【岡崎宏司カーズCARS/CD名車100選】脱いでパラダイス。太陽標準装備のFUN FUNフルオープン「1984年ホンダ・シティ・カブリオレ(E-FA型)」のお洒落センス

シティ・カブリオレは、数々のニュースを提供してきた初代シティの4シーター・フルオープン。イタリアの名門カロッツェリア「ピニンファリーナ」が幌の設計を手掛け、1984年6月にデビューした。ボディはブリスターフェンダーを備えたターボⅡ(ブルドッグ)をベースにしており、安全性を高めるセンターロールバーを標準装備。パワーユニットは自然吸気の1.2リッター直4、ボディカラーは全12色から選べた。

シティ・カブリオレは、数々のニュースを提供してきた初代シティの4シーター・フルオープン。イタリアの名門カロッツェリア「ピニンファリーナ」が幌の設計を手掛け、1984年6月にデビューした。ボディはブリスターフェンダーを備えたターボⅡ(ブルドッグ)をベースにしており、安全性を高めるセンターロールバーを標準装備。パワーユニットは自然吸気の1.2リッター直4、ボディカラーは全12色から選べた。

幌の設計は名門ピニンファリーナが担当

 シティはニュースに溢れている! ホンダのキャッチフレーズは、誇大表現なんかじゃない。ボクたちはいつも「シティのニュース」に驚かされてばかりである。なにしろベーシックモデルのデビューも大ニュースだったし、ターボの登場は強烈な刺激だった。それから、マンハッタンルーフ、ブルドッグ、マンハッタン・サウンド……どれもニュースだ。今回も、またまた凄いニュースが飛び込んできた。そう、何とシティの本格的なカブリオレ・モデルが誕生したのである。

 日本にも、昔はカブリオレ(オープンモデル)がいくつかあった。それがいつの間にか姿を消してしまったのは、オープンに不向きな天候や道路環境、安全性に問題があったからだ。ひさびさの日本のオープンモデル。シティ・カブリオレは、ターボⅡのボディをベースにしている。カブリオレはウエストラインから上を取り去り、キャンバストップを与えたのだ。

 安全性とボディ剛性確保のために、ロールバーをセンターに組み込んでいるが、それ以外は文字どおりのフルオープンになる。このキャンバストップのデザインは、有名なイタリアのカロッツェリア「ピニンファリーナ」が手がけた。Bピラーにちゃんとサインも入っている。見るからに粋なカブリオレの価値が高まるストーリーである。

幌 説明

 キャンバストップは、ゴルフ・カブリオと同様に背負い込む格好になる。この方式は後方視界には不利で、とくに狭い場所でバックするときなどマイナスを感じるはずだ。ただ、シティ・カブリオレはトランクルームが突き出していないので、慣れれば問題はないだろう。

 幌の着脱は簡単だ。ワンタッチ式のカバーのスナップを外し、左右のロックをオフにして、エイ、ヤッと幌を前に引き上げればいい。所要時間は1分半ほどだ。うれしいのは、何層にも重ねられたこの幌の耐候性のよさである。キャンバストップを閉じたハイウェイ走行でも、不快なバタツキなどは見せないし、嫌な風音もシャットアウトしている。100km/hでも、隙間風が駆け巡ったりはしない。

 フルオープンにした時の快適性もなかなか高い。まず風の巻き込みだが、実に少ない。ドア・ウィンドウを上げて走れば、ハイウェイスピードでも無視できるレベルだ。80km/hあたりまでは、首筋をわずかの風がくすぐるぐらい。100km/hでシャツのソフトカラーが少しダダをこねはじめ、後頭部の髪が風で流れはじめる程度だ。だが、後席は、そうはいかない。少々スピードが上がっただけで、台風の中で座っている感じになる。

室内説明

 シートは布張りとビニール張りの2種類がある。オープンモデルの性格上、ボクはビニール張りを勧める。それにこのビニール張りは、まるで本革のような見栄えを持っている。布張りは、水にとくに強い特殊繊維を採用している。こちらもおしゃれだ。

 エンジンは1231ccの4気筒。10.0の高圧縮比で、MT車は67ps、AT車が63psを発揮するセッティングだ。走りの性能にとくに目立ったところはない。それでもMT車は適度な活発さを感じさせてくれる。AT車の方は、正直にいって活発な走りとは表現しにくい。むろん、実用上、必要にして十分な走りは確保している。

 カブリオレの車重は800kgである。オープン化に伴うボディ補強で、Rグレード比で130kgの重量アップになっている。シティのようにモノコック構造のボディ剛性確保は、かなり大変だ。サイドシル部、リアシート部、フロントバルクヘッド部、ロールバー兼用のBピラーなど、あちこちで相当な手当を施している。

赤カブ

 こういうクルマは、何はさておきカッコよさが生命線だ。シティ・カブリオレはいい線をいっている、あとは乗り手のカッコよさで、勝負は決まる。できるだけさりげなく乗ってほしい、幌なんか折りたたんだままカバーなんてつけないで走るほうがカッコいい。ウエアはTシャツとコットンパンツももちろんいいが、たまにはシルキーなタッチの純白のドレスシャツなんかも似合う。シティ・カブリオレは、そんな楽しいクルマである。
※CD誌1984年8月26日号掲載

表紙

諸元

【プロフィール】
おかざき こうじ/モータージャーナリスト、1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経てフリーランスに。本誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員

 

 

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