【最新モデル試乗】最強電動オフローダー上陸。Jeepラングラー4×eの圧倒的な存在感と走破性

ジープ・ラングラー・ルビコン4xe 「ルビコン」の名称はカリフォルニア州シエラネバダ山脈にある全長35kmの険しい山道、ルビコントレイルに由来。ルビコントレイルはジープが悪路走破試験を行うルートとして知られ、オフロードの聖地。当然、悪路走破性は抜群

ジープ・ラングラー・ルビコン4xe 「ルビコン」の名称はカリフォルニア州シエラネバダ山脈にある全長35kmの険しい山道、ルビコントレイルに由来。ルビコントレイルはジープが悪路走破試験を行うルートとして知られ、オフロードの聖地。当然、悪路走破性は抜群

オフローダーの原点が、いち早く未来形を披露!

 ラングラーは、少々特殊な「四駆」でありながら、その本格的な内容と無骨なスタイリングが大いに受けて、輸入SUVの販売ランキングで上位の常連になっている。販売台数でいうと、日本は世界第2位マーケットだという。確かにその姿を街で見かける機会は多く、しかもオーナーは、自分自身のライフスタイルを持っている人が目立つように感じる。
 そんなラングラーが、電動化が求められる世の中になったとはいえ、こんなに早くPHEV化するとは予想外だった。

 ジープはコンパクトモデルのレネゲード4xeで初めて電動化に挑戦した。ラングラーは同じ「4xe」を名乗るものの、システムはエンジン横置きのレネゲードとはまったくの別物。同時期にPHEV化されたグランドチェロキー4xeと同様のエンジン縦置+2モーターシステムを採用した。
 2リッター直4ターボエンジンに内蔵されたP1モーター(63ps/54Nm)はエンジン始動と発電用。8速ATの前に搭載されるP2モーター(145ps/255Nm)が駆動を担う。駆動用バッテリー容量は15.46kWh。EV走行可能距離はWLTCモードで最大42kmと、そう長くはない。とはいえ、このトラディショナル4WDがEV走行するところに意義があるように思える。

Jeepリア

Jeepエンジン

 4xeは、ラングラーの中でもとくに優れた悪路走破性を誇る「ルビコン」を名乗る。電動化のための各種システムを搭載しても200mmの最低地上高やアプローチ&デパーチャーアングルへの影響はなく、重量が増しても内燃エンジン車と変わらない走破性を実現していることをアピールする狙いがあるようだ。もちろん、モーター駆動が生み出すリニアな走りはオフロードでもコントロール性に優れ、一段と扱いやすいことが期待できる。

4×eは持ち前のワイルドさをそのままに、スムーズ&パワフルなモーター走行を実現

 実車を見ると、ボディカラーが専用色であることと、4xeを示すバッジ類、そして内外装の各部に配したブルーのアクセントが印象的。だが、それ以外は既存のラングラーとの違いはない。スタイリングは、あくまでワイルド。正直、環境に寄り添ったクルマのイメージは薄い。

 このあたりはあえてラングラーの世界観を損なうことがないようにという開発陣の思いだろう。とはいえ、まるっきり雰囲気が変わらないからこそ、システムを起動しても「READY」の文字がメーターパネルに表示されるだけでエンジンがかからず、そのままドライブレンジに入れてブレーキから足を離すとしずしずと走り出すさまは、新鮮だった。PHEVだから当たり前なのだが、少し驚いたのは確かだ。

Jeepイメージ

Jeepタイヤ

 この車体でこんなゴツいタイヤを履いているのだから、ロードノイズをはじめ車外から入ってくる音はそれなりにある。それゆえにP1モーターの巧みな制御もあって、注意していないとエンジンがいつ始動して停止したのか意識させられることはない。

 パフォーマンスは力強い。エンジンだけでも最高出力が272㎰、最大トルクが400Nmと高いスペックを誇るのだから、踏み込んでエンジンとモーターが共演したときの加速はなかなか迫力がある。走行モードは、HYBRID/ELECTRIC/e-SAVEの3種。HYBRIDモード時は自動的に最高効率の走行方法が適用され、ELECTRICモードはモーターで走る。e-SAVEモードはバッテリー容量をキープし、SOC(バッテリー充電率)が約95%に達するまでは積極的にエンジンを動かして充電する。さらにマックスレジェネレーションをONにすると回生が強まり、いわゆるワンペダルドライブ的な運転感覚が味わえる。この状態は、感覚的にひとクセあるもののアクセルワークで減速の加減を操れる。慣れると4xeならではと感じる。

 今回は本格オフロード走行にはトライしていない。それでも起伏のある砂利道を軽く走ってみただけでも、いかにも扱いやすそうな感覚が伝わってきた。なにしろルビコンを名乗るこのクルマは、前後にロッキングディファレンシャルを搭載する世界初のPHEVモデルである。そして独自の装備として、極悪路などでサスペンションのストロークを任意に拡大できる電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステムを搭載している。

 駆動用バッテリーはリアシートの下に搭載。居住空間への影響はなく、背もたれを前倒しして積載スペースを最大で約2000リッターまで拡大できる点も内燃エンジン車と同じ。後席はダブルフォールディング式に変更されたが、荷室段差が大きくなったような様子はない。

Jeepスタイル

充電リッド

 充電はAC200Vの普通充電専用で、充電口は左フロントフェンダーのドアミラー近くに配されている。せっかくPHEVになったのなら、外部給電機能ができればアウトドアユースなどで、なおよかったと思う。それは今後に期待することにしよう。

 ところで、これまで日本仕様のJL型ラングラーはすべて右ハンドルだった。しかしPHEVは左ハンドルのみ。絶好の視界もあって、左ハンドルでも運転しづらい印象はないが、それでも注意が必要だ。
 ラングラーにPHEVという仕様は不似合いな気もしたのだが、試乗後は「大いにあり」と実感した。価格は1000万円の大台を超えたが、こういうラングラーを待っていたファンは少なくないだろう。

Jeepインパネ

Jeepリアゲート開けJeepラングラー・ルビコン4×e主要諸元

エンブレムグレード=ルビコン4xe
価格=8SAT 1080万円
全長×全幅×全高=4870×1895×1855mm
ホイールベース=3010mm
トレッド=フロント:1600/リア:1600mm
車重=2350kg
エンジン=1995cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=200(272)/5250rpm
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/3000rpm
モーター最高出力=P1:46kW(63ps)/P2:107kW(145ps)
モーター最大トルク=P1:54Nm(5.5kgm)/P2:255Nm(26.0kgm)
駆動用バッテリー=リチウムイオン
総電力量=15.46kWh
WLTCモードEV走行換算距離=42km
WLTCモードハイブリッド燃費=8.6km/リッター(燃料タンク容量65リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=5.7/9.5/10.2)
サスペンション=前後コイルリジッド
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=LT255/75R17+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=6.2m

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