはジープらしいかといえばそうでもないが、クルマとして悪くない。このあたりはステランティスのヨーロッパブランドとプラットフォームを共有するので、あちらのテイストが強いかもしれない。アルファロメオ・ジュニア、フィアット600、シトロエンC3&C4、プジョー2008などと同じだ。

リア走り

 ユニークなのはヒルディセントコントロールで、これはギアをニュートラルにしないとスタートしない。これまでのクルマはほとんどがDレンジのままで、アクセルオンで解除となるが、4xeハイブリッドは違うのだ。下ったら坂の下でブレーキを踏んでクルマを止め、ニュートラルからDレンジに動かして走り出す。確かに下っている間ギアがニュートラルなら間違ってアクセルを踏んでもクルマが唐突に走り出すことはない。なので、これはこれでよく考えられているのかもしれないが、オフロードを走り慣れている者にとっては違和感は拭えない。

タイヤ

マーク

 今回の試乗は一般道や高速道路での走りがなかったので、全体的にどうなのかはわからないが、前述した小気味がいい走りは期待大だ。ステアリング操作に対する素直な反応からも街中で気持ちのいい走りができる気がする。パドルシフトがあるからワインディングも悪くなさそう。それにマイルドハイブリッドであってもエンジンをかけないEV走行を可能とする。このあたりは大いに期待してよさそうだ。

平野さん

 というのが、アベンジャー4xeハイブリッドのファーストインプレッション。やはりエンジンを搭載したことで身近に感じられるのは事実。これならBEVに乗り換えする時のような大掛かりな覚悟はいらない。それにこちらはアベンジャー・フルエレクトリックよりも見た目がワイルドになっている。これはオフロード色を濃くしたモデルに人気が集まる昨今のトレンドからもメリットはあるだろう。となると、あとはこのクルマの存在をどれだけ広く知らせられるか。知り渡れば国産コンパクトSUVからの乗り換えも期待できそうな新モデルである。ちなみにジープのブランドアンバサダーに、スケートボーダーの平野歩夢氏が就任した。2026年で85周年を迎えるジープは、新たな時代がスタートする。

エンブレム

諸元

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