インディ・シリーズが無観客で開幕。優勝はディクソン選手

開幕戦は予選〜決勝を一気に行うワンデイイベント

ベテランが圧勝。通算47勝目をマーク

▲開幕戦で優勝したS・ディクソン選手(チップ・ガナッシ/予選は2位) 200周中157周でトップを走る圧勝でシリーズ通算47勝目をマーク 現役ドライバーの中で最多優勝を誇る
▲開幕戦で優勝したS・ディクソン選手(チップ・ガナッシ/予選は2位) 200周中157周でトップを走る圧勝でシリーズ通算47勝目をマーク 現役ドライバーの中で最多優勝を誇る

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を見合わせていたインディカー・シリーズが、新しいスケジュールで開幕した。開幕戦は6月6日のテキサス戦(1周1.5㍄、200周)で、練習走行、予選、決勝レースを一日で行うワンデイイベントとして、無観客で開催された。組み直された20年カレンダーは全14戦で、当初の予定より3戦少ない。だが、短縮した期間に詰め込んで行うため、7月は15日間に5戦を行う過密スケジュールとなっている。伝統のインディ500は8月15日〜16日に予選を行い、23日に決勝レースを迎える。最終戦は当初開幕戦に予定されていたセント・ピーターズバーグ戦で、10月25日の開催だ。
 テキサス戦は今季から導入されたエアロスクリーンのデビュー戦でもあった。エアロスクリーンはF1などが採用するハロと同様、頭部保護装置として機能する。ハロはY字型のフレームでデブリ(部品の破片)などが頭部にあたるのを防ぐ構造だが、エアロスクリーンはフレームの前面にポリカーボネート製の透明スクリーンを巡らせているのが特徴だ。
 デブリの衝突防止効果はエアロスクリーンのほうが高いが、デメリットもある。通気性が悪化し、コクピット内部が暑くなってしまうこと。そして、汚れによる視界の悪化だ。通気性を確保するため、エアロスクリーンの前方には空気取り入れ口が新設された。スクリーンの汚れに関しては、ヘルメットに装着して使用する捨てバイザー(テアオフと呼ぶ)の大型版で対処する。
 予選は19年のウイナー、J・ニューガーデン選手(チーム・ペンスキー・シボレー)がポールポジションを獲得。2番手に、S・ディクソン選手(チップ・ガナッシ・ホンダ)がつけた。
 レース序盤は先頭からスタートしたニューガーデン選手がトップを守ったが、32周目にディクソン選手が追い抜いて首位に浮上。ピットストップのタイミングで一時はその座を失ったが、コース上で追い抜いて逃げ切った。ディクソン選手は16年連続で、インディカー・シリーズで勝利を記録し、通算47勝目。6度目のタイトル獲得に向けて幸先のいいスタートを切った。2位はS・バジェノー選手(チーム・ペンスキー・シボレー)、3位はニューガーデン選手だった。

▲シリーズ参戦11年を迎えた佐藤琢磨選手は予選クラッシュ ワンデイイベントだったためマシンの修復が間に合わず決勝は不出場
▲シリーズ参戦11年を迎えた佐藤琢磨選手は予選クラッシュ ワンデイイベントだったためマシンの修復が間に合わず決勝は不出場

 昨年のテキサス戦でポール・トゥ・ウィンを果たした佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング・ホンダ)は、予選アタックに入る前の周にバランスを崩し、ウオールにヒット。予選タイムを計測できなかったのはもちろんのこと、決勝レースまでのインターバルがわずか2時間だったためマシンの修復が間に合わなかった。
「スピンに陥った原因は、自分でもまだ完全にわかっていません。今回は非常に時間の限られたワンデイレースであり、修理がスタートに間に合いませんでした」と佐藤選手はコメントしている。

▲2位でフィニッシュしたパジェノー選手 スタンドに誰もいない様子がわかる
▲2位でフィニッシュしたパジェノー選手 スタンドに誰もいない様子がわかる
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