新型スバル・フォレスターは“買い”か?【太田哲也のジェントルマン・ライフ】

本記事は太田哲也氏公式サイト「KEEP ON RACING」(https://www.keep-on-racing.com/)の転載記事です。

人気のSUV、スバル・フォレスターがフルモデルチェンジ

新型スバル・フォレスターのプロトタイプ試乗会に参加してきた。場所は千葉の袖ヶ浦フォレストレースウェイ。

あいにくのウェットコンディションだったが、それが逆に幸いして、ドリフト気味に走らせるなど、本来の限界性能を安全な環境で知ることができ、普段の公道試乗会では味わえないフォレスターの本性(動き)も確認できた。

今回は速報として、まずは走行性能と安全性能に焦点を当てた新型スバル フォレスターの試乗インプレッションをお届けする。

ハイブリッドとターボが“並列”で存在する新型フォレスター

スバル・フォレスターは、若者やファミリー層からも高い支持を集めてきた人気の国産SUVだ。今回登場した新型フォレスターは、正統派SUVとしての個性をさらに磨き上げるべく、エクステリアデザインと走行性能の両面で大きく進化している。

たとえばスバル・クロストレックでは、ストロングハイブリッドが上級版、マイルドハイブリッドが廉価版という縦のヒエラルキーがあった。だが、新型フォレスターではそうした上下関係ではなく、2.5Lのストロングハイブリッド(最高出力160PS)と、1.8L直噴ターボ(最高出力177PS)のDITエンジンを“並列”で設定。キャラクターの違いを明確に打ち出している。

スポーツドライブ派は「ターボ」モデルが買いだ!

これはパワートレインごとの役割をよりはっきりさせるスバルの新戦略であり、ユーザーはライフスタイルや用途に応じて最適なモデルを選びやすくなっている。たとえば、都市部や郊外での燃費や信号待ちからの発進加速のリニアさを重視するならハイブリッド、ワインディングや高速道路でのスポーティな走りを求めるならターボがふさわしい。

サーキットで実際に試した結果、ターボモデルはコーナリングでも軽快さが際立ち、タイムもハイブリッドを上回る印象だった。軽量な車体との相性も良好で、スポーツ走行派にはまさに“買い”の一台と言える。

グレード構成は4種類をラインナップ

なお、新型スバル・フォレスターのグレード構成は、ユーザーの使用目的やライフスタイルに応じて以下のように明確なキャラクター分けがなされている。

・ツーリング:ベーシックで実用的な標準仕様
・X-BREAK(ストロングハイブリッド):アウトドア志向の装備が充実
・アドバンス(ストロングハイブリッド):上質な内装と快適性を重視
・スポーツ(1.8Lターボ):走りの楽しさとドライバビリティを追求

安心感のある進化と、スバルらしさ

新型スバル・フォレスターの試乗会では、ウェットコンディションということもあり、あえてクルマを滑らせて走ってみたりした。

オーバースピード気味にコーナーに進入した場面もあったが、そこからステアリングをさらに追い切りすると、AWDが作動状態を変えてさらに曲がってくれる。これは一般公道でも、もしものときの緊急回避の際、障害物をよけられる挙動であり、公道での安全性にもつながる重要な要素だと実感した。

また重心の高い背高車であることを感じさせない、雨のサーキットでの身のこなしにも運転する楽しさと安心感があった。

安全思想とデザインアプローチのバランス

スバルは、もともと航空機メーカーだった歴史があり、設計思想に“機能最優先”が根付いている。最前列からの信号待ちでドライバーが着座位置から信号が見えなくてはだめ、といった機能要件が、がちがちに横たわる。

そのためどうしてもデザインが制約を受け、モデルチェンジの際にも、「なんか前モデルに似てるな~」となりがち。そこで今回は、まずはデザインを先に出し、それを機能要件とすり合わせるというデザインアプローチを採用したそうだ。

堂々としたプロポーションに仕上げつつ、頑丈さと量感を全面的に強化したという。流線形やキャラクターラインを打ち出した最近の都会派SUVが多く街を走る中、フォレスターのアウトドア派的なデザインはかえって新鮮に感じた。

都市生活者こそ“買い”な理由

では、この新型フォレスターは“買い”なのか? 結論から言うと、自分は「買いだ!」。なぜなら、近年の都内の交通事情は自転車や電動キックボードの急増で、まるで無法地帯。2023年の交通死亡事故の内訳では、歩行者が約50%、自転車が約15%を占めている。

僕自身、それでも歩行者は自分が細心の注意を払っていれば何とかなるが、死角から突然現れたり、猛スピードで信号無視や逆走する「無法自転車」は、いつか事故になってしまうのではないかと毎日びくびくして通勤しているのが現状だ。

何としても加害者になるのは避けたい——そう考える中で、フォレスターはとても魅力的に映るのだ。サイドカメラで死角をカバーする仕組みも搭載する。そして今回注目なのが、新型フォレスターが備えるAピラー内蔵のエアバッグだ。衝突時、歩行者は頭部をボンネットにぶつけるが、自転車は跳ね上がってAピラー(ここは乗員保護の観点から強固に作る必要あり)に頭部がぶつかるケースが多い。そこでここにエアバッグがあるというのは非常に安心感がある。

そのエアバックの装備重量は約10kg。つまり、スバルは重量が10kg増えることによる燃費の悪化という営業的に避けたい要素よりも、乗員と歩行者の命を守ることを優先したのだ。その心意気に僕は感動した。

安全に対する開発思想が全社的に徹底されていることを、今回の試乗で改めて感じたのだ。

マツダCX-5やトヨタRAV4と比べて、それでも“買い”の理由

同クラスにはマツダCX-5やトヨタRAV4といった人気SUVが並ぶ。CX-5は上質な乗り心地と内装で勝負し、RAV4は装備の充実度とハイブリッドによる燃費性能でアピールしてくる。しかし、雨のサーキットで実感した「限界域での安心感」と「実用的な先進安全装備」において、新型スバル フォレスターは一歩抜きん出ていた。

また今回、開発者と一対一で話す機会があったが、彼らが「事故ゼロを目指して」というキーワードを多用していたのが印象的だった。これは他のメーカーの開発者よりも安全意識が高いと感じたポイントであり、そういった思想で作られたクルマなら、細かな部分にまで“安全の仕掛け”が散りばめられていると信じられる。

さらに驚いたのは、トリム形状などのとても小さな変更を加えた段階でも、シュミレーター任せにせず、再度実車で最終テストを行うようにしたと聞いたこと。通常は「これくらいなら影響ないだろう」で済ませてしまう部分にも、再テストを行うその徹底ぶり。昔は、内装材がこすれて異音が発生するクルマが多かったが、こうした取り組みにより、質感も高まっていくだろう。まるで受験勉強で暗記カードを最後の試験会場でまでめくり続けるような気合い、スバルの本気を感じた。

開発者の熱い思いがいっぱい詰まった新型スバル・フォレスター。走行性能、安全性、装備のバランス、どれを取っても“買い”の一台だ。

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