【最新モデル試乗】生活に密着したKスライドドアBEV[BYDラッコ]は圧倒的なしっかり感と滑らかな走りが好印象。K-CARの新たな選択肢になるか!?

ラッコ300プレミアム/価格:249万7000円。ラッコは航続距離320km(バッテリー容量35.84kWh)を誇る300系と航続距離210km(同22.40kWh)の200の3グレード構成。ボディカラーは写真のアークティックブルーやチーズイエローなど6色(200は3色)から選べる。CEV補助金は全車15万円

ラッコ300プレミアム/価格:249万7000円。ラッコは航続距離320km(バッテリー容量35.84kWh)を誇る300系と航続距離210km(同22.40kWh)の200の3グレード構成。ボディカラーは写真のアークティックブルーやチーズイエローなど6色(200は3色)から選べる。CEV補助金は全車15万円

日本専用設計。ガッチリ、しっかり、よく走る。驚く完成度

 海外メーカーとして「初」となる、日本の軽自動車規格に準拠した専用設計のBEV、ラッコ(RACCO)がいよいよ発売された。
 まず、BYDがこのクルマを開発した理由を説明しておこう。日本で1年間に販売される軽自動車は約130万台、うち約65万台はスーパートールワゴンであり、スライドドアの付いた車型になる。
 一方で、軽の乗用EVは250万円くらいの価格帯で、約2万台の市場規模。スーパートールの用意はない(N-BOXのBEVは2028年に登場予定)。BYDはそこに着目した。ラッコは軽自動車の中心になっているスーパートールという車型でBEVを検討しているユーザーに向けたモデル。エンジン車を含め、「軽自動車の中で一番いいクルマを提供したい」というコンセプトから生まれた。BYDの目標は「日本市場で本当に価値のあるEVの創造」だった。

リア

インパネ

 ラッコは既存車両の流用ではなく商品企画/車両構造/システム設計をゼロから日本ベストに開発したオールニューモデル。日本全国での綿密な調査を通じ、軽自動車が人々の暮らしに寄り添うパートナーであると認識し、20年以上の蓄積を持つEV技術を結集してラッコを開発した。開発陣の主体は若手の中国人エンジニアで、日本側はアドバイスしただけだという。

 車両の中核をなすのが、5年をかけて開発された「X-PACK(充放電一体型構造)」と「CTB(セル・トゥ・ボディ)」技術だ。これにより配電・電源・電子制御部品をバッテリーパック内に高度に統合し、車体構造の一部として設計することで、従来のCTP構造に比べバッテリー搭載効率を73%向上させた。また、ねじり剛性34%向上、77mmの低重心化、システム効率90%超を達成している。

先進の技術と快適思想をコンパクトサイズに凝縮

 注目のラッコには、6つの主要価値がある。
①高い安全性能/コンポーネントの高度な集約により、フロントのクラッシャブルゾーンを39%拡大し、衝突エネルギーの吸収・分散性能を飛躍的に向上。さらにフロント上部スペースの確保で歩行者の頭部保護スペースも拡大、障害を35%低減した。バッテリーには釘刺し試験でも熱暴走しない「ブレードバッテリー」を用い、1000ジュールの衝撃にも耐える高強度構造を実現している。

充電

②十分な航続距離/ラッコは300と200の2シリーズ構成。300では35.8kWhのバッテリーを搭載し、一充電で最大320kmの航続距離(電費124Wh/km)を実現。50kW急速充電では10%から80%まで最短34分で完了する。また、回生ブレーキと電動油圧ブレーキの協調制御により、自然なフィーリングとエネルギー回収の最大化を両立した。ベーシックな200の航続距離は210km(電費120Wh/km)である。

③ゆとりある室内空間/機器の集約とCTB技術により軽規格という寸法制限のなかで乗員空間の利用効率を4%向上させ、広い室内スペースを確保した。各部の寸法はライバルと同等か少し上回る。両側スライドドアは全車が電動タイプとなっている。

④優れた取り回し性/最小回転半径は4.8m。狭い路地や駐車場でも扱いやすく、BEVの利点である低重心化により急な回避操作でも高い安定性を発揮する。日本の冬道に合わせた専用「SNOWモード」を搭載。安全な発進・走行をサポートする。

シート01

シート02

⑤先進のコネクティッド/前車発進通知、車線維持支援、ドライバー異常時対応システムなどの予防安全機能を網羅。BluetoothキーやNFCデジタルキー、10インチ超のディスプレイ、Apple CarPlay/Android Autoの対応など、ユーザーに寄り添い、自然に使えるスマートさを追求している。

⑥便利で安心な快適装備/両手がふさがっていても開閉できるキックセンサー付き電動スライドドア(挟み込み防止機能付)、後席のお子様置き忘れ防止機能、ステアリングヒーターなど、毎日の使いやすさに徹底的にこだわった装備を備えている。

2台並び

ドア開け

 ラインアップは3グレード構成。エントリーモデルの200と中間グレードの300プラス、そして最上級の300プレミアムだ。外観の違いは足元。200はスチールホイールと樹脂製キャップの組み合わせ。300系はダークカラーの15インチアルミを標準装着する。一方300のプラスとプレミアムの差は主にシート回り。プラスはファブリックの手動調節式。プレミアムは合成皮革にグレードアップし、運転席は軽自動車では異例の電動調節式だ。

 価格は15万円のCEV補助金を考えると、エントリーモデルであれば実質200万円以下で買える。ボディカラーはアークティックブルーやチーズイエローなど全6色。2トーンカラーは未設定だ。

ボディのしっかり感が印象的。走りはもちろんスムーズ&静粛

 試乗したのは最上級の300プレミアム。インテリアの質感は高く、中央には大きなディスプレイが配されている。操作性は良好。よく使う機能は物理スイッチとされている。装備は至れり尽くせりだ。ヒーター機能を内蔵したステアリングにはチルトに加え、テレスコピック機構付き。運転席はパワーシートなので最適な運転姿勢が決めやすい。これは大きな魅力だ。ブレーキは4輪ディスクブレーキとされているなど、日本車も見習うべき点は多い。ソフトウェアの更新で機能が進化するSDVとして設計されているのも安心材料。OTAにより車両をつねに最新の状態にアップデートできるのはうれしい。

走り

 走りはしっかりとしたフィーリング。とくにボディの剛性感は特筆レベル。とても軽自動車とは思えない。重厚なフロントドア開閉音からも安心感が伝わる。最新のCTB技術が利いているに違いない。

 パフォーマンスは必要十分プラスα。内燃エンジンを積む日本のスーパートールワゴン勢に比べると静かで滑らかで、もちろん力強い。車重が1230㎏とそれなりにあるせいか、乗り心地はやや硬めではあるが、スーパートールワゴンながら操縦安定性も高水準。重心が低いことが効いて、背が高く、幅が狭いクルマを運転しているとは思えない、感覚的には100mmほど車高が低いトールワゴンのイメージでドライビングできる。これには軽自動車の標準よりもひとまわり大きい165/65R15タイヤの採用も効いていることと思う。速さで一番を目指しているわけではないとのことだが、それでも動力性能は優れており、これで不満を覚える人はそう多くはないだろう。

フード

タイヤ

 ラッコは発売2週間で1000台の受注を獲得し、BYDとしては異例のペースで販売を伸ばしているという。BYDでは、まずは1万台の販売が目標。ラッコが軽自動車市場にどんなプラスの影響をもたらすのか注目したい。

エンブレム

諸元

ラインアップ

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