※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2025年12月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋したものです
10月15日に2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下、COTY)のノミネート車種が発表された。今年は35台がノミネートされたが、日本勢は10台となり、なんと海外勢が7割超を占める形となった。その粒揃いのラインアップを見ていると、はたして「今年の1台」以前に、「10ベストカー」に選ばれるのがどのクルマになるのかを予想するのさえ難しい。COTYの10ベストカーあるいはイヤーカーにどんなクルマが選ばれるのか、それはまさに“気になるテーマ”そのものなのである。
私たちカー・アンド・ドライバーは2022年度からCOTY実行媒体に名を連ねている。そのときから選考委員に推薦しているのは、本誌やさまざまな自動車媒体でお馴染みの岡本幸一郎氏だ。この方は、COTY投票における選定基準を「その年を象徴する何かを持っているか」としている。開発前提やターゲット(市場や顧客)がそもそも異なる中で、この賞典レースが“いいクルマ選手権”であってほしくない、という思いからの俯瞰的な独自基準としてその考えを貫かれている。
そしてもう一人、Z世代の若者・西川昇吾氏をCOTY選考委員に新たに推薦した。その理由は、いくつかある。まず、大前提として普段の取材活動をひた向きに行っていることで、複数の著名媒体に寄稿しているという純粋な実績があったこと。また、運転技術研鑽のためにレース活動にも積極的に取り組んでいること。と、ここまでは大前提としての理由なのだが、そのうえで、誰よりも“若い”というのは大きかった。若いからこそ、その新しい視点をCOTYの枠組みの中に取り込んでみたいと思ったのだった。ちなみに、彼のCOTY選定基準は「価格に対して驚きまたは感動があるか」だそうだ。
閑話休題。今月号の特集「いま気になるクルマ」では、今年出てきたクルマの中で“気になる”と思ったクルマを編集部独自でピックアップ紹介し、小誌推薦の選考委員2名を交えて解説コメントを掲載した。また、新しいクルマだけでなく、“ちょっと前のお宝クルマ”についても、モータージャーナリストの九島辰也氏とカーセンサー統括編集長の西村泰宏氏を交え、ワイガヤ会議を行ったもようを紹介した。
時が経ったからこそ、あるいは中古市場でお手ごろな価格になってきたからこそ“気になる”と思えるモデルは山ほどあるものだ。いやはや、価値観を分かち合う人同士でのクルマ談義は何度やっても面白いものである。誌面ではスペースの制約などから、その楽しさがなかなか伝えきれないのだが、いつか動画などでも公開したいと思っているので、ここはひとつ乞うご期待である。
お宝クルマかどうか、今回紹介したような私たち自動車メディアや、あるいは世間の誰かが評価しているモデルなど、いろいろな見方があるだろう。ただ、ここでお伝えしておきたいのは、他人がどう思うかは別として、自分自身が大切に思えるクルマは、その人にとって“お宝”であることに違いないということ。塗装が剥げていようが、多少壊れていようが、オーナーから愛されているクルマはすべてお宝クルマなのである。そして何より、オーナーがクルマを愛している姿、その心意気がクールである。
こんなことを書いていたら、子どものころに大事にしていたトミカを思い出した。あれこそお宝クルマだったな、と。先日某所で当時物の新品と出会ったことをキッカケに、フリマサイトを検索して買おうかどうか悩む今日このごろである。が、やはり自分が遊んだ実物でないとどうも違う気がするのだ……。
文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/1980年東京都生まれ。ITコンサルティング会社、自動車Webメディア企業、広告会社を経て、マーケティング会社にて企業の戦略立案・事業開発支援業務に従事後、2020年に独立。2021年より現職。クルマを運転する時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員
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