【最新モデル試乗】BEV先進国から上陸したBYDドルフィンの驚くべきコストパフォーマンス

BYDドルフィンは標準仕様(写真/363万円)とロングレンジ(407万円)の2グレード構成。標準仕様はモノトーンのボディカラーが特徴。ロングレンジは2トーンカラー標準。足回りはしなやか

BYDドルフィンは標準仕様(写真/363万円)とロングレンジ(407万円)の2グレード構成。標準仕様はモノトーンのボディカラーが特徴。ロングレンジは2トーンカラー標準。足回りはしなやか

注目の価格は363万円から、しかも65万円のCEV補助金対象車

 BEV分野で世界をリードする中国ブランド、BYDの第2弾となるドルフィンが上陸した。スリーサイズが全長×全幅×全高4290×1770×1550mmのコンパクトなBEVである。日本仕様はモーター出力70kW/航続距離400kmの標準仕様と、同150kW/476kmのロングレンジの2タイプ。気になる価格は標準仕様が363万円、ロングレンジは407万円。ともに65万円のCEV補助金対象車だから、リーズナブルに入手できる。かなり戦略的なバリュープライスだ。

真正面リア メイン試乗車は標準仕様。車名のとおりイルカをイメージしたエクステリアは、なかなか個性的だ。特徴的なボディサイドの強いキャラクターラインは、これを実現するために旧オギハラ(現在はBYD傘下)の金型技術を活用しているという。ヘッドライト間にガーニッシュが配されたことで、よりイルカっぽさが表現され、リアのLEDコンビネーションランプの意匠も印象的だ。

 車高は一般的な立体駐車場に対応する1550mm。本来は1570mmのところ、日本仕様は20mm低く設定した。ルーフ後端のアンテナの工夫で実現したもので、サスペンションには手が加えられていない。だから乗り心地への影響はない。

 インテリアもユニークである。海を感じさせるデザイン要素がちりばめられている。ダッシュ中央にある12.8インチの大画面ディスプレイは、ワンタッチで縦横を切り替えできる機能を内蔵。ウインカー作動音や、各種警告音は、いろいろな音色が選べるなど、遊び心も楽しい。シートの作りもよかった。聞いたとこではフランスのメーカーと共同開発したそうだ。上級のロングレンジなら、より個性的なカラーが選べる。室内は十分な居住空間が確保されていて、とくに後席の広さが印象的だ。

インパネシート 安全機能を含め、装備は充実。生体に反応する幼児置き去り検知システムが標準装備されることも特筆できる。同じくドライバー注意喚起機能も充実している。走行セレクターは、ダイヤル式。視線を外すことなく操作できるようになっていた。輸入車ながらウインカーのレバーが右側にある配慮もポイントだ。

 走りの完成度は上々だった。速さは普通に乗るには十分。3段階のドライブモードが選べて、走り始めの加速の力強さが相応に変わるが、どれを選んでも出足は俊敏で心地いい。何より静かでスムーズ。BEVっていいな、と感じさせる乗り味である。
 乗り心地も悪くない。リアサスペンションがマルチリンク式のロングレンジに対し、メインで試乗したスタンダードはトーションビーム式になるが、意外や路面の凹凸や段差を通過しても衝撃があまり伝わってこない。快適にドライブできる仕上がりに驚いた。

 ドルフィンの本国デビューは2021年6月。すでにグローバル販売は43万台に達するという。そのぶん熟成も進んでいるようだ。各部の作りを含めて完成度は非常に高い。気のおけないパートナーとしてBEVライフを楽しませてくれそうだ。日本勢や欧州勢にとって少なからず脅威になりそうである。

BYDドルフィン 主要諸元

ノーズグレード=ドルフィン(標準仕様)
価格=未公表(9月中旬現在)
全長×全幅×全高=4290×1770×1550mm
ホイールベース=2700mm
トレッド=フロント:1530/リア:1530mm
車重=1520kg
モーター型式=交流同期電動機
モーター最大出力=70kW(95ps)/3714〜14000rpm
モーター最大トルク=180Nm(18.4kgm)/0〜3714rpm
一充電走行距離=400km(WLTCモード)
駆動用バッテリー=リン酸鉄リチウムイオン電池(ブレードバッテリー)
駆動用バッテリー総電力量=44.9kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/55R16+アルミ
駆動方式=2WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m

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