優れた食と美しい自然が数多く存在するニッポン。そんな優れた食と自然を求めて、クルマで出かけてみれば、人生の記憶に残る出会いがあるはず。今回は、出雲と松江を擁する島根県に足を伸ばした。歴史ロマンと豊かな自然を巡るドライブである。
「す、も、う、あ、し、こ、し」と聞いて「相撲は足腰」と思う人もいるかもしれない。しかし、正解は島根県の宍道湖(しんじこ)の代表的な魚介を示す「七珍(しっちん)」だ。湖畔に松江がある宍道湖は汽水湖であり、非常に多彩な魚介類が獲れる。そのため100年ほど前に、宍道湖名物として、スズキ、モロゲエビ、うなぎ、アマサギ、シラウオ、鯉、シジミの7種が選ばれた。
そんな七珍をまとめたのが「日本料理 松江和らく」の「七珍せいろめし」である。7種類の食材を多彩な手法で調理し、最後に蒸し上げる。カラフルで奥深い味が楽しめる絶品だ。名物「シジミ汁」の美味しさも併せて堪能したい。

松江市内に店を構える「日本料理 松江和らく」。1階の中心に大きな生け簀があり、山陰の優れた魚介類が楽しめる。松江自慢の「七珍せいろめし」だけでなく、しじみ汁や松葉ガニなどを提供する。ちょっと贅沢な時間が味わえる店だ
そして、もうひとつ見逃してはいけないのが「出雲そば」である。殻付きの玄そばを使うため、色が黒く香りが高い。丸い重ねた器を使う「割子そば」と「釜揚げそば」の2種類がある。どちらも、そばに直接、ツユをかける。コシの強さも特徴的だ。
最後のお勧めが、甘味の「ぜんざい」だ。なんと、その起源が出雲の神在祭でふるまわれた「神在(じんざい)モチ」の音韻が変化して「ぜんざい」になって広まったという説がある。ぜひとも起源の甘味を、発祥の地でいただこう。
島根のドライブは、優れた食、悠久の歴史ロマン、そして美しい自然に満ち溢れたものとなる。歴史ロマンの最たるものが出雲大社だ。こちらは日本のルーツを記した国譲りの神話の場だけでなく、奉られる大国主大神とスセリヒメ神の愛を由縁とする縁結びのスポットでもある。さらに北西に足を伸ばせば、高さ43.65mの日本一の高さを誇る石造灯台の出雲日御碕(いずもひのみさき)灯台がある。国指定重要文化財となる美しい姿はもちろん、灯台上からの眺めは絶景そのものだ。ハンドルを山間に切って向かうのが、世界遺産に登録されている石見銀山。銀を採掘した坑道だけでなく、江戸の雰囲気を残す町並み全体が世界遺産のエリアとなる。ゆっくりと時間をかけて見て回りたい。さらにワインディングを走った先にあるのが奥出雲たたらと刀剣館。古代から続く、たたら製鉄と刀剣が楽しめるスポットだ。山間の最後の立ち寄りポイントは、尼子氏や毛利氏などが城主となった難攻不落の城、月山富田城跡(がっさんとみたじょうせき)だ。戦国時代に思いを馳せたい。また、城跡裾野にある広ひろせかすり瀬絣センターで藍染体験(要予約)も思い出になるはず。
山間を抜けた先にあるのが、島根の誇る2つの湖、中海と宍道湖。中海に浮かぶ大根島の観光スポットが由志園だ。美しい日本庭園と山陰の旬を味わえる食事処が揃う。
ちなみに島から鳥取に向かう江島大橋は、天空に向かって走っていくような急坂具合から「ベタ踏み坂」と呼ばれている。これもドライブ旅の思い出のひとつになるだろう。
最後の立ち寄りポイントが宍道湖湖畔にある松江市街地にある松江城だ。日本に現存する12天守のひとつで、国宝に指定されている。また、松江はNHKドラマ『ばけばけ』の舞台として、いままさに旬のスポット。松江城とあわせて楽しみたい。
photoギャラ
ー気になるスポットー
日本画の大家である横山大観(1868〜1958年)。その作品を数多くコレクションしているのが足立美術館だ。松江の東にある安来市の山間、月山富田城跡からも近い場所にある。
足立美術館は、日本庭園でも名を馳せる。米国の日本庭園専門誌は、2003年以来22年連続で足立美術館を日本一の庭園に選出している。 なぜ美術館が庭園に力を入れるのかといえば、足立美術館が用意する横山大観の絵に理由があるという。「日本人なら誰でもわかる日本庭園を通して、四季の美に触れていただき、その感動をもって横山大観という、日本人なら誰でも知っている画家の作品に接することで、日本画の魅力を理解していただきたい」という考えがあるという。また、横山大観のよさを知ることで、大観以外の日本画にも興味を持ってもらい、日本画の美、美の感動を実感してほしいというのだ。
そのため足立美術館の見学の道順は独特なものとなっている。本館の正面玄関から入った1階で、まずは庭園を見て回る。その後に2階に上がり、横山大観の絵に接することができるのだ。実際に館内の様子をうかがっていると、来場者の多くは、じっくりと時間をかけて庭園を楽しんでいるのだ。
また、本館を見た後は、地下通路を経て、新館に移動し、より新しい時代の日本画を楽しむようにできている。本館と新館へのアクセスに地下通路を使うのは、見事な日本庭園の邪魔をしないためであったとか。
確かに最初に庭園の美を感じてから、大観の日本画を見ると、より理解が深くなる。そして最初に古い時代の日本画を見た後に、最新の日本画を鑑賞すると、時代感覚もわかる。なんとも心憎い演出だ。そんな創意工夫があるからこそ、島根県の山間という人口密集エリアから遠いという地理的不利にもかかわらず、足立美術館は毎年50万人以上の来場者を迎えているとか。まさに、気になるスポットである。
取材協力:足立美術館/☎️0854・28・7111、株式会社安藤・間
Drive Map
出雲・松江エリア
島根のドライブのキーとなるのが出雲と松江だ。宍道湖がある東の松江から、西にある出雲までは高速道路でアクセスできる。道程は約1時間。石見銀山や奥出雲たたらと刀剣館を巡る、全体1周のルートは約6時間強のドライブである。
問い合わせ先・取材協力/❶出雲大社/☎0053-53-3100 ❷石見銀山/☎0854-88-9950 ❸奥出雲たたらと刀剣館/☎0854-52-2770 ❹月山富田城/☎0854-32-2767 ❺出雲日御前灯台/☎0853-54-5341 A日本料理 松江和らく/☎0852-21-0029 B由志園/☎0852-76-2255 C広瀬絣センター/☎0854-32-2575 DNIPPONIA 出雲大社門前町/☎0853-31-4856
令和に蘇ったスペシャリティ「プレリュード」。昭和のデートカーのイメージと違って、その走りは、意外なまでに王道のスポーティ。エンジンAT車のようなフィーリングの「S+Shift」と、レスポンスのよいハンドリングで、
いつまでも走り続けたくなる。二人旅にぴったりのクルマだ。
寸法:全長×全幅×全高4520×1880×1355㎜
エンジン:2ℓ直列4気筒ハイブリッド
エンジン最高出力:104kW(141㎰)/6000rpm
モーター最高出力:135kW(184㎰)/5000~6000rpm
モーター最大トルク:315Nm/0〜2000rpm
燃料消費率:23.6㎞/ℓ(WLTCモード)
駆動方式:FF 価格:617万9800円
本誌では大きく美しい写真がご覧になれます。ぜひお手にとってご覧ください。
